イヤホンやヘッドホン、あるいはD/Aコンバーター(DAC)回路を内蔵したアンプ内蔵スピーカー(アクティブスピーカー)とスマホとの組合せで、お好みのハイレゾ音源を手軽に楽しむのもいいが、本格的なオーディオシステムを用意して、部屋中を上質なサウンドで満たしてみると、違った感動に出会うことができる。

 単品のオーディオ機器というと、どうしても大きくて重い、昔ながらのコンポーネントを思い浮かべる方も少なくないと思うが、昨今、スピーカー、アンプ、D/Aコンバーターと、比較的小振りで、デザイン的にも洗練された製品が数多く登場し、人気を集めている。

 ここではコンパクト、かつ質の高いオーディオ機器を数多く送り出してきたNuPrime(ニュープライム)、ELIPSON(エリプソン)、PIEGA(ピエガ)という人気ブランドにスポットを当て、スマホとの組合せで上質なハイレゾ音源の再生にチャレンジしてみたい。

 

SYSTEM① IDA-8 + Prestige Facet 6B
シンプルながら驚きのサウンド

 まずは独自の技術を駆使し、高級オーディオは大きくて重いという常識を覆したアメリカのニュープライムと、フランスで80年にもおよぶ歴史を誇るスピーカーブランド、エリプソンの組合せだ。

 

D/A CONVERTER / INTEGRATED AMPLIFIER
NuPrime IDA-8
¥220,000 税込

● 型式:D/Aコンバーター内蔵プリメインアンプ
● 出力:100W×2(8Ω)
● 接続端子:アナログ音声入力1系統(RCA)、デジタル音声入力3系統(同軸、光、USB Type B)、プリ出力1系統(RCA)
● 寸法/質量:W235×H55×D281mm/4.3kg
● カラリング:シルバー、ブラック
● 問合せ先:フューレンコーディネート TEL.0120-004884

 

SPEAKER SYSTEM
ELIPSON Prestige Facet 6B
¥93,500(ペア)税込

● 型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:25mmドーム型トゥータ−、140mmコーン型ウーファー
● 出力音圧レベル:90dB/W/m
● クロスオーバー周波数:2.8kHz
● インピーダンス:6Ω
● 寸法/質量:W176×H305×D232mm/5.8kg
● カラリング:ホワイト、ウォールナット、ブラック

 

製品の問合せ先:フューレンコーディネート 0120-004884

 

 ニュープライムは新進のオーディオメーカー、米NuForce(ニューフォース)のピュアオーディオ部門が独立して誕生したブランドで、現在、各種アンプのほか、D/Aコンバーター、CDトランスポートなどの製品をラインナップしている。

 同ブランドの特徴は、本体が小さく、デザイン的にも洗練されていること。それだけなら特に驚かないが、このスマートな外観からは想像できないような力強く、雄大なサウンドを楽しませる。この意外性こそニュープライムの真骨頂といっていいだろう。

 たとえば今回、用意したD/Aコンバーター内蔵のプリメインアンプIDA-8は、幅235×高さ55×奥行281mmというコンパクトな筐体に、高出力(100W+100W/8Ω)かつ低ノイズのパワーアンプを搭載し、スピーカーを強力に駆動する。

 パワーアンプの前段となるプリアンプ回路についても信号経路を短縮し、可能な限りノイズ、歪みを抑えたこだわりの設計で、音量は精密な0.5dB刻みで99段階の調整が可能だ。さらにPCM信号で384kHzまで、DSD信号でも11.2MHzの超高解像度なハイレゾ信号の入力までサポートするD/Aコンバーター回路を内蔵。スマホとケーブル1本の接続で、Apple Music 、Amazon Musicのハイレゾ音源の再生も可能だ。

 そしてエリプソン。その最大の特徴は、独創的なデザインと、技術的に裏付けされた確かなサウンドにある。特にスピーカーボックス(エンクロージャー)の造りの巧妙さには定評があり、再生時のノイズを抑える技術に対して、担当エンジニアに研究と創造を讃える国家勲章が授与されているほどだ。

 今回は充実したラインナップを誇るエリプソンのPrestige Facet(プレステージ ファセット)シリーズから、人気の2ウェイ、ブックシェルフ型6Bを選出。Lightning/USB Type B変換ケーブルを使ってiPhoneとIDA-8を直結し、さらにIDA-8を6Bにつなげたシンプルな接続で、Apple MusicとAmazon Musicのハイレゾ音源を中心に再生してみた。

 入念なラッカー塗装で仕上げられた6Bは、デザインが素敵だが、そのサウンドも深みを感じさせる落ち着きのあるトーンで、スピーカーの左右方向から上方向、さらに奥行方向まで音の空間描写を実に意欲的に行なう。

 Apple Musicでダイアナ・クラールの「デスペラード」(96kHz/24ビット/ALAC)を聴いたが、その歌声は息づかいが暖かく、艶やか。微小信号の解像、空間の静けさ、ピアニシモの描き分けと、随所でシステムとしての素性のよさが感じとれる。響きの粒子やグラデーションまで感じさせる表現力で、体全体に染み入るように拡がる彼女の声にすっかり魅了されてしまった。この音が、スマホと小型コンポ、そして小型スピーカーの組合せで手に入るとは……。驚きのサウンドだ。

 

