Android OS搭載ながらも、独自のEOSオーディオエンジン搭載でサンプリング周波数の制限を回避、フルバランス設計のアナログ出力段、優れた精度を誇るフェムトクロックの搭載など、最新の設計とオーソドックスなオーディオ回路技術を結集し、しかも持ち前の優れた機能性を誇るエバーソロDMP-A6 Master Edition。手の届くプライスで驚くほどの音質と多機能を実現し、活況のミュージックストリーマーで頭一つ抜けた注目を集めたモデルだ。
そのDMP-A6 Master Editionが第二世代を示すGen 2へと進化した。大きな進化は電源がスイッチング仕様からリニア仕様へと変更されたこと。デジタルオーディオ機器として重要な電源回路を強化し、音質面を磨き上げたというわけだ。さらにARC対応HDMI端子の追加やWi-Fi、Bluetoothのサポートなどの仕様変更が行なわれた。
それ以外の特徴である高精細な大型タッチディスプレイの採用や航空宇宙グレードのアルミニウムによるシャーシ、前面のプレートとボリュウムノブの縁の色がゴールドである点、独自設計のインターフェイスなどの特徴はオリジナルのDMP-A6 Master Editionと共通だ。

Network Player
Eversolo
DMP-A6 Master Edition Gen2
¥253,000 税込
●型式:ネットワークプレーヤー
●接続端子:デジタル音声入力5系統(同軸、光、USB Type A、USB Type B、ARC)、アナログ音声出力2系統(RCA、XLR)、デジタル音声出力3系統(同軸、光、USB Type A)、OTG用USB端子1系統(USB Type A)、HDMI ARC入力1系統、HDMI出力1系統、LAN端子1系統、SSDスロット1系統(M.2 NVME 3.0、最大8Tバイト)
●寸法/質量:W270×H90×D187mm/4.0kg
●備考:Wi-Fi(デュアルバンド、2.4GHz、5GHz対応)、Bluetooth(受信のみ対応。version5.0準拠。対応音声コーデック:SBC、AAC)。MQAデコーダー内蔵、Roon Ready認証
●問合せ先:㈱ブライトーン TEL. 050(6877)6043

アナログ音声出力は、アンバランスおよびバランスに対応するなど、非常に豊富な接続端子を装備。さらにHDMI出力では、DSDおよび5.1ch音声のデジタル出力をサポート、AVセンターとの組合せにも最適な製品ともいえよう
ハイレゾらしい豊富な情報量で正確で緻密な再現に感心した
まずは聴き慣れたクルレンツィス指揮ムジカエテルナの『チャイコフスキー:交響曲第6番<悲愴>』の第3楽章を聴いた。ダウンロード購入した音源と同じサンプリング周波数96kHz/24ビットのFLAC形式でソース自体のスペックは同じ。各楽器の音色や質感などハイレゾらしい、しっかりとした情報量が感じられる。ダウンロード音源とは再生経路が異なるし、なによりストリーミング再生は、環境による影響を受けやすいが、そうした悪さを感じさせず、むしろ低音弦や打楽器の解像感、音の立ち上がりがピタリと、音の揃った鳴り方などに感心した。これは、音源の質もさることながら、クロックの精度向上などを果たしたDMP-A6 Master Edition Gen 2が音源の良さを引き出しているのだろうと感じた。
続いて、カラヤン指揮ウィーン・フィルの1961年録音『ホルスト:組曲<惑星>』2022年リマスターから「木星」(96kHz/24ビット)。こちらもカラヤンらしい音の揃った感じが際立った演奏になる。様々なポップス曲としてアレンジされた有名なフレーズを美しく奏でつつ、正確で緻密に再現していく。
アニメ作品『LAZARUS ラザロ』のサントラから、カマシ・ワシントンによる主題歌「Vortex」を聴くと、ジャズをベースとしたグルーヴ感たっぷりの曲が生き生きと鳴る。ノリのよい演奏も楽しいし、トランペットのソロのスポットライトを浴びたかのような明瞭な定位とフォーカス感も気持ちいい。
同じくアニメ作品『小市民シリーズ』のオープニングテーマ「火星人/ヨルシカ」は、歌声の音色のリアルさと独特のリズム感をみずみずしく描く。

こうしたリズム感がよく出る音やオーディオ機器に注目していることもあって、今、自分が求めている音にぴったりとマッチした音をDMP-A6 Master Edition Gen2は聴かせてくれた。比較として聴いたオリジナルのDMP-A6 Master Editionも驚いたが、さらに精度を高めて音楽再生の忠実度が向上したと感じられた。楽曲のブラウズなどを行なう純正アプリ「Eversolo Control」も曲の検索がしやすく、プレイリスト作成が容易だ。iPadの操作画面と本体前面のディスプレイ表示がほぼ同じなので、本体操作とiPadなどでの操作を併用しても戸惑わないことにも感心した。これは日常的に使っていても意外と重宝するに違いない。
使い勝手の良さに感心して、あれこれいろいろな曲を聴いてみたが、やはりジャズのようなリズム感とか音が揃う感じの気持ちよさが、エバーソロ製品に共通する大きな魅力だと改めて実感した。音色としては特に味付けをしないすっきりとした傾向で、音の厚みや熱気を演出するタイプではないが、奏者たちの息の合った感じとかノリの良さをたっぷりと味わえることが本機の一番の魅力だと感じた。
>本記事の掲載は『HiVi 2025年秋号』




