クリエイティブメディアから、サウンドバーの最新モデル「Creative Stage 360」が発売された。実売で3万円を切るコンパクトなサウンドバーながら、ドルビーアトモスに対応したことが大きな特徴。リビングで大画面テレビなどと組み合わせてもいいし、コンパクトサイズを活かしてパーソナルルームに設置しても、迫力の立体音響を楽しめる。その製品の実力を試すため、120インチのスクリーンを相手に、さまざまな映画でたっぷりと楽しんでみた。
サウンドバー
クリエイティブメディア
Creative Stage 360
オープン価格(直販価格¥27,800 税込)
サウンドバー本体とサブウーファーがセットになった2ピース構成の製品。同社Stageシリーズの最新モデルで、ホームシアター環境での使用を想定した仕様にまとめられており、HDMI入力(2.0対応)の装備や、ドルビーアトモスフォーマットへの対応が特徴となる。バー本体にはカスタムチューニングを施した楕円形ドライバーを、サブウーファー部には新開発のハイエクスカーションドライバーを搭載し、総合120W(RMS)の出力を備えている
Creative Stage 360の主な仕様
●スピーカー構成:2.1チャンネル●スピーカー出力:総合120W(30W×2+60W×1)/ピーク出力240W●周波数特性:55Hz~20kHz●SN比:75dB●接続端子:HDMI入力1/2(HDMI2.0、HDCP2.2)、HDMI出力(HDMI2.0、HDCP2.2、ARC)、光デジタル入力(角型)、専用サブウーファー出力、AC入力、USB-A(サービス端子)●対応オーディオ フォーマット:【HDMI入力】Dolby Atmos(True HD/Digital Plus)、Dolby Digital、Liner PCM/【HDMI出力(ARC)】Dolby Atmos(Digital Plus)、Dolby Digital、Liner PCM/【光デジタル入力】Dolby Digital、Liner PCM●Bluetoothバージョン:Bluetooth 5.0●対応プロファイル:A2DP、AVRCP●対応コーデック:SBC●電源:AC100~240V / 50-60Hz 2.3A●寸法:【サウンドバー】約566×75×88mm/【サブウーファー】約115×422×250mm●質量:【サウンドバー】約1.7kg/【サブウーファー】約3.4kg●付属品:専用サブウーファー(約2m 専用オーディオ ケーブル付)、リモートコントロール(別途単4乾電池×2本必要)、電源ケーブル(約1.5m)、光デジタルケーブル(角型、約1.5m)、クイックススタートガイド/ハードウェア保証書
ホームシアター環境に便利な「ドルビーアトモス対応」「HDMI2.0サポート」など、最新の機能を装備
クリエイティブメディアの「Stage」シリーズは、コンパクトなサイズのサウンドバーラインナップ。パソコンと組み合わせたデスクトップ環境や、リビングでの大画面テレビとの組み合わせまで、さまざまな場所で使えることで人気が高い。
最新モデルの「Creative Stage 360」は、横幅約566mmというコンパクトなサウンドバーとスリムなサブウーファーのセットで、扱いやすいサイズはそのままに、ドルビーアトモスに対応しているのが特徴。ドルビーアトモス対応というと、どうしても高くなりがちだったが、「Creative Stage 360」なら、手頃な価格でドルビーアトモスを楽しむことができる。
また、HDMI2.0規格をサポートし、4K/60p映像のパススルー伝送などにも対応したHDMI端子を入力2系統、出力1系統(ARC)を備えるのもありがたい。PS5などのゲーム機やUHD BDプレーヤーなどをHDMI入力に接続すれば即、ドルビーアトモス音声対応の映画などを再生できるし、HDMIのARC機能を使えば、4Kテレビなどが内蔵している動画配信サービスがラインナップするドルビーアトモスコンテンツを楽しむこともできる。
