今、ヘッドホン/イヤホンはその人気に呼応するように、国内外のメーカーからさまざまな高性能モデルが登場している。バランス接続に対応するイヤホンや、駆動力を要求される平面振動板を持つヘッドホンなど、マニア層に訴えるカッティングエッジな製品が増えてきた。

 そして、その能力を最大限引き出す単体ヘッドホンアンプは、マニアの中でマストアイテムとして認知されている。そんな中、オーディオテクニカから、ハイブリッド式ヘッドホンアンプAT-BHA100とDSD22.4MHzに対応するD/AコンバーターAT-DAC100が発売された。

画像1: ハイスペック&省スペース、デスクトップオーディオに最適な2モデル オーディオテクニカ ヘッドホンアンプとD/Aコンバーター
画像: フロントパネルには、アンバランス/バランスの入力切り替えボタンや、ヘッドホン/ライン出力の切り替えボタンを備える。背面には入出力端子に加えて、ゲインの切り替えスイッチも配置する

フロントパネルには、アンバランス/バランスの入力切り替えボタンや、ヘッドホン/ライン出力の切り替えボタンを備える。背面には入出力端子に加えて、ゲインの切り替えスイッチも配置する

HEADPHONE AMPLIFIER
audio-technica  AT-BHA100 オープン価格(実勢価格13万2,000円前後)

●瞬間最大出力:【6.3mmヘッドホン出力(10% 1kHz)】680mW+680mW(16Ω)、320mW+320mW(32Ω)、240mW+240mW(64Ω)、30mW+30mW(600Ω)、
【バランス出力(10% 1kHz)】1,500mW+1,500mW(16Ω)、1,200mW+1,200mW(32Ω)、800mW+800mW(64Ω)、120mW+120mW(600Ω)
●接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA1、XLRコンボコネクター)、 アナログ音声出力1系統(RCA)、ヘッドホン出力 4系統(6.3mm×2、XLR4ピンバランス、4.4mmバランス)
●対応ヘッドホンインピーダンス:16〜600Ω 
●寸法/質量:W210×H44×D266mm/約1.8kg

画像: AT-BHA100のプリ段にはJJ ELECTRONIC社のスロバキア製真空管ECC83Sを独立構造で使用。パワー段にはコンパクトなサイズながら駆動力のあるパワートランジスターを採用した。ハイブリッド構成のアンプだ

AT-BHA100のプリ段にはJJ ELECTRONIC社のスロバキア製真空管ECC83Sを独立構造で使用。パワー段にはコンパクトなサイズながら駆動力のあるパワートランジスターを採用した。ハイブリッド構成のアンプだ

 AT-BHA100の最大の魅力は、真空管とパワートランジスターのハイブリッドシステムを採用した単体ヘッドホンアンプだということ。DACは内蔵せず、スロバキアのJJ ELECTRONIC社製真空管ECC83S(12AX7)をプリ段の回路ごとに計4本搭載する。真空管の選定については、同社製ヘッドホンアンプHA22TUBE(発売終了)などで使用された同じJJエレ社製E88CC(6922)も検討されたが、よりメジャーな12AX7管を採用するに至ったそうだ。

 パワー段には駆動力のあるパワートランジスターを、音の要であるオペアンプ部に定評のあるNJR(新日本無線)製高級オペアンプMUSES8820を搭載。さらに左右のアンプ回路とバランスのホット/コールドのアンプ回路を分離させた合計4つの独立アンプ回路構造、信号ライン/パワーライン/パワーグランドを独立層とした4層基板構造など、盛りだくさんの内容である。

 実際に天板部を開けると、4つの独立した回路が整然かつ贅沢に、そして最短距離で配置されており、音質への期待が高まる。

画像2: ハイスペック&省スペース、デスクトップオーディオに最適な2モデル オーディオテクニカ ヘッドホンアンプとD/Aコンバーター
画像: フロントのインジケーターは、再生中の音源のサンプリング周波数やDSDの種類を示す。右のダイヤルで入力信号を切り替える。背面には4系統のデジタル入力と1系統のライン出力がある

