南アフリカで誕生し、現在はオランダにヘッドクォーターを置くビビッド・オーディオ。伝説的なノーチラスを開発したB&W出身のローレンス・ディッキー氏は、英国に住み同社製品のサウンドデザインに携わっている。

 KAYA(カヤ)はビビッド・オーディオのエントリーシリーズで、ここで紹介するS12は最新のコンパクトな2ウェイ機だ。ポリウレタンのレジンを使ったキャスト製法のエンクロージュアは平面を持たず、本体重量は6kgと軽量。

 搭載するドライバーは同じアルミニウム合金製の振動板を採用しており、高域は26mm口径で低域は13cm口径である。本国の資料では低域が10cm口径となっているが、サラウンド(エッジ)部分を含むと約13センチの口径になるのだ。

「管球王国」のリファレンス機器、エアータイトATC5+ATM3の管球式アンプで聴いたS12は、スピーカーの存在を消し去るような視覚的な音の描写で、ワイドな空間を感じさせる現代的なサウンド。本誌試聴室の広さでは低音域の量感が少し足りなく思えるけれども、たとえば6畳間くらいの部屋では問題ないはずだ。クセを感じさせないスムーズな音の語り口は特筆に値する出来の良さといえよう。

 個人的には300BやEL34のシングルアンプと組み合わせて、鮮度感を高めながら潤いを感じさせる音で楽しんでみたいスピーカーだ。別売の専用スタンドは金属製でしっかりしており、3点接地なのでガタがない。完成度の高さを滲ませた小粋なスピーカーである。

画像: ビビッド・オーディオのエントリーモデル、KAYA S12。スピーカーの存在を消し去るような視覚的描写でワイドな空間を演出

Speaker System
ビビッド・オーディオ
KAYA
S12
¥540,000(税別・ペア)

●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型 ●使用ユニット:ウーファー・13cmコーン型、トゥイーター・2.6cmドーム型 ●インピーダンス:8Ω ●感度:87dB/2.83V/m ●クロスオーバー周波数:3kHz ●寸法/重量:W237×H400×D254mm/6kg●備考:写真の専用スタンド(¥160,000/ペア)別売
●問合せ先:(株)ステラ TEL. 03(3958)9333

KAYA S12のフロント面。2ウェイを構成するトゥイーター、ウーファーともにユニット振動板素材はアルミニウム合金。トゥイーター周囲の浅い窪みはウェーブガイドとして、ウーファーとのつながりをスムーズにする機能的なデザイン。


リアバスレフ方式で入力端子はシングルワイヤリング。直線やエッジを持たない緩やかな曲線で構成されたエンクロージュアは、徹底して共振を排除するアブソーバー・チューブと呼ぶ機構を小型の本機用に最適化した内部構造をもっている。

画像: 本体やスタンドの造作を確認する三浦氏。


本体やスタンドの造作を確認する三浦氏。

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