廉価なサウンドバーでは、HDMI入力が省略されることもあるので、HDMI入出力を備えているのは、さまざまな機器を接続して使いたいという人にはありがたいだろう。なお、入力端子はこのほかに、光デジタル音声入力があり、Bluetooth接続にも対応している。
スピーカーは2.1ch構成で、バー本体にはカスタムチューニングを行なった楕円形ドライバーを採用。サブウーファーには大口径ドライバーを内蔵しており、総合出力120Wのアンプで駆動する。高性能ドライバーと大出力のアンプを組み合わせることで、コンパクトながら迫力のあるサウンドが楽しめる仕様となっている。
120インチスクリーンと組み合わせて、ドルビーアトモスの立体音響を試してみた
さっそく自宅の試聴室で「Creative Stage 360」の実力を試してみた。さすがに120インチのスクリーンと組み合わせると、「Creative Stage 360」は頼りないほど小さく見える。ところが、音を出してみると、なかなかスケール感の大きな音場が目の前に現れる。左右の広がり、高さ感のあるドーム状の音場空間が、部屋中に豊かに広がるのだ。
人気アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の劇場先行版のBD(ドルビーアトモス音声収録)を再生してみると、空中で展開するモビルスーツ戦をスケール豊かに楽しめた。サブ・フライト・システムに乗って編隊飛行する連邦軍のモビルスーツの位置関係がよくわかるし、自由落下状態で高所からマフティのモビルスーツを攻撃する時の高さ感の違いなどもしっかりと再現されている。また、公園に着地したモビルスーツが動き回るときの足音、攻撃を受けて炎上するホテルの様子なども迫力がよく伝わる。これは、別体のサブウーファーがあるためだろう。低音の力強さもコンパクトなサイズ以上のものがある。3万円を切るサウンドバーということで、音質面で不足を感じるかも? と思っていたが、ドルビーアトモスの空間再現については、なかなかの実力を持っていることが分かった。これは凄いことだと思う。
セリフなども、サウンドバーから聴こえるのではなく、立体的な音場空間とともに画面にいる登場人物が話しているかのように画面の中央に定位した聴こえ方になる。このあたりのサラウンド空間の再現は見事なものだ。個々の音の定位もくっきりとした明瞭さがあり、空間が広いからといってぼんやりと音が薄まってしまうようなことがない。
音の良さに気をよくして、音楽コンテンツも再生してみた。サウンドモードには、「MOVIE」「MUSIC」「NIGHT」「WIDE」があり、ここではMUSICを選択。基本的にすべてのモードで音場を広げる効果を加えて再現されるようだが、ステレオ再生に近い感触の自然な音場が楽しめた。横方向の広がりも無理に拡張したような人工的な感じがなく、2本のスピーカーで聴いているような印象だ。くっきりとした音像定位の良さがあり、ボーカルも鮮明。メリハリの聴いた鳴り方は中低音を重視した映画向きのバランスだが、リズムがしっかりと通って力強く鳴るので、気持ちよく音楽を楽しめる。
パッケージソフトから動画配信サイトまで、さまざまなドルビーアトモスコンテンツが楽しめる
UHD BDソフトでは人気ゲームを題材とした『モンスターハンター』(ドルビーアトモス音声収録)を見た。砂漠の場面では地中から突如として出現するディアブロスの迫力と特徴的な咆吼をスケール豊かに再現してくれるし、爆発する弓矢による攻撃なども迫力たっぷり。大きめの音量ではサウンドバー、サブウーファーともにけっこう振動してしまうので、サウンドバーの足元にインシュレーターを挟むなど、置き方を工夫すると音の濁りが減ってクリアな再生音になる。
サブウーファーも、縦置きではなく、インシュレーターを使って横置きにすると低音の不要な張り出しが収まるので、いろいろと試してみるといい。パーソナルルームでデスクトップに置く場合や、リビングでテレビ用のラックに置く場合など、置き方に合わせてきちんとセッティングすれば、さらに満足度の高い音になるはずだ。
