試聴編

“ロック的なサウンド”のカギを握っていたクローヴァー・スタジオのEMT製コンプレッサー。音のバランスと音楽性を満たすプリ管を探す

──まずは耳慣らしを兼ねて、ベンチマーク的な存在ともいえるヴィンテージ管のナショナル/松下電器工業の12AX7で『バンド・ワゴン』のオープニング曲「砂の女」を聴きました。再生した盤は、1975年の初期盤と2025年の50周年盤、そして50周年盤のテストラッカー盤の3種です。

Part1Part3の記事はこちらから)

杉井 やはりそれぞれ印象が違いますね。

鈴木 どの盤にも共通して感じられた音の特徴は、高音がはっきりしているんだけど、低音がやや控えめなところ。

高橋 ハイは綺麗ですね。3kHzあたりのエレクトリックピアノやスネアのアタックが目立ちます。でも、茂さんがおっしゃるように、ベースは少し薄く感じられました。

杉井 中域から上の音色感が良くて、独特の色気があると思いました。ただ私もお二人と同意見で、低域がやや薄めな印象でした。その辺りは今日のシステムとのマッチングもあるかもしれないですね。

高橋 そういう印象を踏まえた上で75年盤と50周年盤を比較すると、初期盤はやっぱり時代の音がよく出ていますね。ヴォーカルの2kHz、3kHzあたりがグッと張ってくる感じとか。逆に50周年盤は上から下までわりとフラットで、今の時代によく合っていると思いました。

鈴木 そうだね。あくまでもこの組合せで聴いた印象ですが、僕は75年盤のほうが音の輪郭がはっきりしていて、ロック的な音だと感じました。50周年盤は僕もリマスタリングにも立ち合って、レンジ感が広くて新しい『バンド・ワゴン』にしたいと思っていたから、フラットという印象は嬉しいですね。そういう印象は、ラッカー盤でもほとんど同じでした。

1/4インチ・アナログマスターテープから鈴木 茂氏の監修でリマスタリング
──『BAND WAGON』50th Anniversary

オリジナル盤の登場から50周年を迎える『BAND WAGON』。1975年発売当時のフォーマットにこだわり、9曲を収録したLPレコードとカセットテープ、さらに24bit/96kHzのハイレゾ音源+オリジナル未収録のテイクを多数収めたBlu-ray Audio+CDの3形態で新たにリリース。ほとんど未使用の状態で保管されていた鈴木茂氏所蔵の1/4インチ・アナログマスターテープを使用し、本人監修のもとリマスタリングが行なわれた点に注目したい。
LPレコード 日本クラウンCRJ-1028
カセットテープ CRT-1085
CD+Blu-ray Audio CRCP-20614

ベンチマーク/ヴィンテージ国産管

松下電器 12AX7

This article is a sponsored article by
''.