映画評論家 久保田明さんが注目する、きらりと光る名作を毎月、公開に合わせてタイムリーに紹介する映画コラム【コレミヨ映画館】の第22回をお送りします。今回取り上げるのは、後年のホラー作に大きな影響を与えた『ハロウィン』。あの二人の因縁がどうなるのか? その疑問が遂に明らかになる!? とくとご賞味ください。(Stereo Sound ONLINE 編集部)

【PICK UP MOVIE】
『ハロウィン』
4月12日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国に現る。

画像1: 【コレミヨ映画館vol.22】『ハロウィン』 あの惨劇から40年。ホラー映画史を飾る名作の正統的続編が登場

 我が国では1979年の夏に公開されたジョン・カーペンター監督の名作『ハロウィン』(1978年)。6歳で姉を刺殺。成人して精神病棟から脱走した青年マイケル・マイヤーズが故郷の田舎町に舞い戻り、白いマスクを付けてハロウィンの夜に凶行をくり広げる。

 面白かったなあ! 80年代のスラッシャー(切り裂き)ホラー映画の先駆であり、同時に主人公のブギーマン(海外ではThe Shape=物体、形象と呼ばれる)は子どものころ暗闇にいるかに思えた怪物のようで、ホラー・ファンタジーとして秀でた魅力を備えていた。

 その後、ロブ・ゾンビ監督によるリメイク(2007年)を含めて続編9本が作られたが、ここに来てタコ足配線のようになっていた歴史を一度リセット。ジョン・カーペンターを製作総指揮に迎えた本作、78年の第1作から直結する正統的続編が登場することになった。

 今年の11月公開予定の『ターミネーター:ニュー・フェイト』と同じ発想ですね。ジェームズ・キャメロン製作。アーノルド・シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンが再結集して、『ターミネーター2』(1991年)から直接つづく本家、正史はこちらで出直すという体裁は。

 さて、今回の『ハロウィン』。前作から40年。絶叫ヒロインだったローリー・ストロードとマイケル・マイヤーズの因縁の対決が描かれる。

 ローリーを演じるのはもちろんジェイミー・リー・カーティス(お母さんは、ヒッチコック『サイコ』で、シャワールームで切り刻まれたジャネット・リー)。78年版では女子高校生だった彼女も現在は初老の女。かつてのトラウマを抱え、それに決着をつけるためマイケルを待ち構えている。10月31日、ハロウィンの夜。当然、ブギーマンがやってくるのだ。

 ジュディス・マイヤース(マイケルが殺した姉)の墓、ルーミス博士(マイケルを診察、追い詰めた名物医師)が残した録音テープといった小道具を散りばめながら、舞台がイリノイ州ハドンフィールドの町に移ると、一気に面白みが増してくる。

 よっしゃあ、お気に入りの包丁持った。GOGOマイケル! ところどころで、得意技のむっくり起き上がりや、首をかしげて死体観察などのチャームを披露するのがたまらない。泣ける!

 ハロウィンの夜に、包丁を持った仮面の大男が町を歩いていても誰も気に留めないのだ。恐怖と少しのユーモアが混じり合って、怪異に結実する。これが後年の『13日の金曜日』(1980年~)シリーズなどの直球とひと味ちがう魅力だろう。

 製作はホラー専門スタジオ、ブラムハウス・プロダクションズを率いるジェイソン・ブラム。40年間相思相愛だったわりにはローリーもマイケルもいざ組み合うと脇が甘い気がするけれど、そんな突っ込みもホラー映画の楽しみのひとつ。スタッフも役者も、自分たちがかつて憧れた映画に近づこうとしている。

画像2: 【コレミヨ映画館vol.22】『ハロウィン』 あの惨劇から40年。ホラー映画史を飾る名作の正統的続編が登場

『ハロウィン』

4月12日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
原題:Halloween
配給:パルコ
2018年/アメリカ映画/1時間46分/シネマスコープ/R-15
(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS
公式サイト https://halloween-movie.jp/

画像: 『ハロウィン』

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