デノンから、7.2chAVアンプの新製品「AVR-X1800H」（￥110,000、税込）が発表された。10月上旬の発売を予定している。
AVR-X1800Hは型番からも分かる通り、大ヒットモデル「AVR-X1700H」の後継モデルで、イマーシブオーディオの再生に対応した同社のエントリーモデルとなる。
デノンでは “最新の技術と卓越したエンジニアリングで、最高のマルチチャンネルを提供する” というテーマを掲げ、そのために、1）最新のAV規格にいち早く対応、2）ダビングステージの音をありのままに再現、3）充実したコネクティビティとユーザビリティを搭載した製品、をリリースしている。今回のAVR-X1800Hは、それらを踏まえたデノン史上最高音質の最強エントリーAVアンプを目指したそうだ。
一番の特長は、最大出力175W（6Ω、1kHz、THD10％、1ch駆動、JEITA）の7chパワーアンプを搭載していること。同社ハイファイアンプの設計思想を継承した、全チャンネル同一構成のディスクリート構成だ。パワートランジスターはパーツメーカーと共同開発し、半導体内部の回路パターンにまでこだわった高音質素子が採用されている。
これらのパーツを1枚の基板上に配置することで、シグナルパスを最適化、シャープな音像、高い分解能、しなやかな表現を獲得している。またパワーアンプの信号ライン、電源供給ラインの最短化と低インピーダンス化も実現した。
基板上では、パワーアンプやDAC、プリアンプといったブロックごとにグランドパターンを最適化することで、信号ラインの出力インピーダンスを可能な限り低減し、飛び込みノイズの影響も抑えているそうだ。加えてAVR-X1700Hからワイヤリングビスを変更し、さらに電解コンデンサーの耐圧、容量の見直しなど、60ヵ所の電子部品、15ヵ所の非電子部品の交換も行なうことで、作り込みの徹底も図られた。
ボリュウム用にはカスタムボリュウムICと、同じくカスタムセレクターICを開発・採用。一体型汎用ボリュウムの不必要な回路を排除して、理想的なレイアウト設計が可能になり、ストレートサウンドを実現している。
そのボリュウムを含むプリアンプ回路は、ヒートシンクや電源トランスなどの振動の影響を受けないよう、基板上の離れた位置に配置された。アナログ回路も同様にトランスから離れた位置に置くことで、ノイズの影響を軽減している。
イマーシブオーディオフォーマットはドルビーアトモス、DTS:Xに対応し、包み込まれるような没入感を味わえる。またBSデジタル放送で使われているMPEG-4 AACのデコードも可能だ。5.1chや7.1chソースもドルビーサラウンドやNurai:Xといったアップミックス処理を加えることで立体音響として再生できる。
HDMI入力は6系統備えており、このうち3系統（HDMI4〜6）は8K/60pの入力が可能。HDMI出力は1系統でこちらも8K/60pとeARCに対応済だ。これらのHDMI入力はジッター抑制技術も搭載されており、音質向上も実現した。
USB Type-Aはフロントとリアに各1系統搭載されているが、このうちフロント側からはUSBメモリー等に保存したハイレゾ音源（リニアPCMは最大192kHz/24ビット、DSDは最大5.6MHzまで）の再生が可能。DSD/WAV/FLAC/Apple Losslessのギャップレス再生にも対応済だ。リア側のUSB Type-Aは、各種スマートデバイスも使えるよう最大5V/1.5Aの給電ができる。
その他の接続端子はアナログ音声入力2系統、光デジタル音声入力2系統、フォノ入力1系統（MM）などを備えている。
また新たにBluetooth送信機能も搭載され（ボリュームコントロールを本体で可能）、Bluetoothイヤホン等と組み合わせての視聴もできるようになっている。
ネットワーク再生機能はHEOSを搭載。最大192kHz/24ビットのリニアPCMやDSD 5.6MHzのハイレゾ再生も可能となっている。他にもストリーミングサービスやインターネットラジオも楽しめる。
新製品説明会でAVR-X1800Hの音を聞くチャンスがあった。B＆Wスピーカーを使った4.1.2（センターレス配置）でドルビーアトモス収録のUHDブルーレイ『アバター：ウェイ・オブ・ウォーター』を再生してもらうと、主人公たちが水中に潜るシーンでは、水の圧力、包囲感が自然に再現されている。また基地からヘリが飛び立つシーンも細かな効果音の配置がよくわかり、ヘリの移動感もなめらかだ。
懐かしい作品から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の冒頭を聞かせてもらう。ドクの部屋に並べられた無数の時計の音に包まれる様が心地いいし、テレビのアナウンサーのナレーション、トースターの動作音などの効果音も明瞭に再現されている。テーマ曲の「The Power of Love」もテンポよく聞かせてくれる。
AVR-X1800Hは定価11万円のエントリーモデルという位置づけだが、細かな音の再現性や、聞き取りやすいヴォーカル、太い低音など、映画作品も充分に楽しませてくれる実力を備えている。これからイマーシブオーディオに取り組んでみたいとお考えの方は要チェックだ。
