執筆陣
欲望、摩擦、齟齬、その先にあるものとは……。劇作家、八木橋努が「人間の業」のようなものを描く『他人と一緒に住むという事』
ペーソスのかたまりと呼びたくなる一作だ。監督・脚本・編集は団体「俺は見た」の八木橋努が務める。演劇として評判を集めていた作品の、待望の映画化。「さまざまな人々が共生する日本での公開にあたって、英語字幕付きで上映する」という対応も、ひじょうに良心的だ。
登場人物は、とにかく人間臭い。「きついなあ」「ずるいなあ」「欲深すぎじゃないの」というような態度や口調をするキャラクターもいる。が、ふりかえって自分はどうか?と 考えたときに、あながち1パーセントも彼らと相反するところがないとはいえないから、必然的に内省して、むずがゆくなる。そして「俺だって、きつくあたるところはあるし、ずるいところし、慾の...