パイオニアから、ユニバーサルUHDブルーレイプレーヤーのフラッグシップとなる「UDP-LX800」が発表された。定価は¥365,000(税別)で、11月中旬の発売を予定している。

画像: ▲UDP-LX800

▲UDP-LX800

 パイオニアからは、先頃同じくユニバーサルUHDブルーレイプレーヤーの「UDP-LX500」が発表され、まもなく店頭に並ぶ予定だ。LX800はその上位モデルであり、同社のティーザー広告等でも登場を予告されていたので、正式なリリースを待っていたファンは多いことだろう。さっそく、その詳細を報告しよう。

 UDP-LX800は、同社ビデオディスクプレーヤーの高画質技術とSACD/CDプレーヤー「PD-70AE」の高音質技術を結集した集大成モデルで、絵・音ともに高S/Nと豊かな情報量再現を実現した製品となっている。そしてその理想実現のために、電源やグランド、シャーシといったアナログ的な部分にも細かな配慮を施している。

 再生可能なメディアはUHDブルーレイ、DVDビデオ、DVDオーディオ、SACD、CD、DSDディスクやBD/DVDの各種録画用ディスクなど。さらにUSBメモリーからの再生も可能だ。なおLX800もLX500と同様にディスクメディア再生機という位置づけで、動画や音声のストリーミング再生機能は持っていない。

画像: ▲背面端子はアナログXLR出力を搭載している他は弟モデルLX500と同等。ただしアナログ端子のパーツ等は異なる

▲背面端子はアナログXLR出力を搭載している他は弟モデルLX500と同等。ただしアナログ端子のパーツ等は異なる

スペックに出てこない“造り込み”の違い

 開発担当者によると、「LX500では予算等の一定の枠がある中で、最高の品質を実現しました。今回のLX800はより広い枠の中で、コンテンツのよさをもっと引き出せるようにチューニングを徹底しました。こういったスペックには出てこない造り込みの違いが、LX800では大切だと考えています」とのことだ。

 ではその“造り込み”とは、具体的にどんな点を指しているのか。まずは理想的なディスク再生のために、高い剛性を持った本体構造を採用している。内部は本体正面から見て左に電源部(デジタル用、アナログ用)、中央にドライブとデジタル回路、右にアナログオーディオ回路の3つに分けられており、それらを区分するような形で天板側にビーム(梁)を渡すことで筐体の堅牢性を高めている。

画像: ▲3分割されたシャーシを、銅板トップパネルやアルミサイドパネルで囲っている

▲3分割されたシャーシを、銅板トップパネルやアルミサイドパネルで囲っている

 中央に置かれたドライブメカにはハニカム構造の天板が取り付けられ、共振と内部で発生する定在波を抑制する仕組だ。さらにドライブそのものも減衰性の高いラバー素材を介してベースに取り付けるフローティング構造を採用している。なおこの天板やビームには「BDP-LX88」でも使われていた制振性の塗装が施こされている(後述するトランスカバー等も同じ)。

 さらにLX800ではファンレス&放熱孔レスの設計が採用されているが、これは企画サイドからの強い要望で実現したそうだ。高速回転するUHDブルーレイから信号を読み取り、デコード・再生するには、デジタル回路等の発熱は避けられない。しかし開発陣は、部品の選定や内部の配置まで細かく検証することで、ファンレスでも問題のない回路に仕上げている。発表会ではLX800のすぐ近くに座っていたが、モーター音はまったく気にならなかった。

 もうひとつの造り込みは、電源・グランドの低インピーダンス化や不要輻射の抑制などになる。前者はアナログ基板の中央に銅製の太いバスバーを通すことでグランドの安定化を向上、後者は電源トランスや回路をカバーで覆うことで実現している。トランスカバーには「f字」、電源回路カバーには「へ音」記号の型押しがされているが、これはカバーの定在波と筐体内の響きに考慮した結果とのことだ。アナログ用トランスは、瞬時電源供給能力に優れた、大容量タイプを新たに搭載している。

