HiVi2026年春号「<25歳の自分へ勧める> いま買うべきオーディオ機器はこれだ!」のページで瀟洒な意匠と洗練された音を披露したオーディオベクターQR 1 SEであったが、待機していたQR 3 SEを試してみたところ、さらに品位とスケール感を増した世界が出現して感動ひとしお。そこで単独で紹介することになった次第。

 このスピーカーメーカーはデンマーク発祥であり創立は1979年。とすると、伝統的な木工技術に電磁気系の応用技術を組み合わせた理知的な「北欧デザイン」系をイメージしがちだけれど、実際は写真でご覧の通り。スピーカーの構成要素をアルミニウム材でフレーミングした現代的な造形感を見せている。自社の文字を金属のエッジ部に彫り込むなど自己主張しつつも、落ち着いた物腰で立ち姿を押し出しているわけだ。

画像1: 『ADUIOVECTOR QR 3 SE』艶やかでありながら繊細さと陰影を絶妙に描写!大きな感動を描くオーディオベクターの上位機【厳選オーディオコンポーネント】

Speaker System
ADUIOVECTOR
QR 3 SE

¥550,000(ペア) 税込
●型式:2.5ウェイ3スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:AMT型トゥイーター、152mmコーン型ミッドレンジ、152mmコーン型ウーファー
●出力音圧レベル:90dB/W/m
●クロスオーバー周波数:400Hz、3kHz
●インピーダンス:4Ω
●寸法/質量:W190×H942×D232mm/14.9kg
●カラリング:ダークウォルナット(写真)、ホワイト、ブラック・ピアノ

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優れた特性のAMT型高域ユニットをサブウーファー以外のシリーズ全製品で搭載

 このQR SEシリーズはオーディオベクターのスタンダードモデルだ。2ウェイのQR 1 SEをミニマムとして、2.5ウェイのQR 3 SE、3ウェイのQR 5 SE、同じく3ウェイのQR 7 SEと続く編成だ。それにホームシアター用として、センターのQR C SE、サブウーファーのQR SUB、壁掛け用のQR WALL SEも揃っている。

 トゥイーターはいずれのモデルもハイルドライバーを原型としたAMT=エア・モーション・トランスデューサーであり、QR 5 SE以上はサイズの大きなAMT2を搭載している。どちらも高域特性は45kHzまで伸びており、物理的上限は105kHzまである。“ゴールドリーフ”という呼称は、ユニット前面に金色の格子を備えているからで、音響的な擦過音などのノイズを抑えつつ拡散性を高める働きがある。

 ウーファー/ミッドレンジは「ピュアピストン・デュアルマグネット」と呼称する強力な磁気回路と広い振幅のピストンモーションを意図している。振動板は2層のアルミニウムにて柔軟な制振材を挟む複合材であり、剛性があり固有音を生じない特性を得ている。こうしたユニットの特徴は現代的な応答性を得ることに結びついているだろう。

 この中低域ユニットは、本機QR 3 SEでは6インチ径のユニット2発で中域と低域を扱う2.5ウェイ方式を採用。クロスオーバー周波数は400Hz、3kHzだ。最上位機QR 7 SEは6インチ径と8インチ径を使い分けて3ウェイを構成。QRシリーズのトールボーイ型のものはバスレフダクトが底部に開口している。

 キャビネットはハードウッドのHDFを採用。箱鳴りを十全に抑え、バスレフポートは特に入念に吸音処理を施すなど、発音源の放射する音声成分の純度を保つ現代的な発想が貫かれている。

オーディオベクターは、1988年にハイルドライバーをベースとしたAvantgarde AMTトゥイーターを自社開発、以後改良を重ねながら一貫して高域ユニットに採用し続けてきた。QR SEシリーズには、ゴールドリーフAMTドライバーを搭載。マイラーフィルム系振動板を用いて、ワイドレンジかつ素早いレスポンスの獲得を目指す。取材したQR 3 SEでは、3kHz〜45kHzと、4オクターブ弱に達する広帯域を受け持つ

 

 

QR 1 SEの魅力はそのままに低音と伸びやかさが段違いに向上

 アンプをQR 1 SEの時と同じソフトンの205DプッシュプルアンプでQR 3 SEを鳴らしてみると、その両者の音調は驚くほど似ている。繋がりのいい中高域、音程も弾力感も明快な低音、三次元的に展開する音場感など、同じシリーズのスケールアップモデルらしさはあきらかだ。しかし、響きのゆとりや最低域の拡張、そして何よりも声の響きのゆとり、声音の豊かさ、突き抜けるような高唱の伸びやかさなど段違いに向上している。

 1980年代のAORなどと呼ばれた大人向きのヴォーカル作品では実に艶やかで、また声色の変化で仕掛ける妙技が非常に明瞭だ。クラシックやジャズの語法も柔軟にこなし、繊細さと和声感、間接音による陰影やフレージングの補強能力も絶妙だ。

 こうした妙音は微小情報の再現性や密度感による表現力の向上のためだが、発声力となるとオペラは抜群でも、ロック系のシャウトは少し上品だ。またハリウッド映画のガンガンまくしたてるヤンキー英語などもっと誇張感がほしくなるだろう。

 そこでホームシアター用にするのなら、QR SEシリーズのセンタースピーカーを起用するのが最適解になるだろう。その際、QR 1 SEはサラウンド用として適性が発揮されるのもお約束。そうした構成で大画面システムを構築して超高密度な音場に浸ってみたいものだ。

 

試聴に使った機器
●ネットワークCDプレーヤー:マランツCD50n
●パワーアンプ:ソフトン 古典的プッシュプルモノラルアンプ 205D仕様

 

>本記事の掲載は『HiVi 2026年春号』

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