オーディオメーカーとして、60年以上の輝かしい歴史を誇る仏エリプソン。同社が手がけてきたスピーカーシステムの最大の特徴は、独創的なデザインと、高い技術に裏付けされた確かなサウンドにある。

 長い歴史の中で、ひときわ存在感を放つのが、1953年にお披露目されたドライバー内蔵の球体スピーカーBS50だ。効率的かつ審美的なフォルムで、上部にはサウンドリフレクターを配置。金属製の細い三脚で支えられ、あたかも宙に浮いているかのようなシルエットが特徴的だ。

 このカタチはエンクロージャー内での干渉を抑えるひとつの回答だったわけだが、エリプソンではこの技術をさらに発展させ、スピーカー(箱)自体が発生するノイズを低減させる巧妙なシステムを考案。1962年、この技術に対して、担当エンジニアの研究と創造を讃える国家勲章が与えられたという。

 日本ではすでにPrestige Facet(プレステージ・ファセット)シリーズが広く認知されているが、そこにこの春、同社のエントリーラインとなる、Horus(ホルス)が加わった。2ウェイ・ブックシェルフ型Horus 6Bと、2.5ウェイ・フロアスタンディング型Horus 11Fの2モデルだ。エリプソンが誇る技術、経験、ノウハウを凝縮し、丁寧に設計されたシステムで、価格を大きく超えた価値を真摯に追求した自信作だ。

 いずれもグラスファイバーコーティングを施したセルロースパルプ振動板の130㎜径ウーファー(Horus 11Fは2基)と、25㎜ネオジム・シルクドームトゥイーターの組合せで、バスレフポートは前面に配置している。

 横幅17.5cm、奥行27cmも同一寸法で、Horus 6Bをそのまま縦方向に拡大し、2.5ウェイシステムに発展させたのがHorus 11Fという見方もできる。また両モデルともに3種類の仕上げが用意され、インテリアに合わせてユーザーの選択幅を広げている。

画像1: エリプソンのスピーカーシステム「Horus 6B」「Horus 11F」。価格を超えた大きな価値を追求。重く厚みのある音に魅了された【ハイコスパをねらえ!一点突破のグレードアップ術】

Speaker System
エリプソン
Horus 6B
¥88,000(ペア)税込 写真左

 

Horus 11F
¥198,000(ペア)税込 写真右

● 寸法/質量:Horus 6B・W175×H340×D270mm/5kg、Horus 11F・W175×H875×D270mm/13kg
● カラリング:ブラックカーボン、ウォールナット・ダーク・グレイ、ライト・ウッド・ベージュ
● 問合せ先:フューレンコーディネート TEL.0120-004-884

 

 

小型2ウェイHorus 6Bは鮮度が高く躍動する音が魅力

 ではさっそくHorus 6Bから聴いていこう。まず感じるのがエンクロージャーの造りの良さだ。1本、5kgとそう重いタイプではないが、箱の造りが精巧で、やわな感じがない。

 まずリンダ・ロンシュタットやチョ・ソンジンと、聴き慣れたCDから数曲再生してみたが、その造りの良さはそのまま雑味のない、落ち着きのあるトーンのサウンドに表れている。天井方向、さらに奥行方向と、スムーズな空間の拡がりと明確な定位が特徴的で、リズム感がいい。

 チョ・ソンジンのピアノは生きのいい澄んだサウンドがスッとたち上がり、目の前に空間に解き放たれた感じで、かすかに残る余韻、響きの消え際まで滑らかだ。

 映画『グレイテスト・ショーマン』の再生でも、鮮度の高い、勢いのあるサウンドが躍動した。小型2ウェイのシステムということもあって、凄味を前面に押し出すようなタイプではないが、ジェニー・リンドが歌う「ネバー・イナフ」は広い空間に染み渡るように歌声が浸透し、厚みのある演奏がコンサートホール内を盛り上げる。55インチや65インチの映像に巧くマッチするスケール感と言っていいだろう。

1インチ(25.4mm)口径のシルクドーム型トゥイーターと5インチ(130mm)口径のパルプコーン型ウーファーの搭載が特徴。ウーファーの表面はグラスファイバーで処理され、特性向上を図っている

両モデルともにスピーカー端子はシングルワイアリング接続専用となる

 

 

トールボーイHorus 11Fの厚く、しかも膨張しない低音が見事だ

 2.5ウェイ・フロアスタンディング型Horus 11Fは、エンクロージャーの造りの良さは、Horusシリーズに共通するもの。サランネットの仕上げも丁寧で、エッジのシルエットがキレイだ。システムとして見ても安っぽさは微塵もない。

 ここではダイアナ・クラール、反田恭平などのCDから数曲再生したが、空間の濃密さといい、バスドラム、ベースの躍動感といい、期待値を越える、重く厚みのあるサウンドが目の前に浮かび上がった。

 「デスペラード」を歌うダイアナ・クラールの歌声は芯が強くて張りがあり、彼女の持ち味でもある低音の響きにも余裕がある。微小信号の描写、空間の静けさ、ピアニシモの描き分けと、随所でシステムとしての素性の良さを感じることができた。

 UHDブルーレイで観た映画『アリー/スター誕生』は、女心の切ない思いを歌詞に込めた「Always Remember Us This Way」を聴いたが、声の熱いエネルギーに加えて、ステージ中央から客席へと浸透し、観客の感動、場内の盛り上がりが手にとるように感じられる。アリー演じるレディー・ガガの歌声にすっかり魅了されてしまった。

 このクラスのフロアスタンディング型スピーカーは、低音が膨張したり、歪みっぽくなったり、エンクロージャーの弱さを感じてしまうことが少なくないが、このモデルについてはそうした不安は皆無。この造りの良さはさすがだ。

 世界的な物価上昇が続くなか、国内でも輸入オーディオ品の値上げラッシュが止まらない。そのなかにあってHorusシリーズの登場は、まさに一筋の光明。この価格で、このサウンドクォリティは立派だ。

 

本記事の掲載は『HiVi 2024年夏号』

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