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果たして人類は進化したのだろうか? イギリス製アニメーション『風が吹くとき』が日本語版にてリバイバル上映
すさまじい作品だ。1986年に英国で制作されたアニメーションで、作者は「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」でも知られるレイモンド・ブリッグズ。これだけなら別に「すさまじい」という気持ちは湧いてこないと思うが、これが「核爆弾が落ちてくる」ストーリーであり、しかも監督のジミー・T・ムラカミが長崎に住む親戚を原爆で亡くしているとなると(しかも彼は日系アメリカ人である)、被爆国に生まれたこちらにとっては、話が違う。作品がぐっと多層的に、巨大化して目前に迫ってくる感じだ。
主人公は自然たっぷりの、イギリスの片田舎に住む老夫婦。夫には従軍経験があるものの、勝ってきたのでどこかで「戦争はかっこいいも...