大画面に相応しい迫力のサウンドを提供するスピーカーとして登場したサウンドバー。当初、テレビのアクセサリー的な扱いだったが、その設置性、使い勝手のよさで人気を集め、いまや家庭用スピーカーシステムの1ジャンルとしてすっかり市民権を獲得してしまった。

 老舗のオーディオメーカー、デノンが目指したのは、ズバリ「音のいいサウンドバー」。奇をてらうことなく、正攻法の設計で、純粋なオーディオ機器として仕上げる。その発想、スタンスがもっとも明確に具現化されたのが、一昨年に製品化され、各方面から高い評価を受けたサウンドバーDHT-S216だ。

 外観はシンプルで、凝った機能や高価なパーツを用いた、いわゆる高級機ではなく、誰にでも使いやすく仕上げられたスタンダードモデルだ。最大の特徴は、機能を必要最小限に絞り、開発に関わるコストを音質向上に大きく振り分けたこと。その狙いがあたり音のよさが発売早々評判を呼び、品薄の状態が続くほどの大ヒットモデルとなった。

 

シンプルな外観ながら高音質を徹底的に追求

 この基本コンセプトをそのまま受け継いだ新世代モデルがDHT-S217だ。ドルビーアトモスならびドルビートゥルーHDやリニアPCM7.1chのロスレスオーディオ、eARC(エンハンスド・オーディオ・リターン・チャンネル)への対応が大きな進化点だが、設計担当は、S216同様にデノンの高級オーディオ機器も手がける熟練のエンジニア。高音質化に向けた技術・ノウハウが、これでもかとばかりに投入され、持ち前のサウンドに磨きがかかった。

 

画像1: テレビ音響の向上は当然。音の凄さで勝負するサウンドバー DENON「DHT-S217」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

SOUND BAR
DHT-S217
オープン価格(実勢価格2万9,700円前後)

● 型式:サウンドバー
● 使用ユニット:25mmトゥイーター×2、45×90mm楕円型ミッドレンジ×2、75mmコーン型サブウーファー×2
● 接続端子:デジタル音声入力1系統(光)、アナログ音声入力1系統(3.5mmミニフォーン)、サブウーファープリ出力1系統(RCA)、HDMI入力1系統、HDMI出力1系統(eARC/ARC対応)
● Bluetoothバージョン:5.0
● Bluetooth対応コーデック:SBC
● 寸法/質量:W890×H67×D120mm/3.6kg
● 問合せ先:デノン・マランツ・D&Mインポートオーディオお客様相談センター TEL.0570(666)112

 

 高さが67mmと低く、奥行も120mmしかないため、画面下のスペースに無理なく納まり、横幅も890mmとコンパクト。大画面の売れ筋となる50インチ前後のテレビと組み合わせると、ちょうどいいバランスで、見た目の収まりもいい。

 スピーカーユニットの構成は25mm径のトゥイーター(高域)と45×90mmの楕円型のウーファー(低域)からなる2ウェイシステムに、75mmサブウーファー2基を組み合わせた内容。完全一体型で2.1chのシステムを構築していることになるが、専用の音声出力端子を利用して、サブウーファーを追加することも可能だ。

 一見、何の変哲もないシンプルなモデルにも思えるが、本機の最大の特徴はやはり音のよさにある。スピーカーシステムとしての素の音に磨きをかけることで、サラウンド再生でもおのずとクォリティが高まり、臨場感に富んだ再現性が得られる、という考え方だ。

 それを象徴するのが、デノンの高級AVアンプでもお馴染みの「Pure(ピュア)モード」という再生モードだ。これはDSPによるサラウンド処理やバーチャル処理を完全にパスして、音声信号のデコード後、余計な処理を行なわない、いわば純粋な信号をパワーアンプにそのまま伝送するというもの。入力された信号に足すことも、引くこともせず、あるがままに再現するという発想だ。

 化粧はせずに、スッピンで勝負。ここでデノンが誇る高音質技術/ノウハウがものをいう。具体的には、音の濁りを抑えるために、単純な平面を作らない筐体設計を採用したり、一定の剛性を確保し、同時に音の抜け感をよくするために、両端のバスレフポートのサイズを最適化したり、音にいいと思われる工夫を細部まで徹底して採用。特に今回は電源回路、各種演算回路については、上級機となるDHT-S517と同等の技術を奢っているという。ちなみに「Pureモード」とは別に「Movie」「Music」「Night」といったサウンドモードを備え、アナウンサーの声やセリフなどを聞き取りやすくする「ダイアログエンハンサー」(強/中/弱の3段階)も装備している。

