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「権力欲と根深い腐敗を巧妙に描いた悲痛な物語」と評された、気鋭監督の長編デビュー作『沈黙の自叙伝』が日本上陸
インドネシアにおける、外面のいい初老の将軍「プルナ」と、使用人「ラキブ」の物語だ。ラキブの父は服役中で、兄は海外に出稼ぎに出ている。そしてラキブはプルナが所有する空き屋敷で、唯一の使用人として働いている。庶民である彼にしてみれば大抜擢だろう。しかもプルナは彼に優しく接する。
が、プルナにはしっかり裏の面があった。冷酷で、無残で、さらなる権力を得るためには手段を選ばないところがあった。それを知って葛藤してゆくラキブの姿が、細かに描き出される。それに、いくらプルナと親しさを深めたところで、ラキブが庶民であり、使用人であることには変わりない。自分たちが住む地域のライフラインを整備してほしいと訴...