オーディオテクニカは昨日、恒例の新製品発表会を開催した。登場した2018年の最新モデルは以下の速報でお知らせした通り、合計11モデルのヘッドホン、イヤホンとなる。
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発表会冒頭に、同社がグローバルスポンサーを務めている「Playing For Change」プロジェクトの映像が上映された。「Playing For Change」は、音楽には距離や国境を越えて人々をつなぐ力があるという信念から生まれた音楽プロジェクトで、今回上映された世界各地のミュージシャンがひとつの曲を一緒に奏でる映像作品などをインターネットを通じて発信している。
その映像に続いて代表取締役社長の松下和雄氏が登壇し、同プロジェクトを支援するに至った経緯を説明してくれた。松下社長によると、オーディオテクニカの企業理念がこのプロジェクトの信念と一致したことで、マイクやヘッドホンといった機材を含めた支援を決めたのだという。
そしてここからは、国内のヘッドホン市場についての説明に移った。直近の2018年4〜8月の製品シェアを比較すると、なんとワイヤレスヘッドホンが全体の62%を占め、なかでも左右独立の完全ワイヤレスタイプがワイヤレス市場全体の43.8%を締めるほどに成長してきているという。
これを踏まえて、オーディオテクニカでもワイヤードと同じクォリティを持った完全ワイヤレスイヤホンの開発を進め、今年の新製品にラインナップしてきた。それが「ATH-CKR7TW」と「ATH-SPORT7TW」の2モデルとなっている。もちろんどちらも音づくりにこだわって開発された製品だ。
ATH-CKR7TWは専用設計のDLC(Diamond Like Carbon)コーティング振動板と純鉄ヨークを採用した11mmドライバーを搭載。振動板の正確な前後運動を可能にする真鍮スタビライザーと組み合わせて、低歪みで高S/Nのサウンドを実現しているという。コーデックはSBC、AAC、aptX対応で、フル充電で連続再生6時間、ケース併用で9時間の使用が可能という。
一方のATH-SPORT7TWは、その名の通りスポーツを楽しみながら使える完全ワイヤレスモデルとして開発され、IPX5相当の防水機能を備えている。音質的には、スポーツをしながら気分のあがる音を目指したとかで、フィット感、装着性にも配慮されている。タッチコントロール操作、10分充電で45分使えるスピード充電機能も備えている。
開発者によると、オーディオテクニカは完全ワイヤレス市場では後発であり、それだけにユーザーからの期待を強く感じていたそうだ。それを踏まえ、ただ出せばいいのではなく、自身を持って出せる製品が必要だと考えていたという。そして、これからも音への興味を刺激し続けられる製品を開発していきたいと語っていた。
一方でオーディオテクニカのヘッドホン全体ではワイヤレス型が20.3%なのに対し、ワイヤードは79.7%を締めている。これは、音のいいワイヤードモデルを求める声が強い証左であり、その声に応えるため今回はハイエンドワイヤードヘッドホンを準備した。
具体的には「ATH-AP2000Ti」、「ATH-CK2000Ti」、「ATH-CM2000Ti」の3モデルで、共通の特長としては、ハウジングにチタンを使っている点と、ドライバーユニットにパーメンジュール磁気回路+DLCコーティング振動板を採用していることとなる。
ATH-AP2000Tiはワイヤード式ポータブルヘッドホン、ATH-CK2000TiとATH-CM2000Tiは同じくワイヤードのインナーイヤーホンの高級機という位置づけで、それぞれの用途に応じて最高の装着感とサウンドを楽しんでもらいたいとしている。ちなみに3モデルともバランスケーブル(φ4.4mm5極プラグ)が付属している。
そしてもうひとつ、今回の新製品で最上級モデルとして提案されたのが、ダイナミックヘッドホンの「ATH-L5000」だ。実勢価格¥460,000円前後という超高級機であり、同社としても15年ぶりのレザーカバーを採用したモデルとなる。それも英国コノリー社製のアニリンレザーとシカモア製(楽器や家具に使われる素材)ハウジングを組み合わせている(実際の製品づくりでは、木材もレザーも天然素材+手作業なので、品質をキープするのに苦労したという)。
なおドライバーはCFPR(Carbon Fiber Reinforced Plastic)フランジを採用した新設計の58mmユニットで、DLCコーティング振動板、DADS(Double Air Damping System)構造といった技術もすべて採用されている。ATH-L5000は世界限定500台のみの発売となっている。