第79回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門で“未来の映画賞”を受賞。胸に迫る少年少女の喪失感と孤独。『メイデン』
最小限といえるセリフの数、ごみごみしたクラスルームと時に不気味なまでに澄み切ったカナダ・カルガリーの大自然との対比、「ディア・ハート」など古き良き時代のポップスの採用(アンディ・ウィリアムスではなく、ロジャー・ミラーのヴァージョン)など、異彩を放つ描きが続出し、それが深みを生む。じっくりと画面に向かい合いたい作品だ。
主人公は3人の高校生。主に最初に描かれるのは気心の知れたカイルとコルトンが共に時間の流れを楽しんでいるかのような風景だ。が、最後の時は突然やってくる。そしてある日、コルトンはホイットニーという少女の書いた日記帳を拾う。彼女は捜索願を出されている状態だった。そこから物語はコル...