映画ファンなら誰しも憧れるホームシアター生活。コロナ禍にあって外出がままならない昨今、お家時間が増えてからというもの、そうした環境があったらなぁと、思い浮かべる人は多いことだろう。しかしながらホームシアターは何かとハードルが高いと感じている人も多い。プロジェクターにアンプにスピーカーにと、色々な機材を揃えなくてはならないし、スクリーンやプロジェクターを設置するスペースも確保しなくてはならないからだ。

 ならばプロジェクターの代わりに大画面テレビを導入しようというオーディオビジュアルファンもいるだろう。だがプロジェクターで投写するほどの画面サイズを持つフラットテレビとなると、実は意外と融通が利かない。戸建住宅ならともかく、高層住宅ではエレベーターに入らないケースもままある。60型程度なら何とかなっても80型はまず無理だろう。大型家具用のエレベーターが用意されているマンションなら可能かもしれないが、それも数は少ない。

4Kプロジェクター 「VAVA Chroma VA-SP003」

画像: 手軽なホームシアターの夢を叶えてくれる、超短焦点プロジェクター「VAVA Chroma VA-SP003」。明るく元気な映像は、リビングの大画面体験にぴったりだ

●投写方式:DLP方式
●投写解像度:4K(水平3840×垂直2160画素)
●光源:レーザー(ALPD4.0)
●輝度:2500lm(ANSI)
●コントラスト比:300対1(ANSI)、3000対1(FOFO)
●色再現範囲:Rec.2020●スマートTVシステム:Android9.0
●内臓スピーカー:Harman Kardon 30W×2
●対応フォーマット:DTS、Dolby Audio対応
●接続端子:HDMI入力×3(HDCP2.2、1ポート ARC対応)、USB、AV入力(3.5mm)、アナログオーディオ出力(3.5mm)、光デジタル音声出力、LAN端子
●Bluetooth:送信/受信対応
●動作ノイズ:30dB以下
●消費電力:300W(スタンバイ時0.5W)
●寸法/質量:W539.8×H110×D378mm/11kg

画像: 接続端子や電源コネクターは本体後方に配置。ARC対応のHDMI端子を搭載しているのは、プロジェクターとしては珍しい

接続端子や電源コネクターは本体後方に配置。ARC対応のHDMI端子を搭載しているのは、プロジェクターとしては珍しい

※投影距離と画面サイズ(本体含まず)
80インチ/8.2cm、100インチ/18.3cm、120インチ/28.7cm、150インチ/44.2cm

 大画面は諦めるしかないのか……、と思っていた人たちに朗報がある。それが、今回紹介する超短焦点プロジェクター「VAVA Chroma VA-SP003」だ。

 一般的にプロジェクターは投写距離によってスクリーンサイズが決まってくる。ズーム機能で若干の調整はできるが、基本的に投写距離が長くなれば大画面になり、短かければ小さくなる。ところがVA-SP003は、スクリーンの手前に床置きするだけで、簡単に100インチ級の大画面が出来上がる。

●米国で設計されたDLP方式の4Kレーザープロジェクター

 では、VA-SP003について紹介したいと思う。この記事を読んでいる読者諸氏にもVAVAという名前はあまり馴染みがないだろう。VAVAは2015年、米国カリフォルニア州で設立されたSUNVALLEY(サンバレー)が展開するプロジェクターブランドで、同社はコンピューター周りのアクセサリーとして人気の高いRAVPower(ラブパワー)ブランドなども手掛けている。

 モダンなライフスタイル提案からプロジェクター事業をスタートさせているが、特に超短焦点モデルに特化しているところにもこだわりが感じられる。VA-SP003の前作となる「VA-LT002」は米国内で5,000台以上のセールスを記録しているというから、VAVAがいかにこの分野にも力の入れているのかよくわかる。

 もっとも日本とはプロジェクターに対するスタンスの違いもあるようで、映画を観るというより、スポーツ観戦やテレビドラマを大画面に写し出すという提案が注目されているようだ。またラフな使い方をしてもそれなりに綺麗な絵が楽しめるのが超短焦点型プロジェクターのいいところだが、4Kモデルに相応しい高画質な映像を手に入れようと思うなら、設置は正確に行なって欲しい。

画像: 映像投写用レンズは天面フロントパネル側に搭載されている。レンズ周辺にはセンサーが配置され、人がのぞき込むと光が止まる仕組みだ

映像投写用レンズは天面フロントパネル側に搭載されている。レンズ周辺にはセンサーが配置され、人がのぞき込むと光が止まる仕組みだ

●リビングからシアタールームまで、幅広い環境に対応

 視聴インプレッションをお届けする前に、VA-SP003の技術的な特徴についても解説しておこう。このモデルは4K/HDRに対応しており、4K放送やネット配信、そしてUHDブルーレイを本来のスペックで視聴できる。

 心臓部となる映像デバイスはテキサスインスツルメンツ製のDLPチップで、時分割方式を取り入れることでスクリーン上では水平3840×垂直2160画素の解像度を得ている。光源には3基のレーザーダイオードを用いてこちらも時分割でのRGB投写を行なっている。従来のDLPプロジェクターのようにカラーホイルを用いてカラー映像を得ているわけではないので、カラーブレイキングノイズ(色割れ現象)はかなり抑えられている。

