“両家顔合わせ”で発覚したまさかの真実とは?

 ダイアン・キートン×リチャード・ギア、スーザン・サランドン×ウィリアム・H・メイシ―。『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』は、このハリウッドのベテラン・スターたちが熟年夫婦を演じ、それぞれが“残りの人生を幸せに生きるにはどうしたらいいの?”という難問を抱えて右往左往する姿を描く大人のロマンチック・コメディだ。

画像: 左より、リチャード・ギア×ダイアン・キートン、ウィリアム・H・メイシ―×スーザン・サランドン。豪華メンバーの共演が実現した『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』は、『クイズ・ショウ』のマイケル・ジェイコブスが監督を務める

左より、リチャード・ギア×ダイアン・キートン、ウィリアム・H・メイシ―×スーザン・サランドン。豪華メンバーの共演が実現した『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』は、『クイズ・ショウ』のマイケル・ジェイコブスが監督を務める

 ことの発端は、同棲中の若いカップルが大喧嘩をしたこと。「そろそろ結婚したい女性」と「なかなか結婚に踏み切れない男性」は、とりあえず両親の結婚生活を参考にしようと、両家顔合わせの会食を行なった。で、両親が揃ってみれば、なんとお互いの配偶者同士でダブル不倫をしていた! という展開に。

 敬虔なクリスチャンの主婦グレースを演じるのはダイアン・キートン。かつてウディ・アレン監督の『アニー・ホール』(77年)でマニッシュなニューヨークファッションを披露し、“永遠のおしゃれアイコン”にとなった彼女。70代後半になってもそのセンスは衰えず、うぶで生真面目な専業主婦役だけど、やっぱり着こなしがモダン。まぁ、ちょっとぶりっ子演技だけど、可愛い。

画像: 「老けたイモになんかなりたくなかった」と言いながらも、そこはかとなくおしゃれなグレース

「老けたイモになんかなりたくなかった」と言いながらも、そこはかとなくおしゃれなグレース

 で、若かりし頃、ダイアンと共演した『ミスター・グッドバーを探して』(77年)で脇役ながら脚光を浴び、一躍“セクシー俳優”の座についたリチャード・ギアが、その夫ハワード役。彼はじわじわと迫る老いに戸惑い焦り、「ワンナイトのはずが、4ヶ月も続く」不倫の真っ最中。

 ま、ギア様ご本人は69歳・70歳(19、20年)で、34歳年下の3人目の妻との間に年子を設けているのだから、衰え知らず。演じるハワードが「まだまだ、男の現役でいたいのに」としょんぼりしても「な~んとなく似合わない」と思うのは、私が長年のギア様ファンだから? お許しください。

 そこへいくと、ハワードの不倫相手モニカを演じるスーザン・サランドンは、まさにハマり役。自由奔放で、ウィリアム・H・メイシ―演じる堅物で独善的な夫の束縛にメゲつつも抵抗し、自由奔放で進歩的……というか、いつでも“自分が納得する人生を、自分の足で歩もうとしている”女性。豪華なホテルのベッドで、浮気相手のリチャードに迫る下着姿も、すご~くセクシーでパワフルで、魅惑的!

画像: 現時点で、スーザン・サランドン77歳、リチャード・ギア74歳。特にスーザンの年齢には驚くばかり

現時点で、スーザン・サランドン77歳、リチャード・ギア74歳。特にスーザンの年齢には驚くばかり

長年のパートナー、ティム・ロビンスとの関係で傷ついた心を癒したのは……

 私がスーザンと会ったのは、彼女が66歳になったばかりの2012年10月。『クラウド アトラス』(12年)のプロモーション……というより、それを口実に日本に遊びに来たようだった。

 さして大きな役ではなかったせいか、作品についてのコメントはそっけなかった。それよりも、ニューヨークにある卓球クラブ『SPiN』をロサンゼルスにもオープンする話と、自身が製作を手掛けている卓球をテーマにした映画『Ping Pong Summer』(14年)の話を滔々と語っていた。

 それもそのはず、彼女はアカデミー賞主演女優賞を獲得した『デッドマン・ウォーキング』(95年)の監督である、俳優ティム・ロビンスとの20年に及ぶパートナー関係を、2009年に解消している。そして、その痛手を癒やしてくれたのが、くだんの卓球クラブの共同経営者で30歳年下の恋人ジョナサン・ブルックリンだったことを、後に知った。そりゃ、熱心に語るはずだよなぁ。

画像: 来日の際、筆者の金子裕子さんがスーザンからもらったサイン

来日の際、筆者の金子裕子さんがスーザンからもらったサイン

 そして、奇しくも母スーザンと会見した数年後(たぶん2013年頃)、スーザンとティムの息子マイルズ・ロビンスと、字幕翻訳者の戸田奈津子さんを介してお食事したエピソードは、このコラムでも披露したことがある。

 当時は名門ブラウン大学を卒業直前でやめて、ニューヨークの『SPiN』でDJやバンド活動をしていたマイルス。「母親の恋人が経営している、すごく楽しい店だよ」とさらりと言う姿に、「さすがリベラルなスーザンの息子ね」と妙に感心したのを覚えている。もちろんハンサムで素直で陽気で、それでいてお行儀のいい青年だったけど、いまや31歳かぁ。

 で、ここからはこじつけになるのだが……。『アバウト・ライフ 幸せの選択』には、深夜に息子が母親に結婚への戸惑いをあれこれ相談するシーンがあるのだけど、私には、その2人の姿がスーザンとマイルズに見えてしまう。だって母親の言葉が、いかにもスーザンが言いそうな明快なアドバイスなんだもの。なんと言っているのか? ぜひ、映画を見て納得していただきたい。

『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』

3月8日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

監督・脚本:マイケル・ジェイコブス
出演:ダイアン・キートン/リチャード・ギア/スーザン・サランドン/エマ・ロバーツ/ルーク・ブレイシー/ウィリアム・H・メイシー
原題:Maybe I Do
2023年/アメリカ/95分
配給:AMGエンタテインメント
(c) 2023. FIFTH SEASON, LLC. All Rights Reserved.

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