いまから1年半前、新4K/8K衛星放送の開始に合わせて、8Kチューナー内蔵の8K液晶テレビ、AX1を80/70/60インチの3サイズで製品化したシャープ。このテレビが登場したことで、世界初、唯一無二の8K放送が一般家庭のリビングで楽しめるようになったわけで、その功績は計り知れない。

新型8Kテレビは画質が大幅向上!

 昨年、8Kパネルは搭載するものの、8Kチューナーは内蔵しない「8K対応テレビ」のBW1(70/60インチ)を追加、そしてこの春、第2世代の8Kチューナー内蔵の8KテレビCX1(70/60インチ)シリーズが登場した(80インチサイズの8T-C80AX1は継続)。

 

画像1: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

8K液晶テレビ
8T-C70CX1
オープン価格(実勢価格60万円前後)
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シャープ8Kテレビの第2世代機で4月に発売されたばかりの新製品。「8K Pure Colorパネル」という新開発の8Kパネルと「Medalist Z1」映像エンジンを搭載

 

画像2: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

8K対応液晶テレビ
8T-C60BW1
オープン価格(実勢価格27万円前後)
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高精細な8Kパネルを搭載しつつ、8Kチューナーレス仕様により、価格を抑えた「8K対応テレビ」。2Kや4Kコンテンツを見るときにも8Kパネルは大きな意味がある

 

 視聴中の裏番組録画が可能な4K/8Kダブルチューナー、多彩なWeb動画コンテンツが楽しめるAndroid TV OS、計70Wのアンプで駆動する2.1chのスピーカーシステム、そして視聴位置に合わせて調整できる回転式(スイーベル)スタンド(60インチのみ)と、テレビとしての基本機能はAX1からそれほど大きな変更点は見当たらない。

 ただその詳細を見ていくと、本体の起動時間が約20%、地デジのチャンネル切替えが約15%それぞれ高速化したり、HDMI端子が8K映像入力がケーブル1本で可能なHDMI2.1に対応したり、あるいは最新の5G対応スマホAQUOS R5Gで撮影した8K動画がUSBメモリー経由で表示できたりと、確かな進化を遂げているのが分かる。

 そして最大の注目点は表示パネルの刷新によって、8Kテレビとしての画質が大きく向上したことだ。パネル直下にLEDバックライトを配置して、きめ細かな部分駆動を行なう「メガコントラスト」技術は従来通りだが、光学系の工夫により色域を拡大。同時にシャープの8Kテレビの懸案事項だった、視野角特性にも鋭いメスが入った。

 まずLEDと液晶パネルの間に特殊な光学シートを配置して、従来に増してバックライトの光がパネルに対して垂直に入るような構造を採用した。技術用語では“直光性の改善”と説明されるが、液晶とLEDバックライトの関係が大きく理想に近づき、液晶パネルとしての本来の実力がよりいっそう引き出されたというわけだ。

 今回、さらに画面表側に貼られたフィルターが従来の低反射「N-Blackパネル」でなく、低反射かつ広色域な新タイプへと変わっている。パネルを経由して出てくる光を拡散させ、なおかつRGBの三原色の色純度を高めるという新開発のフィルターで、4K/8K放送で採用されている映像の信号の色範囲(BT.2020)のカバー率は79%から81%へと向上。不純光を取り除くと、どうしても明るさは犠牲になるが、そこはLEDバックライトの光量で補い、従来同等の明るさを確保している。

 実際、その映像を確認したが、色再現については劇的に変わった印象はないが、画面全面で均一な明るさが確保され、視野角による画質への影響は大幅に改善されているのが分かる。画面斜め45度付近から見ても、コントラスト感や色調に大きな変化はなく、人肌も安定している。

 8K放送の醍醐味を満喫するために、1m前後からの近接視聴も試してみたが、これも中央から周辺部に至るまで、均一な明るさ、色調が確保され、ストレスがない。近くで見たいが、画面両端が暗く見えたり、色味が変わったりしてしまうという、8K液晶テレビのジレンマから解放されたと言っていいだろう。

 映像エンジンは従来の3チップ構成1チップに集約した「Medalist Z1」(別項参照)。信号処理の内容的には大きな変更点はないが、1チップ化によりシンプルなプロセスの演算、いわばスマートな信号処理が可能になり、微細なノイズが低減され、結果として8K表示の持ち味でもある精細感が高まったように思う。

 4K液晶テレビは、低反射で高コントラスト表示が自慢の低反射「N-Blackパネル」を投じたCN1(70/60/55/50/43インチ)と、4KテレビのスタンダードモデルのCL1(55/50/43/40インチ)、Android TV OSを採用しないシンプル4KテレビのBH1ライン(60/50/40インチ)の3ラインとなる。上位ラインとなるCN1ラインは倍速駆動パネルで、1画素を複数の領域に分割し、配向方向を変えることで視野角を改善する、マルチ画素構造も採用している。

 

シャープのこだわり技術 ①
低反射「N-Blackパネル」

画面の反射を抑えて高画質を追求
発色が鮮やかで、黒が引き締まって見えるグレア(光沢)仕上げと、外光の映り込みが少なく、目への負担が少ないノングレア(マット)仕上げのいいとこ取りをしたシャープ独自の液晶パネル。パネル表面に低反射の素材を配置して、屈折率を徐々に変化させることで外光の反射が抑えられ、高コントラストの鮮やかな4K、8K映像を再現する。最新の8KテレビCX1ラインではハーフグレア系仕上げの「8K Pure Color」パネルを採用している。

