テレビ用のOSは、これまでROKU、グーグル、アマゾンなどが大宗体だが、XperiのTiVo OSが今、躍進している。

 当初は、2023年にトルコのベステル(自社ブランドの他にDaewoo、Regal、Hitachi、Telefunken、Toshiba、JVCなどのブランドも)が導入した程度だったが、その後、年を追う毎に採用が増えている。シャープ、パナソニック(どちらもヨーロッパ向けテレビ)、中国のスカイワース、コンカ……と、これまで8社、33以上のブランドが採用。

 CESでの最新ニュースは、シャープ。シャープ ホームエレクトロニクスカンパニー オブ アメリカ(Sharp Home Electronics Company ofAmerica)は2025年2月から、TiVo OSの55インチ液晶テレビをアメリカで販売すると発表した。

画像: 【麻倉怜士のCES2025レポート05】世界のテレビメーカーの間で、TiVo OSが大躍進。シャープは今年2月から、TiVo OSの55インチ液晶テレビをアメリカで販売する
画像: シャープのアメリカ向けテレビで採用されたTiVo OS

シャープのアメリカ向けテレビで採用されたTiVo OS

 このように意外と言っては何だが、世界で採用が増えている。それにはいくつかの理由がある。報道資料には「次世代スマートテレビを効率的かつ費用対効果を高く世界的に展開するための完全な解決策」とあるが、TiVo OSには採用のテレビメーカーとの間に収益分配プログラムがあり、TiVo側から一定割合がテレビメーカーにバックされるレベニューシェアは、確かにメリットだ。還元されるのはお金だけでなく、視聴者の視聴履歴なども提供される。

 ユーザー体験がいいことも、導入を後押しする。ここのキーワードが「中立性」。他の大手のOSは、自分のサービスやコンテンツを優先して紹介するが、TiVo OSはえこひいきなしに、中立だ。ユーザー・オリエンテッドなサーチだ。

 ポータル画面の見せ方も、TiVo OSだから凄いと出しゃばるのではなく、あくまでもメーカーブランド(たとえばシャープ)を表に出し、それをTiVo OSが裏方でお手伝いするという謙虚なスタンス。そのメーカーのビデオサービスに見えるのだ。

画像: XperiのTiVo OSリファレンス画面と最初に採用したトルコのベステルのTiVo OS画面

XperiのTiVo OSリファレンス画面と最初に採用したトルコのベステルのTiVo OS画面

 TiVo OSはコンテンツ推薦能力が飛び抜けている。曖昧な言葉で検索でき、それが連続した質問であるか、単独の質問かを自動的に判別する。もともとVeveo社(ボストンマサチューセッツ、2004年設立)が開発したNatural Language Understanding(自然言語解析)のKnowledge Graph技術がRoviに渡り、RoviがTiVoを買収し、さらにXperiに買収され、TiVo OSがつくられたという経緯からだ。使えば使うほど、ユーザーの好みが蓄積され、パーソナライズが進み、ヒット率も高くなる。

 今後も世界的にTiVo OSの採用は増えるとみられる。簡単に見たいものを観たいというユーザー・ニーズに合っているからだ。日本メーカーも採用して欲しいものだ。

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