サムスンディスプレイが開発したQD-OLEDは、2年目に入った。昨年の初年度はサムスンエレクトロニクス、ソニー、デルが採用したが、2年目は採用メーカーがどれくらい増えるかにまずは注目だ。筆者はアンコアホテル・ボールルーム7のサムスンディスプレイ・スゥイートを訪問し、仔細に取材できた。
![画像: 青色発光層新材料「OLED Hyper Efficient EL」と発光最適化アルゴリズム「インテリセンスAI」が効いた](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/ff551b86842fbfdf96ac9a3526c060fcb337fb9f.jpg)
青色発光層新材料「OLED Hyper Efficient EL」と発光最適化アルゴリズム「インテリセンスAI」が効いた
![画像: XCR(eXperiential Color Range)の説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/635d97db76bd937a7d2f83cefa0696d8e6a77042.jpg)
XCR(eXperiential Color Range)の説明
今年のプロモーションは「高輝度+色の高輝度」効果を打ち出す。つまり単に輝度的な明るさだけでなく、色の高彩度が加わると、たとえ数字上の輝度は同じであっても、人の視覚の認識では、格段により明るいと感じることを、前面に打ち出すのである。高彩度にて輝度が上がったように見える(同じ輝度の色では,彩度が増すにつれて知覚明度が増加する)現象は、学会的にH-K効果(ヘルムホルツ-コールラウシュ効果)として知られている。
量子ドット効果により、青色(B)発光から赤(R)と緑(G)が取り出せ、輝度も彩度も強いQD-OLEDのメリットを活かすプロモーション作戦だ。担当者は「QD-OLEDを押し出す新しい切り口がないかと模索した結果、XCR(eXperiential Color Range)というコンセプトを打ち出すことにしました」と言った。つまり「視覚で感じる実質輝度」という概念だ。
輝度はセンサーによって画面の明るさを測定して得ているが、QD-OLEDの感覚的な明るさは、数字では完全に表現できないという知見から、H-K効果に基づく「PERCEPTUAL LUMINANCE」(認識輝度)のブランディングとして、XCRを提案するのだ。BT.2020の90%、DCI-P3で125%のカラーボリュウムを持つQD-OLEDの色性能に、まさにふさわしい切り口であろう。
![画像: 32:9の49型ゲーム用QD-OLEDディスプレイも新開発。サムスンエレクトロニクスのminiLEDモニターとの比較](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/828b06379ffbbe37c2e068d6a63fd61bb4eb0dca.jpg)
32:9の49型ゲーム用QD-OLEDディスプレイも新開発。サムスンエレクトロニクスのminiLEDモニターとの比較
![画像: 分かりにくいが、まわりのミラーも同じ景色を映している、2023QD-OLEDの77型4Kディスプレイ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/75f98d6eae06530d49a984d66ac953201aa7d806.jpg)
分かりにくいが、まわりのミラーも同じ景色を映している、2023QD-OLEDの77型4Kディスプレイ
技術的にも2022年モデルに比べ、進化を見せている。ピーク輝度は昨年モデルが1,545nitsに対し、2023年モデルは2,096nitsと大幅に向上。それは、①QD-OLEDの青色発光層に新材料「OLED Hyper Efficient EL」を適用して光源効率を向上、②ビッグデータに基づくAI技術により、各画素の情報をリアルタイムに収集し、それを用いて発光を最適化するためのアルゴリズム「インテリセンスAI」……による複合成果という。
この高効率の有機材料とAI技術の適用により、2022年モデルの消費電力から最大25%削減している。実際に観た感想としては、色の力感、彩度感、そして輝きが印象的であった。
これまでの55型、65型に加え、77型の4Kパネルと49インチのウルトラワイドパネルを2023年ラインナップに用意した。LGディスプレイのMETA有機ELパネルとの戦いが見物だ。
![画像: イタリアの有名な写真作家、フランコ・フォンタナのカラフルな絵画が、QD-OLEDで活きる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/4cc8eb763c50db64d46eff10f5ac50aa7842fd6f.jpg)
イタリアの有名な写真作家、フランコ・フォンタナのカラフルな絵画が、QD-OLEDで活きる
![画像: アンコアホテルでのサムスンディスプレイスゥイート](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783364/rc/2023/01/14/4bd42f34c4492aa6eb0ce06728b7946028d07f90.jpg)
アンコアホテルでのサムスンディスプレイスゥイート