画像1: オルトフォンの「EQA2000」は、フォノイコライザーアンプの最上位モデル。2種の異なる昇圧トランスを搭載し、音の個性を容易に選択できる

Phono Equalizer Amp

オルトフォン

EQA 2000

¥540,000 (税別)

●入力端子:MC2系統(XLRバランス)、MC昇圧トランス入力1系統(XLRバランス※MM・RCAアンバランス入力と切替え)、MM1系統(RCAアンバランス)●入力インピーダンス:5Ω〜50Ω(MC1a)/〜10Ω(MC1b)/2Ω〜60Ω(MC2)、47kΩ(MM)●入力感度:220μV/150Ω(MC1a)、100μV/25Ω(MC1b)、140μV/200Ω(MC2)、2.8mV/47kΩ(MM)●出力端子:2系統(RCAアンバランス、XLRバランス)●寸法/重量:W425×H75.5×D390mm/9.2kg●備考:サブソニックフィルター装備、MC入力は内蔵トランス2種を切替え可●問合せ先:オルトフォンジャパン(株)TEL.03(3818)5243

 オルトフォンから新設計の上位フォノイコライザーアンプ、EQA2000が登場した。2系統のMCダイレクト入力は、XLR端子のバランス型専用。MM入力はRCA端子に加えて、MC型+外部のバランス出力昇圧トランスを想定したXLR端子の両方が用意されている(背面スイッチ切替え)。

 MC入力は内蔵する昇圧トランスで受ける設計で、本機は2種類の異なる昇圧トランスを搭載。MC1a(5〜50Ω)とMC1b(〜10Ω)はオルトフォンの仕様によるスウェーデンのルンダール社による昇圧トランスが対応。MC2(2〜60Ω)は本機専用設計の国産トランスが受け持つことで、適切なインピーダンスへの対応と昇圧トランスによる音質の違いが選べるよう配慮されている。信号増幅の回路は専用基板となっており、バランス出力(XLR端子)とシングルエンド出力(RCA端子)を装備。超低域を減衰(10 Hz/−8dB)できるサブソニックフィルターのスイッチも背面にある。RIAAイコライザー補正回路はNF型ということだ。

 フェーズメーションのMC型フォノカートリッジPP2000と組み合わせて、EQA2000のMC入力の音を聴いた。アナログプレーヤーはテクニクスSL1000RにグランツのMH1000Sトーンアームを加えた状態。管球王国誌リファレンスのウエスギ製プリアンプ+パワーアンプに、B&Wの新型801D4を接続した機器環境である。

 PP2000は公称インピーダンスが4Ωなのだが、MC1aで聴いたドナルド・フェイゲン「マキシン」とアンセルメ指揮「三角帽子」は、低域方向が少しおとなしく感じられるものの音場の見通しが良好なクリアーさを聴かせた。これがMC1bでは力強さが増し、ピアノの音の立ち上がり(マキシン)や笛の鋭い音色の響き(三角帽子)が鮮やかに描かれていく。低音域もこちらのほうが締まっていながら量感も得られて、エネルギーバランスの面からも好ましかった。

 国産の昇圧トランスというMC2は、全体的に音の密度を高めた濃厚さが印象的。アンセルメ指揮「三角帽子」は、こちらのほうが重厚さや色彩的な渋さが感じられるのだ。音場空間の開放感や空間の広がりに関してはルンダール製のほうが巧みで、どうやら国産昇圧トランスは特に音の凝縮感に長けている。音の個性を容易に選択できるのは便利だ。

画像: フロントパネル中央にMC1a/MC1b/MC2/MMのインジケーターを装備。右にMC入力端子2系統の切替え、MC1a/MC1b/MC2/MMセレクターの2基のノブを装備する。ポジションMC1a/MC1bはルンダール製の特注MC昇圧トランス、MC2はEIコア採用の本機専用設計による国産MC昇圧トランスとなる。