また、『モンスターハンター』での空の王者、リオレウスとの戦いでも、空中を飛び回る様子を高さ感のある表現で楽しめる。音場の広がりは、イネーブルドスピーカーのない本システムでは前方主体となるものの、そのぶん、前方の音場は横方向の広がりや奥行感も含めてかなりのもの。120インチのスクリーンいっぱいに展開する迫力のバトルを臨場感豊かに楽しむことができた。
次に、ディズニーの『101匹わんちゃん』の悪役の誕生を描いた『クルエラ』(ドルビーアトモス音声収録)を再生。パンク全盛の1970年代のロンドンを舞台に、往年のヒット曲をぜいたくに使った悪のエンターテイメントが楽しい作品で、クルエラたちが仕掛けた野外の公園でのライブ・ショーでは、迫力たっぷりのギタープレイとパワフルなボーカルが楽しめる。屋外でのライブらしい開放感のある音の広がりや、パンク・ロックの尖ったメロディーも気持ち良く響く。メリハリの効いた音で、元気いっぱいのサウンドが気持ちいい。また、ドルビーアトモスらしい空間の広がりとセリフや楽器などの個々の音の音像の立ち方がしっかりとしていて、バランスのよい音場感になっている。このあたりはドルビーアトモス対応のサウンドバーとして充分な実力を持っていると言える。
そして、ユニークなのは、ユーザーの座る位置に合わせて、「ニアフィールド」と「ファーフィールド」を切り替えられること。デスクトップで設置するような視聴位置とサウンドバーが近い場合は「ニア」、リビングなど視聴距離が遠い場合は「ファー」を選ぶ。設置場所によって最適な音場感が得られるようになっているのだ。
取材時のような視聴距離が2m近くになる場合は「ファー」が良いが、「ニア」に切り替えて、ぐっとサウンドバーに近づいて聴いてみると、音場の広がり自体は小さくなるのだが、より密度の高い包囲感が出てくる。視聴位置との距離によって使い分けるのが基本だが、好ましいほうを選ぶのもいいだろう。
NETFLIXでは、SF映画『ミッドナイト・スカイ』を見た。しっかりとドルビーアトモスで再生が可能。同様にPrime Videoでは『トム・クランシー/CIA分析官』などもドルビーアトモスで楽しむことができた。動画配信サービスでも今やドルビーアトモス音声を採用したタイトルが増えてきているが、これらもきちんとドルビーアトモス音声で楽しめる。また、5.1ch音声の映画などはアップミックス再生になるので、ドルビーアトモスの作品には及ばないものの、前後左右に音が広がる5.1chサラウンドの音場はしっかりと再現される。PS5などのゲームも5.1/7.1chサラウンドの作品が増えているので、かなりのコンテンツを臨場感豊かなサラウンドで楽しめるのだ。
ドルビーアトモス対応からパーソナル用のコンパクトシステムまで、選択肢の広いラインナップ
「Creative Stage 360」は安価なサウンドバーながらもドルビーアトモスの立体音響をしっかりと楽しめるシステムだ。これまでの5.1/7.1chサラウンドとはひと味違う臨場感を試してみたいという人にはうってつけのモデルと言える。ドルビーアトモスの魅力をぜひとも多くの人に楽しんでほしいと思う。
そして、クリエイティブメディアのサウンドバーのラインアップには、さまざまなシステムが幅広く揃っていることにも注目したい。ドルビーアトモス対応でさらに音質的にも実力の高いモデルを選ぶなら、最上位モデルの「Creative SXFI CARRIER」がある。
パソコンと組み合わせて使うならば、ゲーミングサウンドバーの「Sound Blaster Katana V2」がある。ドルビーアトモスには対応しないが、5.1/7.1chが主体のPCゲームを臨場感あふれるサウンドで楽しめるモデルだ。
このほかに、より安価でテレビスピーカーとして気軽に使える「Creative Stage V2」や「Creative Stage Air」といったモデルもある。設置する場所や組み合わせる機器と合わせてぴったりな製品を選べば、映画や音楽、ゲームを存分に楽しめるはずだ。
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