マランツは、HDMI ARCを搭載した薄型ネットワークプリメインアンプ「STEREO 70s」(¥143,000、税込)を10月下旬に発売する。

画像: 本体カラーはブラック(写真)とシルバーゴールドをラインナップ

本体カラーはブラック(写真)とシルバーゴールドをラインナップ

 同社ではHDMI ARCに対応した製品として「MODEL 40n」や「NR1200」をラインナップしている。両モデルとも、これ一台でテレビ放送や動画配信、ハイレゾファイル再生といった、リビングのほとんどすべてのコンテンツを高品質で楽しめることが評価され、人気を集めているという。特にNR1200は薄型デザインと品質の高さから、2019年〜2020年のハイファイコンポの売上No.1にも選ばれるほどの人気を博してきた。

 新製品のSTEREO 70sはMODEL 40nとNR1200の間に位置する製品で、「リビング/TVと親和性のあるスリムデザイン」「HDMIセレクターを含む最先端の接続性、機能性」「マランツHiFiサウンドクォリティ」という3点がポイントだ。

 デザイン面はMODEL 40nの系譜に属する、インテリアとしても品位のある佇まいを実現、スイッチノブも必要最小限に抑えたシンプルな仕上がりとなっている。カラーバリエーションはブラックとシルバーゴールドが準備される。

画像: 6系統のHDMI入力に加え、光/同軸デジタル入力とアナログ入力、USB、LAN端子を装備する

6系統のHDMI入力に加え、光/同軸デジタル入力とアナログ入力、USB、LAN端子を装備する

 接続性、機能性はNR1200から多くの進化を遂げている。まずHDMI入力は6系統を装備(うち3系統は8K対応)、出力1系統はeARC/8K対応だ。そのHDMI ARCはリニアPCM 2ch(最大192kHz/24ビット)が入力可能で、さらにMODEL 40nと同様に、音声信号(SPDIF)はHDMIインターフェイスを経由せずに直接DIR(セレクター)に入力することで高音質化を実現している。同時にHDMI ARC回路も電源強化、低ノイズ化、信号経路やグラウンドの見直しが加えられているそうだ。

 音質改善の注目ポイントは、プリアンプに独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を用いた電流帰還型回路が採用されていることだ。これは、同社の薄型モデルとしては初のケースで、マランツのハイファイアンプとしてのクォリティを実現するのに重要な回路であることから、STEREO 70sにも搭載されたという。

 さらに、プリアンプ回路は独立した専用基板にレイアウトし、入力セレクター、ボリュウム、出力セレクターそれぞれの機能に特化した高性能カスタムデバイスを用いることにより信号経路を最短化。不要な信号経路の引き回しを排除するショートシグナルパスにより、透明感が高く、瑞々しいサウンドを実現している。

画像: マランツに、薄型ネットワークプリメインアンプ「STEREO 70s」が誕生。薄型デザインに、HDMI ARCやHDAM-SA2などの高品位技術を満載し、マランツクォリティの2chサウンドを再現!
画像: プリアンプ回路は独立した専用基板に搭載(写真上)。独自のHDAM-SA2を採用し、情報量豊かなサウンドを目指している(写真下)

プリアンプ回路は独立した専用基板に搭載(写真上)。独自のHDAM-SA2を採用し、情報量豊かなサウンドを目指している(写真下)

 パワーアンプ回路もフルディスクリート構成が採用されており、基板も左右対称にレイアウトされた。ここでも細かい回路の見直しや練り上げによって1kHzで10dB以上の低歪化を実現したという。定格出力は75W×2(8Ω、20Hz〜20kHz、THD0.08%)をクリアーする。

 電源部のブロックコンデンサーはSTEREO 70s用に特注したカスタム品を採用。電源トランスにも大型のカスタムEIコアトランスを投入することで、安定した電源供給を目指した。パワーアンプ周辺回路の細部に至るまで、徹底した音質チューニングも加えられている。

