LGエレクトロニクスは、傘下にLGディスプレイを擁し、同社が製造する有機ELパネルを搭載したテレビ、ディスプレイ製品を作っている。
これまでLGエレクトロニクスの有機ELテレビのパネルは、すべてLGディスプレイ製であった。ところが、このほど慣例を破り、日本のJOLED性の31.5型4K印刷有機ELパネルが採用されたのである。
印刷有機ELは、次世代の有機ELとして、多方面から注目されている。すでにこのパネルを使い、アストロデザインから4K OLEDモニター「DM-3430」が発表されている。JOLEDはその後、中国TCLと提携し、そして今回、LGエレクトロニクスへの納入に成功した。LGエレクトロニクスはCES2021で、このパネルを使った製品を「LG UltraFine Display OLED Pro、32EP950」として発表した。
LGエレクトロニクスは民生用のラインとは別に、映画会社やプロダクション用のプロフェッショナルモニター市場を企て、JOLEDの印刷有機ELに白羽の矢を立てた。決め手が色再現だ。
LGディスプレイの有機ELパネルは「白色有機EL+カラーフィルター」で色を形成しているが、JOLEDの有機ELはRGB発光だ。これは色をひじょうに精密に吟味するプロフェッショナル映像用途では、とても大事な条件だ。ソニーの有名な有機ELモニター「BVM-X300」も蒸着でRGB方式だった。
その意味では、32型でRGB発光で、購入可能な有機ELバネルは、実は世界でJOLEDのみだ。だから、傘下の有機ELバネルの最大手、LGディスプレイがありながら、あえて日本のJOLEDに恃んだ。
LGエレクトロニクスのニュースリリースにも、「UltraFine Display OLED Pro also provides superb color accuracy, covering 99 percent (typical) of both the DCI-P3 and the Adobe RGB color space.(DCI-P3とAdobe RGBカラースペースの99%[標準]をカバーする、優れた色精度を備えています)」と述べられている。今後、LGエレクトロニクスとJOLEDは中型OLED分野で、さまざまな協業の可能性があるだろう。
JOLEDは今後、積極的にサイズラインナップを増やす。現在は21.6型、27型、32型が用意されているが、今後、14型(フルHD、車載用)が新規に登場予定だ。今年はLGエレクトロニクス以外にも採用例が出てくるに違いない。大いに期待だ。