往年のオーディオファンなら必ずその名前を聞いたことがあるはずの、イギリス、MISSION(ミッション)製スピーカーが日本再デビューを果たした。イースタンサウンドファクトリーが新たに設立したヴィアトロニクスが輸入を手掛け、逸品館が販売を担当するという。まずはブックシェルフスピーカーの「ZX−1」「ZX-2」から販売がスタートするとのことで、上位モデルZX-2を潮 晴男さんのご自宅で試聴していただいた。(Stereo Sound ONLINE編集部)

●スピーカーシステム:MISSION ZX-2 ¥130,900(ペア、税込)

画像1: ミッションの最新スピーカーは、搾りたてのオレンジのようなフレッシュな感じのサウンドを聴かせる! オーディオ用でも、薄型ディスプレイとの組合せでも活躍する【注目製品に肉薄 06】

●型式:2ウェイ3スピーカー、バスレフ型
●使用ユニット:38mmリングドーム型ツイーター、130mmアルミニウムコーン型ウーファー✕2
●再生周波数帯域:45Hz〜24kHz
●インピーダンス:8Ω
●感度:89dB
●寸法/質量:W240✕H420✕D350mm/9.4kg

 久しく輸入の途絶えていた英国ミッションのスピーカーだが、ヴィアトロニクスによって日本国内への導入が再開された。ミッションは1977年、ファラッド・アジマによってロンドンで設立されたオーディオブランドである。主にスピーカーとアンプの開発を行なってきたが、1979年に「MISSION 700」というスピーカーを発表してオーディオファンの注目を集める。

 1999年からは、ピーター・コモーを中心とした精鋭のエンジニアリング・チームが製品開発を担当して今日に至っている。ちなみに同社のアンプに付けられたCYRUS(サイラス)というブランド名は、ファラッドのお嬢さんの名前からとったとかで、このあたりにエンジニアリング・チームに開発を委ねながらも製品に対する愛情を誰よりも注ぐ、彼の思いの深さを窺い知ることが出来る。

 さて、現在ミッションには複数のスピーカーのラインナップが存在するが、今回ヴィアトロニクスが取り扱いを開始した製品は、「ZXシリーズ」の中からセレクトした「ZX-1」と「ZX-2」である。

画像: 今回は潮さんのニコタマ劇場に「ZX-2」を持ち込んで試聴していただいた。プリアンプはマークレビンソン「No.32L」、パワーアンプにはパス「XA-100」という豪華なシステムだ

今回は潮さんのニコタマ劇場に「ZX-2」を持ち込んで試聴していただいた。プリアンプはマークレビンソン「No.32L」、パワーアンプにはパス「XA-100」という豪華なシステムだ

 ともに2ウェイのブックシェルフ型で、バスレフ仕様。上位機のZX-2は、2基の130mmウーファーで38mmリングドーム型ツイーターを挟んだ仮想同軸設計、ZX1はZX2と同じウーファーとツイーターを使ったシンプルな2ウェイ機である。今回はZX-2を試聴したのでそのインプレッションを紹介したい。

 使用ユニットは前述の通りだが、ウーファーの振動板にはアルミ二ウムが採用され、分割振動の抑制を行なっているほか、ギャザードエッジ構造を加えて滑らかな低域の再現を可能にしている。ツイーターのリングドームには絹製の振動板を与えてウーファーとのつながりを大切にした設計がなされていることも特徴だ。

 エンクロージャーはMDF製で、バスレフポートを背面に備えている。ネットワークの詳細は不明だが、高音質パーツを採用し、クロスオーバー周波数はともに2.4kHzに設定されている。専用のオプションスタンドが用意されているので、スタンドアローンの場合、セットでの使用をお薦めしたい。今回の試聴でもこのスタンドを使っている。

画像: ZX-2はリアバスレフ方式を採用する。スピーカーターミナルはシングルワイアリング仕様だ

ZX-2はリアバスレフ方式を採用する。スピーカーターミナルはシングルワイアリング仕様だ

 情家みえ「エトレーヌ」から再生したが、演出感が少なく、屈託のないサウンドを聴かせてくれた。小型スピーカーの中には聴かせどころを主張してくるモデルもあるが、ZX-2はそうした傾向もなく、高域に向かっての抜けもいい。クリアネスの高いヴォーカルを再現するし、ピアノの音色も明快でタッチも繊細に描き出す。男性ヴォーカルでもニュアンスが細やかで味わい深い声を奏でてくれた。

 インストルメンタルの楽曲では、搾りたてのオレンジのようなフレッシュな感じのサウンドを聴かせる。ツイーターが頑張っている印象だが、うるさい感じはなく、アコースティックギターの音色もていねいに捉える。明るさを湛えつつ、ここでも節度感をキープしている印象である。

 仮想同軸型にレイアウトされたユニットがヴォーカルの定位感、フォーカス感を高めてくれるし、2基のウーファーがベースラインをしっかりとサポートする。少し大きめのエンクロージャーも、ゆとりのあるサウンドを生み出す原動力になっているようにも感じた。

 純粋にオーディオ用としてのニーズに応えてくれるだけでなく、ここまでの懐の深さがあるなら65型クラスの薄型ディスプレイと組み合わせても期待に違わぬ働きをしてくれるスピーカーだと思う。

●スピーカーシステム:MISSION ZX-1 ¥106,700(ペア、税込)

画像2: ミッションの最新スピーカーは、搾りたてのオレンジのようなフレッシュな感じのサウンドを聴かせる! オーディオ用でも、薄型ディスプレイとの組合せでも活躍する【注目製品に肉薄 06】

●型式:2ウェイ2スピーカー、バスレフ型
●使用ユニット:38mmリングドーム型ツイーター、130mmアルミニウムコーン型ウーファー
●再生周波数帯域:52Hz〜24kHz
●インピーダンス:8Ω
●感度:88dB
●寸法/質量:W240✕H300✕D350mm/7.6kg

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