昨今、省スペースで、使い勝手がよく、音質的に優れているアンプ内蔵のアクティブ型スピーカーの存在感を高まっているが、その推進役を果たしたのがエアパルス。

 今回はそのエアパルスの大ヒットモデル、A80の弟機として登場したA60と、最高峰のA300 PROの血統を受け継いだ高級機A200Tの2モデルで、マイケル・ジャクソンの多才な歌声、スリリングなリズムを満喫してみたい。

画像: 歌に込めた感情の発露。マイケル・ジャクソンとエアパルス「A60/A200T」は相性抜群だ《究極のMJを聴く、観る》

Active Speaker System
A60
オープン価格(実勢価格8万8,000円前後)

●型式:アンプ内蔵2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:平面型トゥイーター、90mmコーン型ウーファー
●アンプ出力:10W×2(トゥイーター用)+30W×2(ウーファー用)
●接続端子:アナログ音声入力1系統(3.5mmミニフォーン、デジタル音声入力2系統(光、Type C)、サブウーファー出力1系統(RCA)
●寸法/質量:プライマリー・W126×H223×D216mm/5.4kg(2本合計)
●備考:Bluetooth対応(apt X HD)

 

Active Speaker System
A200T
オープン価格(実勢価格17万6,000円前後)

●型式:アンプ内蔵2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:リボン型トゥイーター、135mmコーン型ウーファー
●アンプ出力:10W×2(トゥイーター用)+55W×2(ウーファー用)
●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA×2[うち1系統はMMフォノ切替え可])、デジタル音声入力2系統(同軸、光)、サブウーファー出力1系統(RCA)
●寸法/質量:プライマリー・W180×H328×D313mm/8.4kg、セカンダリー・W180×H328×D295mm/8.0kg
●備考:Bluetooth対応(apt X)

 

 

A60はコンパクトでありながらマイケルの感情を鮮明に描き上げる

 まずA60だが、低歪みかつ高レスポンスを実現した平面型振動板トゥイーターと、9cm口径のアルミニウム振動板ウーファーによる2ウェイモデル。高効率で駆動力にも優れたテキサス・インスツルメンツ製TAS5754クラスDアンプを2基搭載し、バイアンプ駆動としている。

 エンクロージャーは15mm厚の高強度MDF製とし、内壁には18mm厚のプロ仕様の波状吸音フォーム材を施し共振ノイズ、定在波を低減しているという。入力端子はUSB Type Cと光によるデジタルと、アンバランスRCAと3.5mmミニフォーンの、それぞれ2系統を装備。高音質コーデックapt X HDに対応するBluetooth接続も可能。さらにサブウーファー出力用のRCA端子も備えている。

 今回はマイケルの出世作となる『オフ・ザ・ウォール』のCDを再生し、まずアナログ接続でその実力を検証したが、音の骨格を明確に感じさせる分解能の高さといい、入力信号に的確に反応する俊敏さといい、2、3曲を再生するだけで、スピーカーとしての素姓のよさが感じとれる。

 「ロック・ウィズ・ユー」は、ジョン・ロビンソンによる有名なドラムスのフィルインで始まり、そこにうねるようなベースラインが重なっていくが、適度な湿り気を感じさせる大人っぽい質感で、足元がブレることなく、リズムも安定している。

 ある種の緊張感を伴ないつつ、クールに淡々と歌うマイケルの歌声は、彼独特の音色が明確に描き分けられ、ささやくような低音と、突き抜けるようなハイトーンの対比が鮮やか。そしてその背後には物語を盛り上げるように拡がるコーラスも、声はザラつかず、滑らかで緻密だ。

 同軸デジタル入力では空間の描写にやや余裕が生まれるが、基本的なクォリティ感は同等。このクラスのスピーカーが、ここまでマイケルの感情を鮮明に描き上げるとは……、驚いた。

 

明るく、伸びやかな歌声にリズムがしっかりと絡み合うA200T

 ここでA200Tに交代。ホーンロード・リボントゥイーターと13.5cm径アルミニウム・マグネシウム合金コーンウーファーの組合せによる2ウェイシステムで、サイズ的にはA60よりもだいぶ大きいが、A300 Proよりは小さな印象だ。実際に手にとって持ち上げてみると、ズシリと重く、筐体の造りの良さが実感できる。エンクロージャーは18mm厚の硬質MDFによる設計で、内部に組み込んだブレースによりウーファーユニットを支えることで、安定した駆動を約束している。

 デジタル入力は同軸、光の2系統で、USB入力は備わらない。アナログ入力はアンバランスと、MM対応フォノの2系統。apt X対応Bluetooth機能、サブウーファー出力用のアンバランス端子の装備は、A60と一緒だ。

 まずアナログ接続で「今夜はドント・ストップ」を聴いたが、明るく、伸びやかなマイケルの歌声が目の前に放出され、その背後にはギター、ベース、ドラムスの響きが複雑に絡みあい、その消え際も滑らか。多重録音によるバックコーラスと、華やかなストリングスが華やかさを演出し、質感も荒っぽくならない。

 音の立ち上がりの素早さ、歯切れの良さ、目の前で鳴っているようなライヴ感はホーンスピーカーならでは。独特のエネルギーを保ちつつ、自由に、明るく伸びやかに歌う声の生々しいこと。後半の笑い声からも、マイケル自身、心から楽しんでいる様子をしっかりと感じとることができた。

 同軸デジタル入力に変えると、わずかに音の鮮度が上がる印象だが、基本的なダイナミックレンジ、情報量、帯域バランスには、大きな変化はなかった。

 そのコンパクトな外観からは想像できないような雄大で、スケール感に富んだ活きのいいサウンドを奏でたA60と、透明感に富んだ清々しい響きと、柔軟性のあるベースのうねりで存在感を示したA200T。それぞれ持ち味は異なるが、キング・オブ・ポップ、マイケルとの相性は極めて良好だった。

リファレンス機器
●SACD/CDプレーヤー:デノンDCD-SX1 LIMITED

 

>本記事の掲載は『HiVi 2026年夏号』

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