クラシックの名録音・名演奏の醍醐味が満喫できる山中先生厳選の名曲コンピレーションがLP化

 1995年に63年の生涯を閉じられた山中敬三先生は、編集者時代ぼくがもっとも敬愛するオーディオ評論家のお一人だった。ステレオサウンド誌創刊間もない頃からの筆者で、HiVi誌においても1985年以降様々な企画に参加されている。初めて先生の杉並のお宅にうかがって、バルコのプロジェクターでユニテル制作のオーケストラ演奏のレーザーディスクを見せていただき、EMT 927Dstでナット・キング・コールのLPを聴かせてもらった、あのときの感激は今なお忘れることはできない。

Stereo Sound ANALOG RECORD COLLECTION
LP 2枚組 33 1/3回転 180g重量盤『Stereo Sound REFERENCE RECORD Vol.10 ~ドイツ・グラモフォン・ベスト・レコーディング』

(ユニバーサル ミュージック/ステレオサウンド SSAR-032~033)¥11,000 税込

DISC 1
[SIDE A]
ベートーヴェン
1.序曲「コリオラン」作品62
クラウディオ・アバド指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
シベリウス
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
2. 第3楽章
ギル・シャハム(ヴァイオリン)
ジュゼッペ・シノーポリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
[SIDE B]
ベートーヴェン
チェロ・ソナタ第2番 ト短調 作品5の2
1.第1楽章より
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ブラームス
ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78「雨の歌」
2. 第1楽章
オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)
DISC 2
[SIDE C]
グリーグ
オスムン・オラヴソン・ヴィニエの詩による12の旋律集 作品33から
1.第2曲:春
アンネ・ソフィー・フォン・オッター(メッゾ・ソプラノ)
ベンクト・フォシュベリ(ピアノ)
プッチーニ
歌劇「トゥーランドット」
2. 氷のような姫君の心も(第3幕:リューのアリア)
ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ジュゼッペ・シノーポリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
ロッシーニ
歌劇「アルジェのイタリア女」
3. レチタティーヴォ「ねえ! イザベッラ、どうもひどい連中に捕まってしまったね」(タッデーオ、イザベッラ)
4. 第5曲:二重唱「運命のいたずらに対しては」(イザベッラ、タッデーオ)
アグネス・バルツァ(メッゾ・ソプラノ:イザベッラ)
エンツォ・ダーラ(バス:タッデーオ)
クラウディオ・アバド指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[SIDE D]
ワーグナー
楽劇「ジークフリート」
1.おれの歌はすてきなやつを呼びよせたらしい!(ジークフリート、ファフナー)
ライナー・ゴルトベルク(テノール:ジークフリート)
クルト・モル(バス:ファフナー)
ジェイムズ・レヴァイン指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
ストラヴィンスキー
バレエ「火の鳥」
2. 火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り
3. カスチェイらの凶悪な踊り
4. 火の鳥の子守唄~カスチェイの目覚め~カスチェイの死、深い闇
ピエール・ブーレーズ指揮
シカゴ交響楽団

●構成・解説:山中敬三
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 さて、ここにご紹介するのは山中さんが構成・解説を担当された『Stereo Sound REFERENCE RECORD Vol10~ドイツ・グラモフォン・ベスト・レコーディング』のアナログLPだ(CDは1994年に発売)。ドイツ・グラモフォンレーベルで1980年代半ばから90年代初頭に録音されたクラシック音楽のアルバムの中から、オーディオ機器のチェックに使えるようにと山中さんが厳選された高音質トラックが収録されている。時代が時代なだけに全曲CDフォーマットに則った44.1kHz/16ビットのデジタル録音。このLPはそのデジタルマスターを元に日本コロムビアのベテラン・エンジニア武沢茂氏がカッティングしたという。

 2枚組の重量盤仕様で仕上げられたこのLP、44.1kHz/16ビットのデジタルマスターとはいえ音質は抜群に良い。「クリアーで曇りがなく、ホールトーンとのバランスを保ちながら、伝統のコンサート・リアリズムを現代的なセンスで一歩進めた……」と山中さんが解説で触れられているグラモフォンならではの見事なサウンドが収められている。

 ぼくがとくに感銘を受けたのは、ミッシャ・マイスキー(チェロ)とマルタ・アルゲリッチ(ピアノ)によるベートーヴェンのチェロ・ソナタ、アンネ・ソフィー・オッター(メゾソプラノ)がベンクト・フォッシュベリのピアノをバックに歌ったグリーグの歌曲、それにレヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団によるワーグナーの楽劇「ジークフリート」などである。まさに目の前にスケールの大きなサウンドステージが展開され、クラシック音楽の醍醐味が満喫できる。

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