執筆陣
料理で結びついた魂の交流。フランス発、社会派クッキング・コメディの傑作『ウィ、シェフ!』
「努力、友情、勝利」という言葉が浮かぶ明快な一作だ。主人公のカティは、一流レストランに勤める辣腕シェフ。自分の作る料理に誇りを持っているが、なあなあで世渡りできる性分ではなく、結果として上司とまともにぶつかってレストランを飛び出すことになってしまった。
そんな彼女がどうにか見つけたのは、主にアフリカやアジアからの、強制送還もまぬがれないかもしれない移民少年たちが暮らす自立支援施設での仕事。とてもじゃないが厨房も食材も衛生面も、一流レストランのそれとは雲泥の差だ。カティも当初は性格のきつさをダイレクトに出していたが、「少年たちをアシスタントにしてはどうか」という施設長のアイデアを受け入れた...