リン(スコットランド)のパッシブ型4ウェイ・スピーカーMAJIK 140がSEヴァージョンに進化した。輸入元によると、台座(スタンド)部分の変更のみということだが、実際に聴いてみてその音質向上ぶりにビックリ。「いやいやこの音の違いは台座だけじゃないでしょ。ユニットやキャビネットにも手が加わっているんじゃ?」と訝しく思ったが、「いえ、台座のみの変更と聞いております」と輸入元の社長は素っ気ない。

 さて、その台座部分だが、従来は木質のMDF製で今回のSEはアルミ製。幅と奥行がそれぞれ1cmほど大きくなっており、質量はMDFの1.4kgにたいして5.9kg。なんと4倍以上の重さだ。たしかにこの重さの違いが音に影響を及ばさないはずはない。

 MAJIK 140は、160mmウーファーと同口径のミッドレンジ、そしてしゃもじ状のアレイに近接配置された30mmソフトドーム・トゥイーターと16mmスーパートゥイーターをインライン配置したトールボーイ型4ウェイ機で、基本的な音調はワイド&フラット・レスポンスを印象づけるクセの少ないノーブルなサウンドだ。

 アルミ製の台座に変更されたSEヴァージョンはもちろんその音調を引き継いでいるが、オリジナル機に比べて断然優れるのは、低域の解像感。ベースやキックドラムがいっそう澄明に描写され、不必要に尾を引いたりにじむこともなく、音がすっと消えていく。その低域の改善により音場表現も著しく向上し、ワンポイント・ステレオ録音の教会音楽などを聴くと、幅と高さと奥行を伴なったサウンドステージがいっそう生々しく眼前に立ち現れる印象だ。この音質差の原因が台座の違いだけとは、にわかには信じられない……。「男のおしゃれは足元から」などと言われるが、「スピーカー攻略もまず足元から」。改めてオーディオの基本を肝に銘じたMAJIK 140 SEとの邂逅だった。

 ちなみに旧MAJIK 140オーナーは、6万円の追加料金でこの新しいアルミ製台座に変更可能だそうだ。この著しい音質向上を体験したいま、すべてのMAJIK 140オーナーにヴァージョンアップをお勧めしたい。

画像: リンのパッシブ型4ウェイ・スピーカー「MAJIK 140 SE」が驚異の進化。従来品から台座の変更のみで、低域の音質はまるで別物に

SPEAKER SYSTEM
LINN
MAJIK 140 SE
¥350,000(ペア)+税

●型式:4ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:16mmドーム型スーパートゥイーター、30mmドーム型トゥイーター、160mmコーン型ミッドレンジ、160mmコーン型ウーファー
●出力音圧レベル:88dB/W/m
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W250×H975×D335mm/25.5kg
●問合せ先:(株)リンジャパン TEL. 0120-126173

画像: MAJIK 140と比べて変更したのはこのアルミの台座部分のみ

MAJIK 140と比べて変更したのはこのアルミの台座部分のみ

画像: クアッドワイアリング接続が可能なスピーカー端子を搭載している

クアッドワイアリング接続が可能なスピーカー端子を搭載している

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