ストリーミングの先駆者リンが提供する、個性に溢れた「選択の自由」を満喫

 2007年のKLIMAX DSの誕生以来、ネットワークオーディオプレーヤーの先駆者として、先進的な技術、機能性、デザインと、様々な可能性に取り組み、進化し続けているリンのDS(デジタルストリーム)シリーズ。最高峰として君臨する「KLIMAX DSM/3」を筆頭に、中核グレードとなる「SELEKT DSM」、ワンボックスシステムとして根強い人気を誇る「MAJIK DSM/4」と、個性溢れるラインナップを構築し、多様化するユーザーニーズに応えている。

 当然、Qobuz再生についても、すでに対応済。快適な操作性、使いやすさ、確かなクォリティと、先駆者リンならではの安定感に揺らぎはなく、「さすがDS!」という声が各方面から届いている。ここではモジュール方式で選択可能な回路構成という強みを生かし、その内容を柔軟に組み替えられる先進的なモデル、「SELEKT DSM」にスポットを当てる。

 

画像1: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

Network Audio Player / Amplifier
SELEKT DSM

●接続端子:アナログ音声入力3系統(RCA、MCフォノ、MMフォノ)、デジタル音声入力6系統(同軸×2[1系統出力端子に設定変更可能]、光×2、USB Type B、HDMI ARC)、サブウーファープリ出力1系統(L/R低音増強用)、LAN端子1系統(RJ45)、EXAKT LINK2系統ほか
●主な対応ストリーミングサービス:Qobuz、Spotify、TIDALほか
●対応アプリ:LINNアプリ
●備考:AirPlay2対応、Bluetooth、Roon Ready対応
●寸法/質量:SELEKT DSM Classic Hub・W355×H122.5×D355mm/8.1〜10.9kg、SELEKT DSM Edition Hub・W355×H119×D355mm/9.5〜12.3kg

●問合せ先:(株)リンジャパン TEL. 0120-126173

 

 

ネットワークプレーヤー機能を軸に、多彩な用途に発展できるSELEKT DSM

 ネットワークプレーヤー機能をベースに様々なシステムスタイルに発展できるのがSELEKT DSMの特徴だが、形態としては大きく単体のネットワークオーディオプレーヤー(HDMI ARCを含む豊富な入力端子と音量調整機能を活用してプリアンプとしても使用可能/HDMI入力端子の増設追加も可能)、スピーカー駆動用パワーアンプを内蔵した多機能プリメインアンプ、さらにアンプ回路/サブウーファー用出力端子を増強して、5.1ch再生が可能なサラウンド対応アンプ、という3つのパターンが考えられる。ユーザーのシステムに応じて好みのスタイルが選べるというわけだが、もちろん購入後にモジュール交換による機能追加、アップグレードも可能だ。

 

SELEKT DSMの選択

リンのSELEKT DSMは、機能とグレードをニーズに合わせて選択(セレクト)できるユニークな製品群。選択は4つのステップで構成されている。モジュールの組み込みにはいくつか条件があるので、詳細はリンジャパンまで確認されたい。また典型的な組合せはあらかじめパッケージ化した仕様でも販売されている。

STEP①
本体選択/以下のどちらかを選ぶ
● Classic Hub(¥1,540,000 税込)
● Edition Hub(¥2,145,000 税込)

 

STEP②
DACモジュール選択/4グレードから選ぶ
● Stereo STANDARD DAC(¥55,000 税込)

画像2: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

● Stereo KATALYST DAC(¥363,000 税込

画像3: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

● Stereo ORGANIK DAC(¥770,000 税込)

画像4: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

● Dual Mono ORGANIK DAC (¥1,210,000 ペア税込)

 

STEP③
DACモジュールを組み込む
出力モジュール選択/用途に合わせて選ぶ
● Stereo Line output(¥220,000 税込)
● Dual Mono Line output(¥330,000 税込)
● Stereo Power output(¥220,000 税込)

画像5: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

● Hybrid (Line1 & Power1) output(¥220,000 ペア税込)

 

STEP④
入力モジュール選択/必要に応じて選ぶ
● HDMI switching module(¥110,000 税込)
● Surround processing module(¥330,000 税込)

 

 

 SELEKT DSM導入時に、まず決めなければならないのが、DACやアンプといった各種モジュールを格納する「Hub」(筐体)のグレードだ。具体的にはスタンダードグレードの「Classic Hub」にするのか、さらに高品位な再生を目指した「Edition Hub」にするのか、その選択が第一ステップとなる。

 実はClassic Hubは、昨秋、デザイン、操作性、回路構成と刷新された第2世代仕様にモデルチェンジしている。筐体は剛性強化に加えて、耐久性と美しさを両立させたパウダーコーティングが施され、お洒落な雰囲気だ。

 前面の表示部は「KLIMAX DSM/3」と同じTFT液晶パネルとなり、そのサイズは従来の2倍。天板前面中央に配置されるダイヤル部は変わらないが、操作フィーリングを改善し、100ステップのボリュウム位置を表示するLED部を強化している。また「PIN」機能をサポートする6つのスマートボタンも搭載済だ。

