今年の5月、独ミュンヘンで開催された世界最大級のオーディオショウ「HIGH END 2025」でお披露目され、注目を集めたエバーソロの「PLAY CD Edition」および「PLAY」が日本上陸を果たした。

 MM/MC対応のフォノ入力を備えたプリメインアンプをベースに、ネットワークプレーヤー、光/同軸デジタル入力、同軸デジタル出力、ARC対応HDMI入力まで備えた先進的なオーディオ機器で、パッシブスピーカーと組み合わせるだけでほとんどのオーディオメディアがサポートできるという実に欲張りなモデルだ。

 さらに興味深いのは、CDドライブを備えた「PLAY CD Edition」と、CDドライブなしの「PLAY」の2モデルが用意されていることだ。前者についてはCD再生はもとより、CDリッピング機能も備え、音楽データを内部ストレージ(32Gバイト)にそのまま収納できるというスマートさ。2系統のUSB Type Aポートも装備しているため、ストレージ容量が足りない場合は、外部ストレージを追加することも可能だ。

 早速、CDリッピングを試してみたが、これが実に快適だ。本体左横のCDドライブにディスクを装填し、本体内にトレイを押し込むと、TOC読み込みが自動でスタート。5.5インチのタッチパネル方式のカラーLCD画面からアルバムのリッピングか、ダイレクト再生のどちらかを選択。前者を選ぶとそのままCDリッピング動作に入るという仕組みだ。以降、各ステップの進行状況がディスプレイに表示される。

 リッピングデータ形式はFLACもしくはWAVの選択が可能。ネットワーク接続が前提となるが、アルバムアートワークやアーティスト名、トラック名などのメタデータも自動取得される。作業完了後は、ミュージックフォルダー内のデータを選択して、再生可能となる。

画像1: エバーソロ『PLAY CD Edition』。CDからハイレゾストリーミングまでリビングオーディオに最高の存在

Integrated Amplifier
Eversolo
PLAY CD Edition
¥187,000 税込

●型式 : CDドライブ内蔵、ネットワークプレーヤー機能付きプリメインアンプ
●出力 : 60W×2(8Ω)、110W×2(4Ω)
●接続端子 : アナログ音声入力1系統(RCA)、アナログフォノ音声入力1系統(RCA[MC/MM対応])、デジタル音声入力3系統(同軸、光、HDMI ARC)、デジタル音声出力1系統(同軸)、サブウーファー音声出力1系統(RCAモノーラル)、USB Type A端子2系統(Audio Out、OTG)、LAN1系統、ほか
●ラインナップ : CDドライブ非内蔵仕様(PLAY、¥165,000 税込)あり
●寸法/質量 : W230×H75×D230mm/2.9kg
●問合せ先 : (株)ブライトーン ☎ 050(6877)6043

 

画像2: エバーソロ『PLAY CD Edition』。CDからハイレゾストリーミングまでリビングオーディオに最高の存在

23cm四方のコンパクトな筐体だが、HDMI ARC端子を含む非常に豊富な入出力端子類を装備。CDドライブは筐体正面向かって左側にトレイが開く。リッピングはメタデータの取得も含めて、非常に簡単であり、ライブラリーの構築も容易い

 

 

CDドライブ内蔵でデータ取り込みも簡単

 今回はウエストレイクのLc4.75スピーカーと組み合わせて、映画『アリー/スター誕生』のサウンドトラックなどのCDをリッピングして聴いてみたが、贅肉のない引き締まった音像で、細部までくっきりと描き出す躍動感に富んだサウンドが特徴的だ。

 「La Vie En Rose」ではレディー・ガガの声の勢い、力強さを感じさせつつ、空間の拡がりがナチュラルで、場面、場面の盛り上がり、雰囲気を的確に表現していく。特にステージシーンでは彼女の歌声を取り囲むかのように、観客の声援、口笛、拍手がフワッと拡がり、その場に居合わせているかのような臨場感を体験することができた。

 CDのダイレクト再生時のサウンドとも比較してみたが、声の定位、ベースの勢い、空間の拡がりと、リッピング再生がやや優勢だ。CDドライブなしのPLAYとの価格差は2万円強。「CDは聴かない/持っていない」という人以外は、使い勝手も含めて、断然、PLAY CD Editionがおすすめだ。

純正の「Eversolo」アプリでCDリッピングやルームコレクションなどのほか、様々な音声ストリーミングサービスの選曲等の操作が可能だ

 

『アリー/スター誕生』のサントラCDをWAV形式で内蔵ストレージにリッピング、そのデータをアプリ経由で再生した。スムーズかつ快適な操作フィーリングが味わえた

 

 

Qobuz、Amazon、TIDAL、Appleのハイレゾサブスクに対応

 続いて最高192kHz/24ビットまでの音源をサポートした音楽ストリーミングサービスの再生。エバーソロの他の製品同様、Amazon Music、Qobuz、Spotify、TIDALなど、メジャーな高音質サービスはほぼ全てサポートしており、もちろんApple Musicのハイレゾ再生も可能だ。

 今回はQobuzから主にチョ・ソンジン独奏の『モーツァルト:
ピアノ協奏曲第20番』(96kHz/24ビット)を中心にチェックしたが、ピアノ、弦楽器の響きの質感を丁寧に描き出し、リアルなライヴ空間が体験できる。響きの緻密さ、スピーカーからの音離れの良さと、随所で、ハイレゾ音源の優位性を実感することができた。

 今回の環境では、低域はやや締まり傾向だったが、もっと低域の量感が欲しい場合は、ルーム補正機能が有効だ。スマホのマイクで部屋の音響特性を測定し、補正するという機能で、作業は5分ほどで完了。これで低音域の表現に余裕が生まれ、中音域に厚みが増す。ぜひ積極的に活用したい。

 

結論

ほぼ全ての音源が楽しめるスーパーモデル。頼れる1台だ

この1台で、われわれが家庭で楽しむ音源のほぼ全てをカバーできるスーパーモデル。本体や各種端子ともに、オーディオ製品としての作りも良好で、安っぽさは皆無。リビングのオーディオの核として頼れる1台となることは確かだ。

 

 

>本記事の掲載は『HiVi 2026年冬号』

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