多彩な映画、ドラマ、音楽が手軽に楽しめるストリーミング配信サービスが盛況だ。その醍醐味を享受するには、安定したインターネット環境が不可欠。特に4K映像やハイレゾ音源など、高品質のプログラムの再生では、回線の速度だけでなく、その質が問われるケースが少なくない。
ここでがぜんクローズアップされるのが、有線LANケーブルで構築したネットワーク内で複数の機器を中継するスイッチングハブだ。特にこのところインターネットにつながる家電機器が増えていることもあって、この部分の重要性が見直され、ノイズ対策を施した製品が登場し始めている。
ここで紹介するソム(SOtM)のsNH-10Gは、オーディオ用途を想定して開発された高級スイッチングハブで、クォリティに対するこだわりが半端ない。特殊設計されたイーサネットノイズフィルターを組み込んだ徹底したノイズ対策に加えて、ノイズの影響を受けにくい光転送が可能なSFP端子装備。さらに上を目指す人には、リクロック機能やマスタークロック入力機能付きモデルも用意されている。
SWITCHING HUB
sNH-10G
¥176,000(スタンダード仕様) 税込
● 接続端子:有線ネットワーク端子10系統(RJ45×8、SFP×2)
● 対応ネットワーク:10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-Tほか
● 寸法/質量:W296×H50×D211mm/2kg
● 問合せ先:(株)ブライトーン ☎︎03(6869)0516
ラインナップ
スタンダード仕様:¥176,000(税込価格)
リクロック仕様:¥198,000(税込価格)
リクロック+マスタークロック入力仕様:¥220,000(税込価格)
※各仕様にスペシャルエディション(7N UPOCC銅線仕様[プラス¥38,500税込]、
7N UPOCC銀線仕様[プラス¥44,000税込])あり
基本、オーディオ用途を想定して開発された高級ハブだが、これが映像配信の画質改善にも有効だ。特にダイナミックレンジの広い4K&HDR作品への効果はてきめん。ノイズが抑えられると同時に、白ピークが伸びて、黒が締まり、奥行方向への自然な拡がりが得られる。
幅30cm弱のコンポーネントスタイルの本格スイッチングハブ。接続しているかを表すインジケーターの表示オフもできる
接続端子は、一般的なLAN端子(RJ45)が8系統、光接続が可能なSFP(Small Form-factor Pluggable)端子も2系統備えている。写真はクロック入力端子付き仕様で、右上の端子がそれにあたる。外部からのクロックジェネレーターからのクロック信号を受け入れが可能。外部クロックのグレードにもよるが、より高品位な再生が追求できる
今回、sNH-10Gのスタンダードモデルを用意して、パナソニックの有機ELテレビTH-65JZ2000のNetflix内蔵アプリで、4K&HDR映像作品『クイーンズ・ギャンビット』を再生。実力を再確認してみたが、その優位性は歴然としていた。
Wi-Fi接続(図①)と視聴室常備のルーターと有線LAN接続(図②)、そしてsNH-10G経由の接続(図③)を比べてみる。チェスの天才少女、ベスに注目すると、微細な産毛まで感じさせるフェイストーンといい、ややゴワッとした硬めの質感を思わせる髪の毛といい、その描写力はsNH-10Gあり(図③)が断然素晴らしい。単なる有線LAN接続(図②)でも同傾向の画質改善効果はあるが、特に肌の透明感が大きく異なる。
今回はパナソニックの有機ELテレビを使ってsNH-10Gの効果を試してみた。Wi-Fi接続でも再生自体は特に問題ないが、品位という観点でいえば、その違いは明らか。sNH-10Gは、ネットワークオーディオ再生での高音質化が図れるアイテムとして知られているが、映像再生でも確かな効果が感じられた
もっとも新鮮に感じたのが、色純度が大幅に向上することだ。ベスの衣装として、要所、要所でグリーンが使われていが、その濃淡、明暗、さらに柔らかなグラデーションと、色の描写力が何と豊かなことか。ノイズが抑えられたことで、本来の微妙な色調の描き分けが可能になったということだろう。
sNH-10G、1台で、ここまで画質が変わってしまうとは――。本物の『クイーンズ・ギャンビット』に出会えたような、うれしい気分。新鮮な感覚だった。
なお本機にはスペシャルエディション(SE)も用意されており、これはスタンダードモデルをベースにノイズ対策を徹底させた製品で、銀線モデル、銅線モデルからの選択が可能だ。