 

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接続端子は、本体中央の背面にまとめて配置されている。テレビとつなぐ場合は、HDMI(eARC/ARC)の端子と、テレビ側のeARC/ARC対応HDMI端子に、HDMIケーブルで接続する

 

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本体天面には、各種操作ボタンがまとめられている。仕上げは、上質なファブリックで、前モデルのDHT-S216のブラックからグレイにカラーが変更された

 

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底板には75mm口径のウーファーを2基搭載し、本体と設置面との隙間から低音を放出する設計だ。本体フットを従来よりも高さを上げて、よりスムーズに音が広がるような設計変更を受けている

 

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付属リモコンで、「PURE」モードを選ぶと、「音の純度がもっとも高い」状態でのサウンドとなる。この「PURE」モードでは、デノンのサウンマスターという音づくりの担当者が入念にチューニングを行ない、ピュアでストレートなサウンドを実現したという

 

 

映像作品との相性抜群。ロスレス音響が魅力的だ

 まずドルビーアトモス音声で収録されたUHDブルーレイ『フォードvsフェラーリ』を「Movie」モードで再生してみたが、音そのものの明瞭度が高く、実在感に富んだセリフが画面にしっかりと定位する。その外側、奥行方向に音楽や効果音が自然に重なり合いながら、その場、その場の空間のスケールのみならず、気配までもていねいに描き出していく様子も好印象だ。

 本作最大の見せ所となるレースシーンでは、目まぐるしく変わっていくエンジン音、路面の状況まで感じとれる走行音、あるいは一喜一憂するスタジアムの歓声と、複雑に入り交じった多彩な音を確実に捉え、冷静に描き出していく。強引に空間を拡張することはしないため、長時間視聴でもストレスがなく、映像との馴染みも良好だ。

 BDに保存した、5.1ch音声の『NHK紅白歌合戦』を再生してみると、総じて穏やかで、落ち着いた聴かせ方で、声は開放的で、明瞭度が高い。MISIAの歌声からは独特の清涼感と透明感がしっかり描かれ、伸びやかさも充分に引き出す。響きは無理なく、自然に拡がる感じ。不快な逆相感はなく、自然なサラウンド感が得られた。

 

テレビのSpotify連携機能を活用。本格スピーカーに通じるサウンドだ

 本機はBluetooth対応なので、スマホとBluetooth接続での再生も可能だが、今回はGoogle TV OSを採用したシャープの新製品4Kテレビ4T-C50EN2との組合せで、Amazon MusicやSpotifyといった音楽ストリーミングアプリによる再生を試してみた。Google TVやAndroid TV OS採用テレビの場合、もちろんテレビ単独で再生できるが、Spotifyではスマホをリモコン代わりに使えるSpotify Connectが活用できる。

 

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今回はシャープの新型4Kテレビ4T-C50EN2との組合せで、デノンの最新サウンドバーDHT-S217のパフォーマンスをチェックした。S217は、幅約90cmで50インチ程度の画面サイズとベストマッチする

 

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最近のテレビで採用例の多いAndroid TV OS搭載モデルでは、SpotifyやAmazon Musicなど、音楽ストリーミングサービスのアプリもインストールでき、そのサービスが楽しめる。その際に重要になるのが、テレビ自体の音楽再生能力。テレビのサウンドシステム強化策としてサウンドバーを追加するケースが多いが、DHT-S217のように、単体スピーカーとしての能力を高めた製品をぜひ選択したい

 

 

 「Pureモード」で聴く「That's All / Azure-Te/ダイアナ・クラール」(Spotify)は明るめの音調で、空間の拡がり、静けさの描写といったところで、潜在能力の高さを感じさせる。

 声は口の動き、息遣いが感じられるほど生々しく、ピアノのアタックも軽やで、腰砕けにならない。彼女の歌声が目の前にフワッと浮かび上がる様子は、本格的なハイファイスピーカーに通じるもの。清々しい気分にさせてくれる馴染みのいいサウンドはなかなか魅力的だ。

 クォリティと使い勝手を高い次元で両立させた貴重なサウンドバー。この1台でリビングのオーディオはがぜん楽しくなる。

 

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