シュアのトゥルーワイヤレスイヤホンは、これまでカナル型のイヤホンと外付け型のワイヤレスユニットを組み合わせた製品をラインナップしてきたが、AONIC FREEはハウジング内にワイヤレスユニットなども組み込んだ初のモデル。耳の外に出る部分がやや大きめになるが、耳に触れる部分の形状はよくできていてフィット感に優れる。外側もフラットな形状なので、見た目の大きさに反して邪魔にはならない。使用するドライバーは口径6㎜のダイナミック型。外音取り込みモードや、コーデックはAACに加えてaptXにも対応するなど機能的に充分。また、専用のスマホ用アプリ「Shure Plus Play」を使えばEQの調整なども行なえる。
SHURE
AONIC FREE
オープン価格(実勢価格2万5,960円前後)
●使用ユニット:6mm径ダイナミック型
●再生周波数帯域:21Hz~17.5kHz
●対応コーデック:SBC、AAC、aptX
●質量:13.4g
●問合せ先:シュア・ジャパン(株)
https://www.shure.com/ja-JP
ノイズキャンセル機能はないが、遮音性は優秀で実用上不満は少ない。ウレタン製のイヤーチップはフィット感も良好で、このあたりは従来のシュアのイヤホンと変わらない感触だ。
アステル&ケルンのSP1000を用いて、aptXでブルートゥース接続。「チャイコフスキー:交響曲第6番」を聴くと、鮮明でキレ味のよい音になる。個々の楽器の音も実に鮮やかで色彩感にあふれた演奏を楽しめた。低域はややタイトだが、力感はしっかりとした印象。全奏での力強さやたくさんの楽器の音が重なった厚みが出て、スケール感のある音だ。
LiSAの「白銀」でも、重みのあるベースはややタイトだが、力感はしっかりと出てリズム感がよく伝わる。熱気とノリのよさがしっかり出ており、シュアらしいライヴ感のある音に仕上がっている。Aimerの「残響散歌」でも、キレ味のいいイントロをいきいきと鳴らす。中高域のエネルギーが高いので、元気一杯の演奏に埋もれがちになる歌声もしっかりと前に出てくる。こうしたリズム感のよさは本機の持ち味だと思う。
完全ワイヤレス型イヤホンの一般的なスタイルとなったことで装着がしやすくなり、使い勝手が大幅に向上した。電波が途切れるようなことはほとんど発生せず、基本性能も大きく進歩している。なにより、シュアらしいいきいきとしたサウンドをしっかりと受け継いでいるのは立派だ。使いやすいスタイルで、シュアの音を楽しみたい人には注目のモデルと言えよう。