デジタル回路を活かすために、アナログにも配慮

 さてLX800では、UHDブルーレイのプラットフォームとして、オッポデジタル等と同じメディアテックのシステムを採用している。ただし、そこで核となるICの仕様を徹底検証し、同時にチップ周りに厳選した部品を使うなど、パイオニアとしてのチューニングを追い込んだ。

 その結果、「これまで失われていた、ごく微少な信号まで再現できたのかもしれません」と担当者が言うように、S/Nが抜群にいい映像が再現できていた。CG制作の劇場アニメや戦争もののUHDブルーレイを観せてもらったが、微細な情報量に溢れつつ色のりのいい、力に溢れた映像が再現されていたのだ。これがデジタル系、アナログ系の両方でチューニングを真面目に追い込んだ成果なのだろう。なおHDR信号についてはドルビービジョン(DV)にも対応しており、先ごろ発表されたソニー製テレビとの組み合わせでもDV再生をサポートする。

 音声については、DACチップにESS製の「ES9026」を2基搭載し、L/Rそれぞれで8回路をパラレルに使っている点がLX500からの一番の変更点だ。同時にアナログ音声出力の端子(XLR、RCA)には特殊なメッキを施した、部品メーカーとの共同開発品を使うことで、開放感と芯のある音の実現を狙ったそうだ。

画像: ▲HDMI端子を備えたデジタル基板

▲HDMI端子を備えたデジタル基板

メディアによって、最適な出力を実現するモード切替

 もうひとつ、再生時に使いこなして欲しい機能として「DIRECT」と「TRANSPORT」モードが追加されている。「DIRECT」はデジタル音声や映像信号をオフにしてアナログ音声の高純度化を計るもので、一方の「TRANSPORT」はデジタル音声を楽しむ際にアナログ用音声回路とトランスまで止めてしまうものだ。

 たとえばCDやSACDをアナログ接続で聴くなら「DIRECT」、UHDブルーレイなどをHDMIでAVアンプにつないで再生する場合は「TRANSPORT」を選ぶことでどちらも最高の状態で楽しめることになる。この切り替えは本体のボタンで可能だ。発表会のデモでは、「DIRECT」や「TRANSPORT」に切り替えると音場がすっと広がり、映像でも女性の肌のグラデーションがいっそう緻密になるように感じられた。

 LX800の出力端子は、映像・音声セパレート出力対応のHDMI端子2系統と、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)、デジタル音声出力2系統(同軸、光)、ゼロシグナル(グランド改善用)など。アナログ7.1ch出力は備えておらず、マルチチャンネル再生はHDMIに任せている。独自のジッター改善技術「PQLS」機能も搭載しているので、同社製AVアンプとの組み合わせではより安定した再生が可能になる。

 なお10月中旬から、秋葉原のOnkyo BaseでUDP-LX800の先行展示が予定されているそうなので、興味のある方は足を運んでみてはいかがだろう。

画像: ▲アナログ基板の電解コンデンサー(写真左端)もLX800で初搭載された高音質パーツとなる

▲アナログ基板の電解コンデンサー(写真左端)もLX800で初搭載された高音質パーツとなる

UDP-LX800の主なスペック

●再生可能メディア:UHDブルーレイ、BD-ROM、BD-R/RE、BD-R DL/RE DL、DVDビデオ、DVDオーディオ、DVD-R/RW、DVD-R DL、DVD;R/RW、DVD+R DL、AVCHDディスク、DSDディスク、音楽CD、SACD、CD-R/RW、USBメモリー
●接続端子:HDMI出力2系統(メイン、サブ)、デジタル出力2系統(同軸、光)、アナログ音声出力2系統(XLR、RCA)、USB Type-A端子2系統、LAN端子1系統、他※XLR端子は2番ホット
●消費電力:28W(待機時0.4W、ネットワークスタンバイOFF)
●寸法/質量:W435×H131×D339mm/14.5kg

This article is a sponsored article by
''.