フロントパネル中央にMC1a/MC1b/MC2/MMのインジケーターを装備。右にMC入力端子2系統の切替え、MC1a/MC1b/MC2/MMセレクターの2基のノブを装備する。ポジションMC1a/MC1bはルンダール製の特注MC昇圧トランス、MC2はEIコア採用の本機専用設計による国産MC昇圧トランスとなる。

画像: リアパネル。左の2系統のMC用XLRバランス入力端子ともMC1a/MC1b/MC2ポジションに対応。その右のXLRバランス入力端子は単体昇圧トランスからのバランス接続に対応し、RCAアンバランスMM入力端子とはスナップスイッチで切り替える。右にXLRバランスとRCAアンバランスの出力端子とサブソニックフィルターのオン/オフ切替えスイッチを装備。

リアパネル。左の2系統のMC用XLRバランス入力端子ともMC1a/MC1b/MC2ポジションに対応。その右のXLRバランス入力端子は単体昇圧トランスからのバランス接続に対応し、RCAアンバランスMM入力端子とはスナップスイッチで切り替える。右にXLRバランスとRCAアンバランスの出力端子とサブソニックフィルターのオン/オフ切替えスイッチを装備。

画像: 内部を見る。写真は回路基板部と配線部の2つのシールドケースを外した状態。右上の基板に見える2基の円筒形のパーツが国産MC昇圧トランスのパーマロイ材製ケース。その下の2基のルンダール製MC昇圧トランスは四角いμ-metal合金ケースに収められる。いずれも十分なノイズ対策が行なわれている。

内部を見る。写真は回路基板部と配線部の2つのシールドケースを外した状態。右上の基板に見える2基の円筒形のパーツが国産MC昇圧トランスのパーマロイ材製ケース。その下の2基のルンダール製MC昇圧トランスは四角いμ-metal合金ケースに収められる。いずれも十分なノイズ対策が行なわれている。

画像2: オルトフォンの「EQA2000」は、フォノイコライザーアンプの最上位モデル。2種の異なる昇圧トランスを搭載し、音の個性を容易に選択できる

Cartridge

Concorde MKⅡ ELITE

オープン価格(税込参考表示売価 ¥64,790)

●発電方式:MM型●出力電圧:8.5mV(5cm/sec、1kHz)●負荷インピーダンス:47kΩ●負荷容量:150pF〜400pF●適正針圧:2g〜4g(標準3g)●自重:18.5g●備考:ボディカラーはブラックとゴールドの2仕様あり

 オルトフォンからは、ハイファイ用途も考慮したMM型のコンコルドMK2エリートも登場。40アニヴァーサリーに続いて無垢ダイアモンド楕円針を装備したDJ用製品である。こちらはEQA2000のMM入力で音を聴いたが、軽量なのでSL1000Rのテクニクス製トーンアームに装着している。

 8.5mVの高出力と無垢ダイア楕円針により、繊細かつエネルギッシュなサウンドが味わえる。トレース能力も優れており、鳴りっぷりの良い躍動的な音を特徴にしている。

画像: Concorde MKⅡ ELITEの針先を見る。ConcordeシリーズMM型のフラッグシップモデルで、カンチレバーはアルミ・マグネシウム合金製。r/R 8/18μmの無垢楕円針を採用し、DJ用シリーズながらハイファイ再生に対応する。

Concorde MKⅡ ELITEの針先を見る。ConcordeシリーズMM型のフラッグシップモデルで、カンチレバーはアルミ・マグネシウム合金製。r/R 8/18μmの無垢楕円針を採用し、DJ用シリーズながらハイファイ再生に対応する。

EQA2000に付属する電源ケーブル。OFC銀メッキ線材を採用し、アルミ箔シールドしたハイグレード品。

画像: 取材に使用したDIN 5pin-XLRフォノケーブル オルトフォン 6NX-TSW1010B ¥28,600 (税別)


取材に使用したDIN 5pin-XLRフォノケーブル オルトフォン 6NX-TSW1010B ¥28,600 (税別)

画像: Concorde MKⅡ ELITEはテクニクスSL1000Rの標準搭載アームで試聴した。

Concorde MKⅡ ELITEはテクニクスSL1000Rの標準搭載アームで試聴した。

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