執筆陣
「父の死」「先生の死」を経て、全身全霊で毎日を生き抜くふたりの女性を暖かなタッチで描く『消えない灯り』
「これは、ひとごとではないぞ」と思う。過疎化が進む地方都市。その地方都市で亡くなっていく親。都会で働く子供。残された実家。まさに「現代日本の問題」が横たわっている。
が、この映画は、それを観るものに厳しく突き付けてゆくのではなく、実に温かく、まろやかに描いている。現実の切なさ、鋭さを映し出しながらも、まっとうな人間ならば共感できるに違いない「心情の核」のようなものを描いている。だから観終えた後、さわやかな気分になる。
主人公の花村茉莉を演じる織田美織は、本作が初主演作品とのこと。この映画のムードは、平田満が演じる亡き「父親」によって設定されている。教師をしていた、誠実な人物。父と母は別れ...