『ボヘミアン・ラプソディ』の快進撃が続いている。昨年11月9日の公開以来大ヒットを続け、一部の劇場ではゴールデンウィークまで上映される予定とも聞く。そんな人気作の4K UHDブルーレイがいよいよ4月17日に発売される。しかもファン必見の特典映像「ウェンブリー・スタジアム完全版(仮)」まで収録された豪華版という。今回はその注目ディスクを、麻倉さんのシアタールームでひと足早くチェックしていただいた。(編集部)

画像: 本物の『ボヘミアン・ラプソディ』は家庭にあった! 4月17日発売のUHDブルーレイは、繰り返して楽しむべき一枚だ:麻倉怜士のいいもの研究所 レポート15

『ボヘミアン・ラプソディ <4K ULTRA HD + 2Dブルーレイ/2枚組> 』

(フォックスFXHA-87402)¥6,990+税
●2018年アメリカ●2枚組(本編UHD BD+特典BD)
●片面2層 ●本編135分
●カラー(16:9/スコープ)
●HDR規格:ドルビービジョン & HDR10+ & HDR10
●収録音声:ドルビーアトモス(英語)、DTS-HDマスターオーディオ2.0ch(英語)、DTS 5.1ch(日本語)
●監督:ブライアン・シンガー●製作:グレアム・キング,p.g.a.、ジム・ビーチ●撮影:アンソニー・マクガーデン
●出演:ラミ・マレック、ルーシー・ボーイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョセフ・マッゼロ 他
(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 『ボヘミアン・ラプソディ』の国内盤UHDブルーレイがついに、とうとう、やっと発売されるということでたいへん楽しみにしていました。今回わが家の140インチ+ドルビーアトモス環境でそのディスクを観ましたが、これは絶対に4Kで手に入れるべき一枚であると確信しました。

 私はこの作品を、劇場で3回観ています。東京のシネコンと、T・ジョイ博多のドルビーシネマ,川崎のIMAXです。ドルビーシネマのインプレッションは先日のレポートでもご紹介した通り、ひじょうにワイドレンジで劇場として最高水準だったと思います。

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 そもそも映画館の魅力は、多くの観客と一緒に映画を観て盛り上がる、共感性を得るという点にあります。その意味ではドルビーシネマは最高の選択でしょう。

 一方ホームシアターというよりパーソナルな環境で観ることを考えると、UHDブルーレイも素晴らしい。特に『ボヘミアン・ラプソディ』は緻密に絵や音と対峙できるという意味で、4K/HDRならではの特長を十全に活かした仕上がりですね。

 解像感的には4Kの解像度を持ち、でも強調感はない。人物の肌のなめらかなグラデーションや色の情報性が自然です。しかし、この絵の本当の凄さはコントラスト再現にあります。

 黒がきちんと沈んで、白はピークまで伸びている。その黒をベースにしているので、絵がとても安定しているのです。また横長アスペクトの中で、暗い部分と明るい部分を実にうまく対比させています。艶っぽい輝きをもつ黒の再現性がとてもいい。

 特に光の演出、スポットライトやステージライト、光源の描写などがとても美しい。HDRがここまで作品性を豊かにしているのかと感じさせてくれます。

 そもそもSDRでは、光源が明るくなるほど色が白くなってしまうので、演出意図が正しく伝わりませんでした。しかし本作はHDRを上手く使っていて、場面、場面で光の意味を使い分けています。

画像1: (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

地域の違いや時代性を、HDRで描き分けている

 例えば始まってすぐのアマチュアバンド時代のライブでは、70年代のチープな感じをうまく出していますし、メジャーになってくると、しっかりしたライティングを使っています。その光のありよう、演出が時代性を表してくれます。同時にクィーンとしての音楽的進歩も表現されているのでしょう。

 色と光の使い方として、空の表現も面白いですね。70年代のグルーミーなイギリスはややくすんだ曇り空で、その後のアメリカツアーでは彩度の高いすかっとした青空になる。そういった地域の違い、時代性の違いが色で表現されている。しかも高輝度の色に反映されている。まさにHDRムービーです。

 またデモテープのスタジオ録音シーンでも、楽器の代わりに使っている鍋やヤカンの光沢感がとてもよく出ている。ここは光で金属の質感を再現しているのですが、それがとても面白い。

 スタジオ機器のスイッチの赤や青の照明もきちんと描き分けられています。このシーンではスタジオで録音していることを強調するため、映像中でもRecボタンの赤の彩度感が強い。この強烈な赤に、監督の演出意図を感じました。

 さらに室内でのメアリーとフレディの肌のグラデーション表現もなめらかです。部屋のライトも光源まで描写されて、光の中心が判別できます。色調も70年代のイギリスっぽい、ダスティで暗い雰囲気を持っています。

 続く屋外シーンでは、色が美しい。フレディの着ているシャツが真っ白ではなく少し緑がかっていることは、SDRの映画館ではわかりませんでした。また背景の空も、綺麗です。ここを見ると、作者が考えた色設計がきちんとわかります。

画像2: (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

劇場では観られない映像が、ここにある

 しかし残念ながら劇場では、ドルビーシネマでないとHDRで観ることは出来ないわけで、日本のほとんどのお客さんはSDRで観ているわけです。つまり、制作陣がここまで緻密な演出をしていることは分からなかった。