 またこのモデルはALPD4.0に準拠したレーザー光源用の蛍光体を採用することで純度の高い色再現を可能にしているほか、超短焦点用に設計された画像歪みの少ないハイブリッド型レンズを組み合わせていることも特徴である。

 なお先述した通り、設置時には水平と垂直の確保は厳密に行ないたい。電気的な補正(デジタルキーストン)も可能だが、画質に影響するので、もし使うにしても最小限に留めることがポイントである。

 こんなことを書くといかにも設置が難しそうだが、最初に電源を投入するとガイダンス・メニューが現れ、傾きや回転方向の微調整の仕方をていねいに解説してくれる。それに従っていけば完了するので、初心者でも不安はない。今回は私の自宅視聴室で取材を行ったが、水平の確保に少し時間がかかった以外、取り立てて問題はなかった。

画像: 今回は潮さんのシアタールームにVA-SP003を持ち込んだ。天吊りスクリーン手前に置いた台にプロジェクターを載せて投写している

今回は潮さんのシアタールームにVA-SP003を持ち込んだ。天吊りスクリーン手前に置いた台にプロジェクターを載せて投写している

●クリアーで色味の豊かなDLPらしい映像が味わえる

 さて、いよいよ本機の画質についてお伝えしよう。視聴に用いたUHDブルーレイは、映画ソフトから『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と、音楽ソフトからエリック・クラプトンが1875年に建てられたビクトリアン・カントリーハウスでアンプラグドでの演奏を収録した『ザ・レディ・イン・ザ・バルコニー』、そしてビコムが製作した8K空撮による夜景映像の『スカイウォーク』である。

 いずれも色味が深く、明るくてクリアーな映像が楽しめる。DLPプロジェクターらしくエッジの切れがよく色の滲みも少ない。視聴にあたっては、実際にVA-SP003が使われるであろう環境を想定して照明をわずかに残したが、特に問題はなかった。

 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』と『スカイウォーク』は、全暗とまではいかなくとも、100ルクス以下の明るさにすると映像への集中度が高まると思うのでぜひ試していただきたい。

 スクリーンはスチュワートのスノーマット(ゲイン1.0)/孔空きサウンド仕様を使ったが、明るくハイライトもよく伸びるし、モワレが出ることもなかった。輸入元によると、スクリーンを使わずに壁面に直接投写しているVAVAプロジェクターのユーザーも結構多いそうだが、それではこのモデルの実力を充分に引き出したとはいえない。VA-SP003を導入するのであれば、ぜひスクリーンと組み合わせることをお薦めする。

画像: メニュー画面から入力端子の切り替えや各種設定が可能。Android TV機能も内蔵しているので、ネットにつないで動画コンテンツも視聴できる

メニュー画面から入力端子の切り替えや各種設定が可能。Android TV機能も内蔵しているので、ネットにつないで動画コンテンツも視聴できる

 またVA-SP003にはハーマンカードン製のスピーカーとアンプが内蔵されている。視聴するまではそれほど期待していなかったが、予想以上にふくよかなサウンドを奏でてくれた。ただ、床置き設置時にはスピーカーがスクリーン下部にくるので、映像と音の位置関係がやや乖離する。ニュース等をみるくらいなら問題ないが、本格的なホームシアターユースには、本機のパフォーマンスに見合ったアンプとスピーカーを準備して欲しい。

 画像モードは、「標準」「カスタム」などいくつか用意されているので、視聴ソースによって切り替えて使うことをお薦めする。それでも納得がいかない場合は、メニューから「詳細設定」に入り、微調整してみるといい。今回は、「映画」モードをベースに、彩度=45、解像度=15、色温度はR=−3、G=+6、B=−13にしたところ、黒側がしっかり沈んで立体的な再現力が高まった。

 直視型ディスプレイと違い、スクリーンで光を反射するプロジェクターの映像は目に優しい。しかもVA-SP003は画面の明るさもかなり向上しているので、リビングで気軽に大画面を楽しみたいという人にはぜひ注目してほしい製品である。なおVA-SP003は現在クラウドファンディングも実施されているので、興味のある方はこちらもチェックしていただきたい。

画像: 潮邸では約110インチ/16:9の映像が再現できた。色は濃い目の設定のようで、明るめの部屋でわいわい楽しむ用途に向いている絵づくりだ

潮邸では約110インチ/16:9の映像が再現できた。色は濃い目の設定のようで、明るめの部屋でわいわい楽しむ用途に向いている絵づくりだ

VA-SP003&スクリーンがお得に手に入るクラウドファンディングは、5月31日まで開催中!

 VAVAではGREEN FOUNDINGサイトで、「VA-SP003」のクラウドファンディングを開催している。期間は5月31日までで、3月25日時点では57名、2000万円を超える支援が集まっている。

 支援コースは本体のみ(¥338,000、残り24個)の他に、100インチ固定スクリーンセット(¥490,000、残り4個)、100インチ電動スクリーンセット(¥560,000、残り9個)、120インチ電動スクリーンセット(¥640,000、残り3個)が準備されている。スクリーンは、数少ない短焦点専用モデルから厳選された海外ブランド製という。

クラウドファンディングの詳細はこちら ↓ ↓
https://greenfunding.jp/lab/projects/5446

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