名エンジニア・ロイ・デュナンの代表作を名手スティーヴ・ホフマンが忠実にSACD化

 ジャズの名エンジニアとして、東海岸のルディ・ヴァン・ゲルダーと並び称されるのが、西海岸のロイ・デュナンだ。彼がハウスエンジニアとして活躍した「コンテンポラリー・レコード」の諸作は、リアルなプレゼンス感とナチュラルな声/楽器の質感とが相まって、オーディオ的な自然さと生々しさという点で音にうるさ方の人々から熱く支持されている。そうした背景もあって、ステレオサウンドから「Best Sound Selection」のボックスとして選りすぐりの5作品が発売されているのである。

 デュナンの録音は、最小限の数のマイクでの集音に特徴があり、それがナチュラルなプレゼンス感につながっている。オリジナルマスターテープからのマスタリングを担当したのが名手スティーヴ・ホフマンで、オリジナル音源に対する忠実性がこのSACD版の最大の魅力といってよい。

Stereo Sound Best Sound Selection
SACD/CDハイブリッド盤『Contemporary Records Vol.2』(5枚組・全45曲収録)

(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド SSCR-006~010)¥19,250 税込

DISC 6 Selected by 三浦孝仁&ステレオサウンド編集部
[収録曲]
ウェイ・アウト・ウェスト/ソニー・ロリンズ
WAY OUT WEST/SONNY ROLLINS
Disc 7 Selected by 小野寺弘滋
[収録曲]
バーニー・ケッセル・プレイズ・カルメン
BARNEY KESSEL PLAYS "CARMEN"
Disc 8 Selected by 小原由夫
[収録曲]
マイ・フェア・レディ/シェリー・マン
MY FAIR LADY/SHELLY MANNE & HIS FRIENDS
Disc 9 Selected by 菅原正二
[収録曲]
アート・ペッパー・プラス・イレヴン
ART PEPPER + ELEVEN
Disc 10 Selected by 和田博巳
[収録曲]
ジ・アライヴァル・オブ・ヴィクター・フェルドマン
THE ARRIVAL OF VICTOR FELDMAN

●マスタリングエンジニア:スティーヴ・ホフマン
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 『ウェイ・アウト・ウェスト/ソニー・ロリンズ』は、コンテンポラリーが誇るレイ・ブラウン、シェリー・マンというリズムセクションを従えたワンホーン・トリオによるレコーディング。野太いテナーサックスの響きに呼応するベースとドラムが小気味よい。

 ジャケットの赤い闘牛のイラストがユニークな『バーニー・ケッセル/カルメン』は、軽快なギターのカッティングとストロークが見えるかのような鮮明な音だ。

 『マイ・フェア・レディ/シェリー・マン』は、オードリー・ヘップバーン主演映画の挿入歌をアレンジしたベストセラーのピアノ・トリオ盤。3つの楽器の掛け合いの妙がクリアー。

 小粋なアンサンブルが繰り広げられる『アート・ペッパー・プラス・イレブン』は、スモールコンボならではのハーモニーの厚みと、その手前に陣取るソリストの実体感がリアル。

 今日的な言い方をすれば、マルチプレーヤーと呼びたいビクター・フェルドマン。彼のリーダー・アルバム『ジ・アライヴァル・ビクター・フェルドマン』は、不世出のベーシスト・スコット・ラファロの参加も話題。抜群のトランジェントでヴィブラフォンやピアノの旋律が楽しめる。

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