 しかしUHDブルーレイブルーレイなら−−もちろん対応テレビやプロジェクターは必要ですが−−、HDR品質で楽しめます。今までは劇場が神様で、ホームシアターはその縮小版という位置づけでした。だが、『ボヘミアン・ラプソディ』のUHDブルーレイでわかる通り、もはやホームエンタテインメントの方が劇場よりもハイスペックになっているのです。

 監督や撮影監督が狙ったコントラストや色の出方は、UHDブルーレイで再生した方が、元の意図に近接できるのではないかと思います。しかも音はドルビーアトモスで楽しめます。

 ドルビーアトモスといっても極端な移動感を演出しているわけではなく、むしろ包み込むような再現を狙っています。狭いライブハウスでの音の出方から、ラストのウェンブリー・スタジアムの広大な空間でのライブの迫力ある音場まで、うまくデザインされています。

 観客のアンビエントは天井とリアスピーカーから再現し、ステージ側のサウンドはちゃんとフロントチャンネルが受け持つ。その構成はオーソドックスですが、とても緻密で、音のつながりもいい。本当に会場で聴いているように感じました。

 本作を観るために劇場に何十回も通った方もいるようですが、そういう人にこそUHDブルーレイを手に入れて、自宅でこのパフォーマンスに触れて欲しいですね。情報性と感動性、作品性を備えた、心ゆくまで堪能できるパッケージだと思います。

画像3: (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

 特典映像として収録されている「ライヴ・エイド完全版」も素晴らしい。通常フォックスのUHDブルーレイは4Kは本編のみで、特典映像は2Kディスクに収録されているのですが、この特典は敢えて4Kで入っています。

 しかもアメリカのフォックス ホーム エンターテイメントが、劇場用とは別に21分の完全版に仕上げているので、これは劇場では観ることは出来ません。まさにホームシアターだけのお宝です。実際、4Kとしての画質も綺麗でしたし、音も素晴らしかった。

 このように、感動性を持ったコンテンツが特典として入っているのも素晴らしいことです。ある意味、もうひとつの『ボヘミアン・ラプソディ』といっても過言ではありません。

パッケージならではの価値を、すべて備えた稀有なディスク

 『ボヘミアン・ラプソディ』をドルビーシネマとUHDブルーレイで視聴して感じたのは、それぞれの価値、狙っているものがまったく違っているということです。

 応援上映のように、その“場”や“空間”に参加することを楽しむ映画館に対して、UHDブルーレイでは、作品との対話性に深く踏み込みます。作品の中に入り込んで読み解く楽しみは、ホームシアターとUHDブルーレイの特権だと思いました

 さらに、4Kというほとんどの劇場が到達していない画質レベルに進んでいること、しかも内容的にも今回の「ライヴ・エイド完全版」のように、劇場では上映できないものまで楽しめるというふたつの意味で、『ボヘミアン・ラプソディ』はUHDブルーレイとしてもたいへん貴重な存在となっています。

 本作は、音楽好きなら必ず一枚は持っておくべきディスクです。その時に重要なのは、UHDブルーレイを選ぶこと。4Kで観る『ボヘミアン・ラプソディ』こそが、本物なのですから。

画像: 麻倉さんのシアタールームにて、国内盤UHDブルーレイ『ボヘミアン・ラプソディ』を140インチ+ドルビーアトモス再生した。中央は20世紀フォックスの原田登久子さんで、右は同じく20世紀フォックスの神田一良さん

麻倉さんのシアタールームにて、国内盤UHDブルーレイ『ボヘミアン・ラプソディ』を140インチ+ドルビーアトモス再生した。中央は20世紀フォックスの原田登久子さんで、右は同じく20世紀フォックスの神田一良さん

特典映像の「ライヴ・エイド完全版」も必見!

 『ボヘミアン・ラプソディ』のハイライトでもあるライヴ・エイドは、1985年に開催され、クィーンはロンドンのウェンブリー・スタジアムで全21分/6曲を披露した。劇場作品ではその中から4曲分のシーンが再現され、本物に迫ったパフォーマンスの完成度の高さが話題となったことも記憶に新しい。

 そして今回のUHDブルーレイ/ブルーレイでは、劇場公開時にはカットされた2曲を含めた21分すべてを「ライヴ・エイド完全版」として収録している。これは、フォックス ホーム エンターテインメントが今回わざわざ作り直したもので、パッケージソフトでしか楽しめない貴重な特典映像だ。

 しかもUHDブルーレイでは4K&ドルビーアトモスという、本編とほとんど同じ(転送レートは若干低めだが)クィリティで収録されている。これはフォックスの特典としては異例なことで、制作陣がどれほどこの特典映像を重要視しているかもうかがえる。

 本作のUHDブルーレイを手に入れた方は、本編鑑賞に続いてこの特典映像も必ず最後までチェックしよう!(編集部)

画像: 「ライヴ・エイド完全版」の演奏曲 「Bohemian Rhapsody」 「Radio Ga Ga」 「Hammer To Fall」 「Crazy Little Thing Called Love」 「We Will Rock You」 「We Are The Champions」

「ライヴ・エイド完全版」の演奏曲
 
「Bohemian Rhapsody」
「Radio Ga Ga」
「Hammer To Fall」
「Crazy Little Thing Called Love」
「We Will Rock You」
「We Are The Champions」

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