実話に基づく話だというのだから驚く。そして「こんなことがあり得るのか、本当に人生というものは紙一重だ」と痛感させられる。

 潜水支援船「タロス号」が北海でガス・パイプラインの補修を行うためにスコットランドの港から出航した。乗っていた飽和潜水士は3名。彼らは水深91メートルの海底で作業をしていたが、途中で「タロス号」のコンピューター・システムに異常が起き、号そのものが荒波に流されてしまった。そしてクリスの命綱は切れ、彼は深海に投げ出されてしまう。クリスの潜水服に装備された緊急ボンベの酸素は、わずか10分。ここから驚異的な救助作業が始まる。

 結果としてクリスは九死に一生を得るのだが、それはネタバレにすらならない。というのは「そこ」に向かっていく仲間たちの団結、協力体制が大きな見どころとなっているからだ。そしてクリスと一緒に作業をしていたベテランのダンカン、プロ意識の強いデイヴの各キャラクターも濃厚に描き出されている。サバイバル・スリラーでありながら、骨太な人間ドラマでもある。そこが全米初登場第2位のヒットにもつながったのだろう。

 救助されるまでの「10分」はクリスにとって果てしなく長い時間であっただろうし、助ける側としたらそれは数秒の短さにも感じられたかもしれない。そのあたりの「時間感覚の違い」もしっかり感じさせる描写にも唸らされた。監督はアレックス・パーキンソン、出演はウディ・ハレルソン、シム・リウ、フィン・コール等。

映画『ラスト・ブレス』

9月26日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

出演:ウディ・ハレルソン、シム・リウ、フィン・コール、クリフ・カーティス
監督:アレックス・パーキンソン 原作:ドキュメンタリー『ラスト・ブレス』(メットフィルム)
脚本:ミッチェル・ラフォーチュン、アレックス・パーキンソン&デヴィッド・ブルックス
2025年|米・英|英語|93分|カラー|5.1ch|シネマスコープ|原題:Last Breath|字幕翻訳:大西公子|映倫区分:G
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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