画面に適度にノイズが入り、出演者が着ている服の襟は大きく、音楽も実に「人力」な感じがして、まるで1970年代に制作された映画のようだなと思ったが、バリバリの新作である。そして内容はマカロニ・ウェスタン、スプラッター、ジャッロ、ブラックマジック、ファンタジー的な要素がたっぷり。情報量の多さにワクワクさせられ、「ここまでやってしまうのか」的なグロテスクなところも含めて、なんというか、制作側が忌憚なくやりたいことをやったという感じが伝わってくる。監督のオースティン・スネルは、フィルムコレクターであるともいう。撮影には、1960年代当時のカメラと16mmのコダックフィルムが用いられた。

 物語の舞台は1870年代のアメリカ。ということは、建国100年前後か。日本の視点で言えばペリーが浦賀に来てから15~20年ほど後だ。主人公のモリーはかつて盗みをはたらいていたが、夫との出会い以降は愛に生きている。だがその生活も長くは続かなかった。愛する夫が、濡れ衣を着せられたまま殺害されてしまったからだ。モリーは必死に夫の無実を証明しようとするものの、それはどうにも不可能であることがわかってきた。ようしそれならばと(ここからが本作ならではの展開なのだが)、死神と「契約」することで復讐鬼となり、そこから猛烈な勢いで、夫殺しに関わったもの達を、夫以上に苦しんで絶命せよ、とばかりに、実にエネルギッシュにあやめていく。まさに「取りつかれた感じ」で目的を遂行していくのだが、その「殺しのテクニック」の背後に浮かぶのは、冷静沈着な頭脳である。

画像: 無実の罪であった夫を殺された妻が、死神と「契約」。要注目の若手監督が放つ16㎜撮影作品『皆殺しに手を貸せ』

 4月11日からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿K's cinema、池袋シネマロサ、ほか全国拡大公開も決定した本作は、字幕付きと、《超訳》による日本語版の2種類での登場。出演はシェリー・リペル、ジェフ・ボワイエ、デイン・シュービー、デヴァン・R・ガルシア、カルメン・アネロ、パトリック・ポー等。日本語版ではトップ声優たちが吹き替えにあたり、主人公モリーを「ポケットモンスター」シリーズのサトシ役で知られる松本梨香が演じる。

映画『皆殺しに手を貸せ』

2025年4月11日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿K's cinema、池袋 シネマ・ロサほか順次公開

出演:シェリー・リペル、ジェフ・ボワイエ、デイン・シュービー、デヴァン・R・ガルシア、カルメン・アネロ、パトリック・ポー

声の出演:松本梨香(モリ―・プレイ)、堀内賢雄(フランク)、杉田智和(ボズリー)、岩崎諒太(ディエゴ)、新田恵海(マギー)/森川智之(死神)

脚本・監督:オースティン・スネル
エグゼクティブプロデューサー:コリー・スネル
VFX:アダム・ジェファース 特殊メイク:ジェイク・ジャクソン
主題歌:Night Powers「Tonight we fly」

日本語版製作:出町光識 吹替版演出:サイトウユウ 吹替版脚本:光武蔵人 吹替版翻訳:渡邉一治 吹替版制作:タニザキマキ、滝澤令央 吹替制作:株式会社チャンス イン 日本語字幕:松本清貴 宣伝デザイン:RedRooster 下山隆 宣伝:河合のび 配給:Cinemago 原題:THEY CALL HER DEATH
2024/アメリカ/カラー/DCP/91分/R15+
(C)MMXVIII SUNRUNNER FILMS LLC ALL RIGHTS RESERVED/Cinemago

公式サイト
https://www.cine-mago.com/collection/minagoroshi

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