2024年10月、日本で正式にサービスが開始されたハイレゾストリーミング「Qobuz」の登場により、対応するオーディオ機器への関心が高まっている。
Qobuzを最大限に楽しむ方法として、既存のオーディオシステムに、Qobuz対応のネットワークプレーヤーやトランスポートを追加することが考えられるが、新たな環境を整えるのも選択肢だ。たとえば、セカンドシステムを構築したり、デスクトップオーディオに挑戦するのも良いだろう。
そうした際におすすめしたいのが、USB接続でハイレゾに対応する「アクティブスピーカー」の導入だ。家庭用のアクティブスピーカーといえば、かつてはパソコン横に置かれるようなチープなモデルが主流だったが、近年ではピュアオーディオファンも満足できる高品位な製品が増えている。パソコンやスマホと繋げば、シンプルな機器構成でありながら、Qobuzの1億曲以上のロスレス/ハイレゾ楽曲を高音質かつ快適に楽しめる。
今回紹介するのが、日本を代表するスピーカーブランド「クリプトン」が作る高品質アクティブスピーカーKS-11GとKS-55HGだ。
中高域のフラットな特性で忠実な再現性で描くKS-11G

Active Speaker System
KRIPTON
KS-11G
¥65,780 (ペア)税込
● 型式:アンプ内蔵フルレンジスピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:64mmコーン型フルレンジ
● アンプ出力:35W×2
● 寸法/質量:W89.5×H176.5×D105mm/約1.2kg
● カラリング:ブラック、ホワイト
まずは、KSシリーズのエントリー機KS-11Gを試す。コンパクトなキャビネットは側面がモールド樹脂、フレームにはアルミ押し出し材が使われている。64mm径のフルレンジユニットを搭載し、最上位機KS-55HG同様にデジタル領域での信号処理を採用している。
MacBook Airをデジタルトランスポートとして使用し、ノードスト製USBケーブル(端子はUSB Type C/ Type B仕様)で、KS-11Gと接続。Qobuzの純正アプリを使用して再生した。楽曲は、ジョシュア・レッドマン feat. ガブリエル・カヴァッサ「After Minneapolis」と、EDM楽曲のSteve Aoki「Clap Back」。
後述するKS-55HGのような周波数レンジの広さや絶対的な分解能の高さを際立たせるタイプではないものの、中高域のフラットな再生特性により、楽器やヴォーカルの質感はソースに忠実に描き出す印象だ。低音域とのバランスも取れており、ピュアオーディオライクな本格再生音に感心した。
高音質小型機KS-55HGは低音の「質」にも優れている

Active Speaker System
KRIPTON
KS-55HG
¥142,780 (ペア)税込
● 型式:アンプ内蔵2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:30mmリングラジエーター型トゥイーター、64mmコーン型ウーファー
● アンプ出力:35W×4
●寸法/質量:W109×H159.5×D203.4mm /約2kg
● カラリング:ゴールド、シルバー
KSシリーズのトップモデルであるKS-55HGは、2021年に登場した2ウェイスピーカー「KS-55Hyper」の進化モデル。キャビネットはオールアルミニウム製で、音の回折を抑え音場表現を向上させるオーバル(楕円形状)ラウンドフォルムデザインを採用、コンパクトだが、海外のハイエンドスピーカーのような質感と美しいエクステリアデザインだ。
ユニットには、64mm径ウーファーと30mmリングダイアフラム型トゥイーターを搭載し、小型スピーカーとは思えないワイドレンジな再生特性(70Hz~60kHz)を実現する。
デジタル信号処理部とアンプ回路にもこだわりが見られる。USBなどでデジタル入力された信号は、DDC(Digital to Digital Converter)とDSP(Digital Signal Processor)を通過し、帯域分割処理を含む信号処理がデジタル領域で行なわれ、デジタルアンプ回路にはデジタル信号のまま伝送、ウーファーとトゥイーターは、それぞれ専用のデジタルアンプ回路が充てがわれ、バイアンプ駆動される仕組みだ。

KS-55HGのサイズは幅約11cm、高さ約16cmと小型2ウェイ方式のアンプ内蔵スピーカー。ノートパソコン両脇の設置がベストフィットするサイズであるが、その音は小サイズを忘れるほどの迫力に満ちている。高性能ユニットを強力なアンプで駆動している結果であるが、強靭な筐体構造や巧みな音質チューニングなど、長年のスピーカーづくりで培った「オーディオエンジニアリング」が、その背景にあり、最も注目すべき点である
パソコンの横に設置したKS-55HGは、その見た目からも頼もしさを感じるデザイン。「After Minneapolis」は、イントロのサックスの音色が素晴らしく、スペック上の周波数特性の広さを実感させるように高音が伸びる。ヴォーカルは左右スピーカーの中央の空間にピンポイントで定位。エンクロージャーは、リアバスレフ構造となり、小型スピーカーでは不足しがちな低音の量感と、そして「質」が確保されている。
Steve Aoki「Clap Back」は、左右に広がる、エレクトリックシンセサイザーの空間表現に優れ、コンパクトなスピーカーとは思えない迫力のあるキックドラムとベースが響く。ソース切替えや音量調節は付属リモコンで操作可能。前面のLEDで音量位置や入力ソース、入力信号の解像度を視認できるのも便利だ。
KS-11GとKS-55HGは、小型でありながら高音質。パソコンやスマホとUSBで簡単に接続できるので、NetflixやYouTubeなどの動画配信の再生にも活用できる。まさに音楽と映像の両面でライフスタイルを充実させることが可能だ。小型で設置性が良く、基本性能に優れた満足感の高いスピーカーだと改めて実感した次第だ。


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