画像2: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

IDA-8とiPhoneの接続はMelo audio製Lighting/USB Type B変換ケーブル1本で行なった。このケーブルはAmazonで約¥1,500で購入したものだ

画像3: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

 

SYSTEM② DAC-9X+STA-9X+ACE50
清々しく開放的な音を聴かせる

画像4: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

SPEAKER SYSTEM
PIEGA ACE50
¥363,000 (ペア)税込

● 型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
● 使用ユニット:AMT型トゥイータ−、120mmコーン型ミッドレンジ、120mm型ウーファー×2
● 出力音圧レベル:90dB/W/m
● クロスオーバー周波数:200Hz、4kHz
● インピーダンス:4Ω
● 寸法/質量:W140×H1,040×D160mm(ボトムプレートφ250mm)/12kg
● カラリング:シルバー(写真/価格)、ブラック/ホワイト(¥385,000ペア 税込・受注発注)

 

D/A CONVERTER / CONTROL AMPLIFIER
NuPrime DAC-9X
¥198,000 税込

● 型式:D/Aコンバーター内蔵プリアンプ
● 接続端子:アナログ音声入力1系統(RCA)、デジタル音声入力6系統(同軸、光、USB Type B、I2S×2、エクステンション)、デジタル音声出力1系統(光)、プリ出力2系統(RCA、XLR)、ヘッドホン出力1系統(6.3mm標準フォーン)
● 寸法/質量:W235×H60×D281mm/2.5kg

POWER AMPLIFIER
NuPrime STA-9X
¥198,000 税込

● 型式:ステレオパワーアンプ
● 出力:130W×2(8、4Ω)、330W(8、4Ω、モノーラル使用時)
● 接続端子:アナログ音声入力2系統(RCA、XLR)
● 寸法/質量:W235×H60×D281mm/4kg

 

 ここでIDA-8を、同じニュープライムの単体D/AコンバーターDAC-9Xとステレオ仕様のパワーアンプSTA-9Xというふたつの新製品に入れ替えてみよう。音量調整はDAC-9Xの内蔵回路を使う格好だ。スピーカーもスイスの名門ピエガのACE50との組合せで、そのパフォーマンスを確認してみたい。

 ACE50は、ピエガのトレードマークともいえるアルミ製エンクロージャーが外観的な大きな特徴だが、その美しさに加えて、一般的な木製に比べると剛性が高く、内容積に比べて圧倒的に薄く仕上げられるメリットがある。このため見た目以上に内容量が大きくなり、大型スピーカーとして設計できる点が強みだ。

 トールボーイタイプとなるACE50のエンクロージャーはもちろん精緻なアルミ製。前作のTMicroシリーズ同様、馬蹄形に近い形状だが、背中方向への絞り具合がわずかにゆるやかになり、全体としてはボリュウム感を増している印象だ。トゥイーター(高域ユニット)は独自設計のリボンタイプで、4スピーカーによるバスレフ型3ウェイシステムを構成している。

 パワーアンプSTA-9Xは高S/N特性を追求した130W×2出力のステレオモデル。少々専門的にいうと、シングルエンドアンプ(A級アンプ)と、高効率のD級アンプの特徴を兼ね備えた独自の回路構成で、ここに大型パワーアンプにも負けない高い駆動力の秘密がある。さらに高音質を目指す場合は、STA-9Xを2台使い、それぞれをモノーラルアンプとして駆動するブリッジ接続も可能だ。

 Amazon Music HDから、ユーミン、反田恭平のピアノ曲、ジャズトリオと、普段から聴き慣れた楽曲を選んで再生してみたが、明確な定位と、スムーズな空間の拡がりが特徴的で、雑味のない透明感に溢れたサウンドが清々しい。

 基本的に明るく、開放的に聴かせるタイプだが、ユーミンを鳴らすと声は適度な湿り気を伴なった落ち着きのある質感で、ニュアンスも豊か。明快な解像力と肌合いのよさを巧く両立させた実にチャーミングなサウンドを楽しませてくれた。

 

画像5: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】
画像6: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

 

画像7: スマホから驚きの音を引き出す、小さくスマートなふたつのシステム。NuPrime「IDA-8」/ELIPSON「Prestige Facet 6B」/PIEGA「ACE50」【スマホで始めるオーディオ&ネット動画】

STA-9Xはリアパネルのスイッチで簡単にモノーラルアンプとして使用できる。本文の通り、この場合の効果はひじょうに大きく、グレードアップの近道ともいえそうだ

 

 

もう1台STA-9Xを追加すると変化大。躍動感のある音のインパクトは強烈!

 そのままSTA-9Xをもう1台追加して、ブリッジ接続に変更。するとどうだろう、空間の濃密さといい、バスドラム、ベースの躍動感といい、そのスマートな外観からは想像できないような重厚なサウンドが目の前に浮かび上がった。とにかく音そのものに勢いがあり、大音量、小音量に関わらず、音像が明確で、フォーカスがぶれない。スマホからシンプルにケーブル1本で信号を取り出しているとは思えないほどの見事なサウンドだ。

 STA-9Xをステレオ機として使った組合せでも、音質面に不満を感じることはまずない。ただ、STA-9Xをもう1台用意することで、また別の空間が拡がり、その世界にグイグイと引き込まれる。こうなるともう後戻りするのは難しい。そう感じさせるほどの強烈なインパクトだった。

 

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