フロントのインジケーターは、再生中の音源のサンプリング周波数やDSDの種類を示す。右のダイヤルで入力信号を切り替える。背面には4系統のデジタル入力と1系統のライン出力がある

D/A CONVERTER audio-technica AT-DAC100 オープン価格(実勢価格9万3,500円前後)

●接続端子:デジタル音声入力4系統(USBタイプB、USBタイプC、同軸、光)、アナログ音声出力1系統(RCA)
●対応サンプリング周波数/量子化ビット数:〜768kHz/32ビット(PCM)、〜22.4MHz(DSD)
●寸法/質量:W210×H44×D135mm/約1.0kg
●問合せ先:(株)オーディオテクニカお客様相談窓口 0120-773-417

画像: AT-DAC100のDACチップにはAKM製のAK4452VN を採用した。オーディオテクニカでは同チップの性能検証を行なって22.4MHz(DSD512)まで動作することを確認している

AT-DAC100のDACチップにはAKM製のAK4452VN を採用した。オーディオテクニカでは同チップの性能検証を行なって22.4MHz(DSD512)まで動作することを確認している

 AT-DAC100は、AT-BHA100とのペア使用が考慮されたD/Aコンバーター。DACチップには旭化成エレクトロニクス(AKM)製のAK4452VNを採用し、最大768kHz/32ビットのPCMと22.4MHzのDSDに対応する。電源部には安定性と歪み特性に優れたアナログ・デバイセズ社製を採用し、ローパスフィルターはTI社製オペアンプLME49860を用いて、薄膜金属皮膜抵抗と組み合わせている。また、DAC部から出る高周波ノイズがAT-BHA100の真空管に影響を与えないよう、それを抑えた設計になっているところが大きな特徴だ。

真空管の愉しみと、艶やかな音
コストパフォーマンスは抜群だ

 試聴はトランスポートとしたMacBook ProとAT-DAC100をエイムのUSBケーブルで、AT-DAC100とAT-BHA100とアナログラインケーブルで接続した。両モデルとも縦置きもできるので、デスクトップ上のスペースを節約できるのがよい。ヘッドホンは抵抗値300Ωと駆動力が要求されるゼンハイザーHD800Sを使用して、XLR4ピンによるバランス接続を行なった。AT-BHA100は、他にも4.4mmバランスヘッドホン端子や6.3mmヘッドホン端子も2系統備えており、多くのヘッドホン/イヤホンに対応する。

画像: 両モデルは縦置きにも対応する。幅をとらないので、PC用のデスクにも設置しやすいのが特徴だ

両モデルは縦置きにも対応する。幅をとらないので、PC用のデスクにも設置しやすいのが特徴だ

 今回はハイレゾファイルを中心に試聴。AT-BHA100に灯る真空管の光が、音楽を聴く気持ちを高めてくれる。ここは真空管オーディオだけが持つ絶対領域だ。

 気になる音質だが、音楽性とオーディオ的な存在感がここまで両立したモデルは珍しい。サム・スミスはヴォーカルがベストな距離感で頭内に定位しつつ血の通った質感に感心した。ジョン・ウィリアムズは雄大で、ハウジングの外まで音が広がるよう。オーケストラと弦楽器の色艶もよく聴き惚れてしまう。圧巻はマイルス・デイヴィスで、全帯域に適度な力感があり、抜群のグルーヴで聴かせてくれた。

 AT-BHA100とAT-DAC100の組合せは、ミニサイズかつセパレート構成による設置性の高さと、ヴィンテージ管などバラエティ豊かな真空管を試すことができる拡張性、そして素晴らしい音質が魅力だ。真空管によるオーディオの愉しみを、ヘッドホンを使ってコンパクトに叶えたい方に本製品をお勧めしたい。

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