執筆陣
1941年12月上旬の魔都・上海。あの「奇襲」直後までのスリリングな1週間を描く『サタデー・フィクション』
すこぶるスリリングな作品だ。物語中に描かれているのは1941年12月1日から7日にかけての“魔都”上海。これだけで「ワクワク感」が増す識者も多いことだろう。日米開戦(アメリカに耐えかねた日本側からの奇襲--ただしアメリカには既に筒抜けだったという)は日本目線では「12月8日早朝」なのだろうが、これは時差の関係でそうなっているだけで、世界的には「7日」のほうが、通りがいい。この「奇襲」に至るまでの日々の、上海における虚々実々が、実にスリリングに展開されてゆく。日本語・中国語・フランス語・中国語が飛び交い、モノクロによるスタイリッシュな画面、時おり登場する小編成バンドのジャズ演奏も効果をあげ...