 電源ラインに流入するデジタルノイズはデカップリング・コンデンサーで除去しているが、そこでもサウンドマスターによる試聴を経て選定したパーツが使われている。またその他の小容量コンデンサーも、これまで使われていたパーツの生産終了に伴い、新たに供給メーカーと共同開発した新世代部品が採用された。

画像: 電源回路用に開発されたカスタムコンデンサー

電源回路用に開発されたカスタムコンデンサー

 ストリーミング(Amazon Music HD、AWA、Spotify)やハイレゾファイルの再生には、HEOSテクノロジーを使用。ミュージックサーバーやUSBメモリーに保存したDSDファイルやハイレゾ音源の再生にも対応している。ハイレゾフォーマットは最大5.6MHzのDSDや、最大192kHz/24ビットのWAV/FLAC/ALACが再生可能だ。DSD、WAV、FLAC、AppleLosslessのギャップレス再生にも対応しているので、クラシック音楽やライブ盤などを聴いても曲間で音が途切れることはない。

 なおHEOSテクノロジーは使用するチップの見直しなども行われており、対応フォーマットや音質も徐々に改善されているという。今回STEREO 70sに搭載されたのは2023年の最新版で、NR1200の頃からは2世代ほど進化したバージョンになるようだ。

 その他便利機能として、Alexa搭載デバイスからの音声コントロールもできる。Alexaに話しかけるだけで再生、停止、スキップや音量調整などの基本的な操作に加えて、Amazon Musicの楽曲から楽曲名やアーティスト名、年代、ジャンルなどを指定して再生できる。TuneInのデータベースに登録されている世界中のインターネットラジオから好きな放送局を音声で呼び出すことも可能という。

画像: リビングに置いても、インテリアの邪魔にならないシンプルなデサインが特長だ

リビングに置いても、インテリアの邪魔にならないシンプルなデサインが特長だ

 またBluetooth送信機能も搭載しており、STEREO 70sで再生中の音声をBluetoothヘッドフォン等でも楽しめる。新たにBluetoothヘッドフォンの音量操作機能にも対応したため、ヘッドフォンやイヤフォン本体に音量調整機能がない場合でも適切な音量に調整することができる。

 マランツの試聴室で、STEREO 70sとNR1200を聴き比べるチャンスがあった。NASに格納した男性ヴォーカル(48kHz/24ビット)やピアノ曲(192kHz/24ビット)、クラシック(96kHz/24ビット)などを再生してもらう(スピーカーはB&Wのフロアー型)。

 NR1200も落ち着いた、見通しのいい音を聴かせてくれる。若干フラットでハイレゾのサンプリング周波数による再現性の違いが曖昧になる印象はあるが、クリアーでバランスのいいサウンドが楽しめる。

画像: 試聴室では、ネットワークスイッチ経由でNASにつないで、ハイレゾファイルを再生してもらった。写真の電源ケーブルは試聴用で、付属品とは異なります

試聴室では、ネットワークスイッチ経由でNASにつないで、ハイレゾファイルを再生してもらった。写真の電源ケーブルは試聴用で、付属品とは異なります

 STEREO 70sで同じソースを再生すると、音場全体のS/Nが改善され、スタジオやホールの空気が澄んできたように感じる。ヴォーカル曲では声が前に出てきて、目の前で歌っているようになるし、ピアノのタッチも生々しく、鍵盤を力強く叩いた時の、音の立ち上がりも鮮烈だ。クラシックでも楽器の分離が明瞭になり、立体感が増して、ホールがひとまわり大きくなったように感じた。

 STEREO 70sとNR1200では定価で3万円弱の差があるが、この音の違いを聴いてしまう、StereoSound ONLINE読者のようなオーディオファンには、頑張ってSTEREO 70sをゲットして欲しいと思った次第だ(NR1200は併売されるので、組み合わせるスピーカーなどに応じて選び分けるといいだろう)。

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