クラシック-レジェンド680(CLASSIC-LEGEND)シリーズは、シルテック製品の中核をなすクラシックシリーズの最新世代。その改良点については、①新開発のG9 Silver-Gold導体、②革新的なトリプルレイヤージャケット、③改良された超静音シールド、の3点が謳われている。
導体素材は銀と金による「合金」とのことだが、導体素材としては銀が本体であり、金は銀材料のクラック、隙間を埋める役割のようだ。今回は、「9Nを誇る純度」を維持しながらアニール(焼きなまし)技術を改良したという。導体自身がクラシック-アニバーサリー(CLASSIC-Anniversary)と比べて"最大2倍の太さ"となったというのは素線径のことだろう。同じ導体材料でも素線径と素線の束ね方で音質が大きく変化するのは周知のことだ。
シールドの改良の内容は不明だが、クラシックシリーズ比で1.5倍の性能としている。絶縁体はテフロン層の間にデュポンPEEKを挟んだ3層構成。PEEK(ポリエステル-エーテルケトン)はフッ素樹脂系のテフロンとは違う系統の高い耐久性を持つ素材。
今回はRCAピンケーブル、スピーカーケーブル、電源ケーブルを順に試聴した。
シルテック
CLASSIC LEGEND
680I RCA 2.0M(ペア)
¥400,000(2m・税別)
●型式:ラインケーブル●端子:RCAピン●備考:1m長(¥240,000ペア・税別)、1.5m長(¥320,000ペア・税別)、XLR端子1m長(¥240,000ペア・税別)、XLR端子1.5m長(¥320,000ペア・税別)、XLR端子2m長(¥400,000ペア・税別)あり●問合せ先:完実電気(株) TEL 050(3388)6838
RCAピンケーブルは、D/Aコンバーターとプリアンプの間に接続して試聴した。すると、これは一挙に純度が高まって、まるで音場の3次元構造が透けて見えるように聴こえる。情報密度が向上するので、古い録音からでも生々しさがよみがえる。ミケランジェロが独奏するモーツァルトのピアノ協奏曲第25番のライブ音源など、模糊としたホールトーンに包まれた湿った雰囲気から、輝かしい美音が転がり出し、優れたアーティキュレーションがさらに明瞭となる。伴奏の各パートの語法もよく浮彫りになって、これはシステム全体の値打ちを高める変化だ。ジョニー・ホッジスのビッグバンドジャズも表現の幅が拡大し、各パートに弾力感や遠心力、求心力が加勢して音楽の賦活効果が高い。(吉田)
CLASSIC LEGEND
680L SPADE 3.0M(ペア)
¥615,000(3m・税別)
●型式:スピーカーケーブル●端子:Yラグ→Yラグ●備考:2m長(¥435,000ペア・税別)、2.5m長(¥525,000ペア・税別)あり。
680Iを接続したまま、スピーカーケーブルを試す。これはライン間での効果と相似した変化だが、スピーカーがひと回り大きくなったような変化に吃驚した。特にビッグバンドジャズの覚醒効果は尋常ではない。細部まで力がみなぎり、平面的な音像が艶やかな実体として磨き上げられる。高い解像感を支える弾力感も増す。また、『アーン歌曲集/スーザン・グラハム』のようなピアノ伴奏の歌曲にしても、微小な減衰音の高密度なトレースにより声の表現域が広がり現場に立ち会っているように生々しい。(吉田)
CLASSIC LEGEND
680P 1.5M(ペア)
¥220,000(1.5m・税別)
●型式:電源ケーブル●端子:3P●ケーブル長:1.5m
電源ケーブルは、プリアンプに使用。3カ所同時にシルテックの改善効果を受けるので、鮮度や瞬発力が極限的に高まる一方、中域がやや乾く印象。これはエージングが必要ということだろう。ともあれ、この3次元音場を満たす実体音響の展覧は、既存システム全体をまるで別世界に連れ去るごときで、感動を禁じ得ない。(吉田)
試聴に使用した
プリアンプ/パワーアンプ
プリアンプ:ウエスギ
U・BROS280R
¥980,000(税別)
パワーアンプ:ウエスギ
U・BROS120R
¥1,180,000(ペア・税別)