 こうした外観の変更に止まらず、回路基板が上位の「Edition Hub」と同じ構成となり、信号処理については優劣がなくなったことも見逃せない。またヘッドフォン出力端子、サブウーファー出力端子(※2ch再生時の低音増強用で、サラウンド再生のLFE端子としては機能しない)も標準装備している。

 今回の取材ではネットワークプレーヤー機能を装備したプリメインアンプの形態をとるSELEKT DSM Classic Hubと同 Edition Hubを用意し、前者のDACモジュールを3パターン入れ替えることで、合計4パターンでSELEKT DSMの比較試聴をする用意を行ない、Qobuz再生のパフォーマンスを検証した。スピーカーはHiVi視聴室のリファレンスBowers & Wilkins 802 D4を使用。楽曲は、「My Heart Will Go On/セリーヌ・ディオン」、「デスペラード/リンダ・ロンシュタット」、「ホールド・マイ・ハンド/レディー・ガガ」、「モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番/チョ・ソンジン、ほか」と、ハイレゾ収録された音源を中心に選んで再生している。

 

画像6: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

 

取材した4つのパターン

パターン①
SELEKT DSM-CSA ¥1,705,000 税込
※本体/SELEKT Classic Hub+DACモジュール/STANDARD
DAC+出力モジュール/Amp module

 

パターン②
SELEKT DSM-CKA ¥1,980,000 税込
※本体/SELEKT Classic Hub+DACモジュール/KATALYST
DAC+出力モジュール/Amp module

 

パターン③
本体/ SELEKT Classic Hub+DACモジュール/Stereo ORGANIK DAC+出力モジュール/ AMP module¥2,530,000 税込
※パッケージ製品なし

 

パターン④
SELEKT DSM-EOA ¥2,970,000 税込
※本体/SELEKT Edition Hub+DACモジュール/Stereo ORGANIK DAC+出力モジュール/Amp module

 

画像7: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

今回はSEKELT DSM Classic Hub本体にアンプモジュールを組み込んだプリメインアンプのスタイルで、DACモジュールの品位の違いをパターン1〜3で試し、パターン4では、本体をSELEKET DSM Editon Hubに変更。DACモジュールは、パターン3と同じStereo ORGANIK DACを使ったので、本体でのクォリティ差がどれほどあるかを検証した格好だ

 

画像8: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

SELEKT DSMは出力モジュールを3つ格納できるが、今回は左端のスロットにDACモジュールをセットしたアンプモジュールを搭載してプリメインアンプとして使う。パターン1〜3までは、同一の筐体とアンプモジュールに、3つのDACモジュールを交換しながら試聴したが、作業はリンジャパンのスタッフに担当してもらった

 

画像9: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

SELEKT DSM Edition Hub。約10mm厚のアルミニウム削り出しシャーシを4面(天面/左右/背面)を用いたベースシャーシの採用が最大の特徴だ。SELEKT DSM Classic Hubと基板設計や電源など電気的な違いはない

 

 

画像10: 『LINN SELEKT DSM Series』注目モデルで聴くQobuz《ネットワークプレーヤー編》

 

パターン①
リンDSの素性の良さを実感した最も標準的な「DSM-CSA」仕様

 まずSELEKT DSM Classic Hubに「アンプモジュール(100W×2、4Ω時)」と「スタンダードDACモジュール」を組み込んだ、SELEKT DSM-CSAと呼ばれる仕様から聴いていこう。アンプ内蔵タイプとしては最もベーシックな組合せで、パワーアンプは高効率、高出力のクラスD仕様としている。定在波の影響を軽減するスペースオプティマイゼーション機能も装備しているが、今回は「オフ」の設定で再生している。

 純正の操作アプリ「LINN App」をインストールしたiPadでQobuz再生の操作を行なった。操作時の反応の素早さ、動きの滑らかさ、そして楽曲再生時の安定感と、実に快適で、ストレスがない。音量はアプリの同一画面から調整可能で、これが実に便利。このあたりの安定感、使いやすさは、さすがネットワークオーディオ再生に精通したリンだけのことはある。

 このコンパクトな筐体で、一体どんな表現力をみせてくれるのか、興味津々だ。音質傾向としては軽快でハイスピード。低音の吹き上がり、中低域の張り出しといった部分では、重量級のAB級アンプと同等とはいかないが、音の鮮度、勢いといったところで存在感をしっかりとアピールしてくる。

 セリーヌ・ディオンの歌声は透明感に優れた鮮度の高さ。息づかいが鮮明で、漂うように空間に溶け込んでいく様子が好ましい。明るく、開放的に楽しませるタイプ。明確な定位と、大きなステージを思わせる雄大な響きの拡がりが心地よく、その空間に引き込まれる吸引力を感じたほどだ。

 一聴して凄味を感じさせる強引さはない。ある程度時間をかけて聴き込んでいく中で、音楽に対する反応の良さや、適度な厚みを伴ないながら、きめ細かさを描き出す丁寧な表現力など、システムとしての素性の良さを感じさせてくれた。 

 

