映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第24回をお送りします。今回取り上げるのは、コドモが世界を救う? 超絶パワーを手にした少年のキュンとくるシーンもあるコメディ作『シャザム!』。とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)
【PICK UP MOVIE】
『シャザム!』
4月19日全国公開
ご存じ、“見た目はオトナ 中身はコドモ”で推してるスーパーヒーロー・コメディ映画。もうすぐ15歳の少年(アッシャー・エンジェル)がひょんなことから超大パワーを手にしてお調子者のヒーロー(ザカリー・リーヴァイ)に変身! 俺ってすげえ! だからその通りの作品なのだけれど、笑いだけじゃないよ。お話が案外よくできているのだ。
幕切れで主人公のビリーは、「やっと家が見つかったよ」なんてことを言う。出てくる子どもたちはみな何かが欠損しており、それは悪役のドクター・シヴァナ(マーク・ストロング)も同じなのだ。夢想することでひとはどのように救われるのか、がギャグの根っこに置かれており、ちょっとホロリと来る場面もある。
DCコミックス映画はもう、同業他社マーヴェルの完璧ユニヴァース系とは別の道を行っていいのかも。ウチは単品料理で勝負。『ワンダーウーマン』『アクアマン』につづく、DC巻き返し必至の痛快作だ。
舞台はペンシルベニア州フィラデルフィアの街。というわけで、「ここからの眺め、最高だよな。ロッキーが駆け上がっただけあるよ!」ってな台詞と一緒に、『ロッキー』でおなじみのフィラデルフィア美術館前の階段や広場が登場する。クイーンの名曲「ドント・ストップ・ミー・ナウ」が超人パワーと共に響き渡る。監督が『アナベル 死霊人形の誕生』の新進デヴィッド・F・サンドバーグなので、あの人形がヘンなところでカメオ出演している。いいんじゃないかなあ、これ!
エンド・クレジットのアニメーションにはバットマンやワンダーウーマン、フラッシュらも登場。今後、シャザムがこれらのDCキャラとどう絡んでゆくかは想像もつかないけれど。
実写版『銀魂』シリーズの福田雄一監督が監修し、菅田将輝がシャザム役。子安武人、遠藤綾、杉田智和、平野綾らの声優陣が参加した吹替え版がとてもよく出来ている。大アクション場面の最中にも細かいギャグの応酬があり、これ、字幕のスピードでは追いつかないのだ。
猫のグースは最高だったけれど、派手なわりに単体としては少しユルい『キャプテン・マーベル』より楽しめる快作。どうだろう。そのへんをぜひ確かめてください。損はしないと思いますよ!
『シャザム!』
4月19日(金)全国公開
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
原題:SHAZAM!
配給:ワーナー・ブラザース映画
2019年/アメリカ/2時間12分/シネマスコープ
(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/shazam-movie/