低反射「N-Blackパネル」表面のイメージ

画像3: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事
画像4: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

 

シャープのこだわり技術 ②
Medalist Z1

2K、4K映像を8Kに変換する新開発エンジン
従来の「AQUOS 8K Smart Engine PRO」をベースに、複数にまたがっていた映像処理を1チップに集約した8K AQUOS用の映像エンジン。映像本来が持っていた細部の情報を補う「精細感復元アップコンバート」や、周囲の画素からなめらかな輪郭を復元する「リアリティ復元アップコンバート」、映像の前後のコマを参照してノイズを抑える「3Dノイズリダクション」などを駆使し、精細感に富んだ8K映像を表示する。

 

シャープのこだわり技術 ③
スイーベルスタンド

左右に画面を回転でき、使い勝手に優れる
画面の角度を視聴位置に合わせて、左右計約30度、水平方向に調節/回転できるスイーベルスタンド。もともとは視野角の制約が大きいというVA液晶の弱点を補うために開発されたものだが、リビング用のテレビではさまざまなポジションから正面視聴ができるメリットは大きく、有機ELテレビ(65/55インチ)にも採用している。液晶は60インチ以下の中高級機を中心に導入している。

画像6: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

 

初の有機ELの出来栄えも良好

 そして4Kテレビに有機EL、CQ1(65/55インチ)が追加された。「液晶のシャープなのに有機ELなのか」と不思議に感じる方も多いと思うが、これはシャープの有機ELテレビが欲しいという消費者の声に応えたもの。シャープとしては「8K液晶」「4K有機EL」「4K液晶」と、ラインナップの拡充により、ユーザー層を拡げたいという思惑がある。

 

画像7: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

4K有機ELテレビ
4T-C55CQ1
オープン価格(実勢価格28万円前後)
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液晶一筋だったシャープがついに投入した「有機ELテレビ」。最新有機ELパネルを使ってシャープ独自映像技術を盛り込んだモデル。「アクオス」シリーズからは外れている

 

 有機ELパネルはもちろんLGディスプレイ製。ここに投じられた映像エンジン、「Medalist S1」はもともと有機ELとの組合せを想定して開発されたもの。4K液晶のCL1、CN1にも同じ「Medalist S1」を搭載しているが、その使いこなしはまったく異なるという。

 具体的には、もっとも暗い部分からわずかに明るくなるような微妙な箇所の映像のなめらかさや、通常の放送で割合的に多い、「中間の明るさ」(暗くもなく明るくない部分といえばいいだろうか)の表示部分を的確に制御し、有機ELパネルの持ち味を積極的に引き出すための工夫を数多く投入している。

 実際、その映像はメリハリが効いて、明るく細部がスッキリとよく見える。特に全体に明るめの絵柄でも、明るさが抑えられて癖っぽく見えることが少なく、色鮮やかだ。雲のような平坦な絵柄で本来の映像にはない色がわずかに目につくところもあったが、これも最終の量産機では解消されるものと思われる。

 8Kテレビ、4Kテレビともに今年のシャープは気合充分。特に8K液晶テレビCX1シリーズの仕上がりの良さに注目したい。

 

シャープ アクオスの2020年ラインナップ

画像: ※価格は編集部調べ。4T-C65CQ1とC55CQ1はアクオスシリーズではありません

※価格は編集部調べ。4T-C65CQ1とC55CQ1はアクオスシリーズではありません

 

おすすめテレビ ①
画質が大幅向上した8Kテレビの第2世代

新開発の「8K Pure Colorパネル」に、超解像処理や3次元ノイズ除去回路などの高度な画像処理技術を盛り込んだ映像エンジン「Medalist Z1」を組み合わせた第2世代の8Kテレビ。懸案だった視野角の狭さにも鋭いメスが入り、近接視聴でも画面全面で均一な画面のメリハリ、色彩が得られる。起動時間が短縮され、チャンネル切替えも素早くなるなど、操作性も改善している。

画像8: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

8K液晶テレビ
8T-C60CX1
オープン価格(実勢価格45万円前後)
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おすすめテレビ ②
見栄えのいい映像が魅力4K AQUOSのスタンダード

低反射、高コントラストを両立させた独自の「NBlack」液晶パネル(倍速駆動)を搭載した4KAQUOSの高級スタンダードモデル。8Kテレビ用に開発した「Medalist Z1」のエッセンスを積極的に取り入れた4K映像エンジン、「Medalist S1」の効果もあって、メリハリの効いた、見栄えのする映像を描き出す。2Kからの4K映像アップコンバート能力も高く、地デジ、BS画質に磨きがかかった。

画像9: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

4K液晶テレビ
4T-C60CN1
オープン価格(実勢価格23万円前後)
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おすすめテレビ ③
有機ELの強みを素直に引き出すシャープらしい明るい絵づくり

シャープが手がけた初めての有機ELテレビ。画素ごとに映像の明暗をコントロールすることで映像のコントラストがひじょうに高く、視野角による画質への影響が少ないという有機ELの強みを素直に引き出す。高コントラスト調の、明るい絵づくりはシャープAQUOSの伝統を感じさせるもの。8K液晶、4K液晶の他に、シャープの自発光テレビが選べるようになった意義は大きい。

画像10: メーカー別最新4K/8Kテレビラインナップ④『シャープ アクオス』。今年のシャープは気合充分。特に新8KテレビCX1の仕上がりは見事

4K有機ELテレビ
4T-C65CQ1
オープン価格(実勢価格42万円前後)
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