パターン②
格調の高さを感じさせるカタリストDACを用いた「DSM-CKA」

 次はアンプモジュールはそのまま、DACモジュールを上位の「カタリストDAC」に入替えた状態、セット仕様としてSELEKT DSM-CKAと呼ばれる構成で聴いてみよう。カタリストDACは、基準電圧の微細な変動を排除し、各種信号処理エラーを抑え、より高精度なアナログ信号が出力できるDACシステムで、低歪み、高S/Nを追求したこだわりのアナログ出力段を備えている。

 声の浸透力、演奏の安定感、楽器の多彩な響きと、特定のトーンを感じさせることなく、ニュートラルに描き出すという基本スタンスはスタンダードDACモジュールを内蔵した「SELEKT DSM-CSA」と変わらない。ただ落ち着いたテイストはそのままに、全体に厚みが増して、しかも中低域が充実し、気持ち良く吹き上がる。

 「ホールド・マイ・ハンド」の再生では繊細で、時には太く、力強い響くレディー・ガガの歌声がHiVi視聴室全体に浸透する。音離れの良さ、歯切れのいいリズム感に加えて、目の前の、特に天井方向の空間がグッと拡張されつつ、ある種の格調の高さを感じさせるサウンドを体験できた。

 

パターン③
絶対的な情報量に優れたオーガニックDACの高性能を実感

 カタリストDACでここまで表現力が変わると、おのずとFPGA(Field Programmable Gate Array/プログラム書き換えが可能な集積回路)とディスクリート構成の変換回路を組み合わせたオーガニックDACへの期待が高まる。リン初の自社設計・製造のDAC回路であり、ノイズフロアー、歪率はリン史上最も優秀だという。アンプモジュールはそのままに、このDACモジュールを組み込んだ。なお、これらのモジュールを組み込んだセット仕様の製品は用意されていない。

 さてそのサウンドだが、楽器の艶っぽい音色や、緻密な音場の拡がり、空間の見通しの良さなど、元々の情報量の豊富さを感じさせながら、その音調は硬質にならず、音楽の旋律を繊細なタッチで確実に描き出していく。雑味や歪み、ゆがみを感じさせないきめ細やかな聴かせ方が特徴的で、とにかく品位感が高い。

 チョ・ソンジンのピアノは空間の静けさ、見通しの良さ、表現の緻密さと、絶対的な情報量に余裕があり、聴き手を優しく覆い包むような、肌合いのいい響きが特徴的だ。そしてここぞという場面で激しく鍵盤を叩く様をパルシブに描き出すが、粗っぽさは皆無。その場の空気感がダイレクトに描かれるような生っぽさが、新鮮だった。

 

パターン④
本体グレードが向上した効果を大いに体感した「DSM-EOA」

 ここまでくるとやはり最後は切削加工のエンクロージャーのSELEKT DSM Edition Hubに、「オーガニックDACモジュール」と「アンプモジュール」を収めた「SELEKT DSM-EOA」の仕様の音を聴かずにはいられない。筐体自体の剛性を高め、製品内部の相互干渉をも低減。接合部を目立たせず、シャープで洗練した外観は高級感に溢れている。

 しなやかな質感で、鮮度が高く、刺々しさのないサウンドは、見た目の印象を裏切らない。リンダ・ロンシュタットの歌声は、その息づかいが温かく、手を伸ばせば微細な空気の振動まで感じられそうなほど生々しい。静かな空間、透明感に溢れた響き、ニュアンスに富んだ歌声と、圧倒的とも言えるS/N感の良さの証明と言っていいだろう。

 ワイドレンジで、Hi-Fi感を凝縮したような精細感に富んだサウンドは、リンDSシリーズの最高峰「KLIMAX DSM/3」に通じるもの。音の輪郭をキリッと効かせて、華やかさを演出するようなことはなく、あくまでもゆったりとおおらかに、聴き手を繊細な良質な響きで覆い包んでくれる包容力を持ち合わせている。

 オーケストラのアコースティックな響きが豊かなグラデーションとして描き出された「モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番」の再生音が、帰路につく車中でも頭の片隅から離れなかった。

 

最もベーシックなDSM-CSAと寄り道なしのDSM-EOAが特に魅力的

 リン・クォリティを保証しつつ、ユーザーが求めるスタイルに応えられる多様性を備えたオールインワンコンポーネント、SELEKT DSM。今回は代表的な4種類の組合せを同一条件で聴き比べるという貴重な経験をしたが、どれも個性に溢れ、唯一無二の魅力を持ち合わせていた。

 取材中ずっと、もし自分ならどの組合せがベストなのかを考えていた。取材を終えたいまでも、答えを出すのは簡単ではないが、まずは最もベーシックなSELEKT DSM-CSAを導入してみて、少しずつアップグレードするという選択が考えやすい。ただ予算的に許されるのなら、寄り道をせず、はじめからSELEKT Edition Hubシャーシに、オーガニックDACを収めたSELEKT DSM-EOAを導入したい、というのが偽らざるいまの気持ちだ。実に悩ましい。

 

 

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>本記事の掲載は『HiVi 2025年春号』

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