執筆陣
女性容疑者と男性刑事が惹かれ合う、背徳の甘い香りに溢れる一作『別れる決心』
甘く切ない138分、そう呼ぶ以外にない力作だ。「背徳」はこんなにも人を生き生きと、危険なほど輝かせるものなのか。本年度のアカデミー賞 国際長編映画賞部門の韓国代表に選出、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞したのもうなずける。
舞台は韓国。本当にシンプルに言うと容疑者の中国人女性(夫を崖から突き落としたという容疑)と韓国人男性刑事が惹かれ合う物語だ。先にどんどんのめりこんでいくのは刑事のほうなので、見方によっては女性が彼を色じかけにかけた-----という解釈も成り立つはずだがなあ、と見ていったのだが、「そんな単純なものではないな」と思うまでにさほど時間はかからない。結果とし...