様々な感情を詩と曲で表し、歳を重ねた人々の心に染みるASKA全盛期を代表する完成度の高いソロアルバム

 『SCENE II』は1991年に発売され、100万枚を超える大ヒットを記録したASKAの2枚目のソロアルバムで、2018年には『SCENE II Remix ver.』としてUHQ-CDで発売された。これは、ASKA自らがリミックスに参加してマスターを完成させたという。古さを感じさせない現代のサウンドに甦っている。

Stereo Sound REFERENCE RECORD
LP 2枚組 33 1/3回転『ASKA SCENE II −Remix ver. −』

LP(ステレオサウンド SSAR-108〜109)¥8,800 税込

[収録曲]
DISC 1
[SIDE A]
01.はじまりはいつも雨
02.けれど空は青 〜close friend〜

[SIDE B]
03.Love is alive
04.DAYS OF DREAM
05.恋

DISC2
[SIDE C]
06.都会の空
07.風の住む町
08.PLEASE

[SIDE D]
09.君が愛を語れ
10.止まった時計

●マスタリングエンジニア:内沼映二(ミキサーズラボ)
●カッティングエンジニア:北村勝敏(ミキサーズラボ)
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 今回のアナログ盤は、2018年のリミックス盤の音源をハーフインチのアナログテープに収録してLP化している。代表曲でもある「はじまりはいつも雨」をはじめとして、10曲中5曲が他の有名アーティストへの提供曲となっているなど、まさにASKAの全盛期を代表するアルバムだ。

 アルバム全体を俯瞰すると、洋楽のシティポップスの影響を感じさせるお洒落な楽曲の数々とも感じるが、大人の様々な感情を詩と曲で表した、歳を重ねた人々の心に染みる楽曲の数々であることが改めてよくわかる。ASKAならではの色気のあるヴォーカルも、ナイーヴでありながらも生きる力に満ち、抑えた歌唱ながらもその明確な意志がよく伝わる。アナログレコードならではの音の密度感、存在感のある再生ではそれが改めてよくわかる。

 「はじまりはいつも雨」では、歌声と伴奏の絶妙なバランス感、すべての音がぴたりと揃ったリアルな感触に驚く。聴き慣れた曲のはずなのに、より深く心に伝わる楽曲に仕上がっている。

 「Love is alive」は当初から岩崎宏美(当時は益田宏美)とのデュエットを考えていた曲。実体感の豊かなふたりの声の織りなすハーモニーが美しい。

 「恋」や「都会の空」など、女性歌手に提供した楽曲のセルフカバーでは、女性らしいニュアンスが漂い、「PLEASE」や「君が愛を語れ」では、希望に満ちた感情を伝えてくる。そして、どの曲にも共通するコーラスの使い方の上手さ。ヴォーカリストとしての表現力、アーティストとしての音楽的な構成力など、アルバムとしての完成度の高さに唸らされる1枚だ。

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