執筆陣
史実を基に、人間の「業」を描き出す。韓国年間最長No.1記録を樹立した大ヒット作が日本上陸。『梟ーフクロウー』公開へ
“人間の業”という言葉が何度も頭の中で点滅してしまった。濃厚かつスリリング、背筋をぞっとさせる一作だ。
「仁祖(インジョ)実録」という記録物(1645年。“仁祖”は李氏朝鮮時代の第16代国王)に記されていた事件がモチーフになっているという。つまりこの映画で描かれていることと近いものが現実にも起こっていたと想像できる。恐ろしい。「仁祖実録」について、不勉強な私は初めて知ったが、韓国ではひじょうによく知られたストーリーなのであろう。が、この映画で描かれるヒリヒリするような愛憎、人間関係には、ある程度の年齢に達すれば、どの国の誰であろうと大なり小なり思い当たることがあるはずだ。
主人公のギョン...