オーディオテクニカは、デュアルムービングコイルステレオ(MC)カートリッジ「AT-ART20」を4月15日に発売する。価格は¥330,000(税込)。
同社はカートリッジの製造・販売からスタートし、半世紀以上の歴史を持つ音響機器メーカーだ。アナログレコード愛好家のために、そしてアナログオーディオの魅力を伝え続けるために、創業以来カートリッジを作り続けている。
長い歴史の中で培われてきた技術を生かしたハイエンドモデルから、手軽に楽しみたいユーザーに向けたエントリーモデルまで幅広いラインナップを展開している。中でもART(Audio-Technica Reference Transducer)を型番に冠したモデルは、高音質で高品位、同社を代表する特別な意味を持つものばかりだという。
AT-ART20はその最新モデル。最良の素材を採用しながら高度な加工や最適な構造、一線を画すデザインでアナログを深く楽しめること、またアコースティックのよりよい音を突き詰め、空芯型が得意とする生々しい演奏の表現力を鉄芯型でも実現させることを命題として開発されている。
最高峰のMCカートリッジとして、圧倒的な情報量や解像度を持ちながら、同時に音楽の表現力も持ち合わせている。一音一音を大切にしながら音のつながりも滑らか、演奏者の呼吸や楽器がホールに響き消えていく様子を余さず表現できるため、音楽ジャンルを問わずリアリティのある音場を体感できるという。
デザインには、今までのカートリッジにない美しい曲面を描く有機的なデザインを採用。福井県鯖江市の眼鏡産業で培われた切除加工技術や研磨技術が生かされている。高度な切削技術も掛け合わせてチタニウムの肉薄化を可能にしたことで、大幅な軽量化も実現した。
その他の特徴は以下の通り。
●厚膜の金メッキを採用した高音質ターミナルピン
金メッキ部分の厚みを従来品の約30 倍に増すことで、接触抵抗の低減と音質強化を図った。
●異素材の組み合わせにより共振を抑制
ベースにはシリーズで定評のあるアルミニウムを、ハウジングには同シリーズ初となるチタニウムを、そしてアンダーカバーには同じく初となるエラストマーを採用。様々な異素材を組み合わせ、製品本体で発生する共振を抑制。
●新設計の磁気回路により発電効率を向上
「AT-ART9XI」の磁気回路をベースに、フロントヨークを0.6mm厚くすることで磁束密度を向上。発電効率を上げることで、よりリアリティのある音質を実現した。またコイルの巻き数やインピーダンスを変えることなく、15%以上の出力電圧の効率化を図っている。
●チタニウム採用のチップ補強板で針先を軽量化
ARTシリーズのフラッグシップモデル「AT-ART1000」と同様、ダイヤモンドチップを固定するチップ補強板にチタニウムを採用。軽量化を図り、高域特性を改善。
●特殊ラインコンタクト針とφ0.28 ソリッドボロンカンチレバー
音溝を忠実に読み取り、音の分離感を高める無垢特殊ラインコンタクト針を採用。ボロンカンチレバーの先端からコイルまで、支点に向けて段階的に太くなるステップドパイプ構造も採用している。カンチレバーとアーマチュアの接続部が二重構造となるため剛性が高まり、カンチレバーの強度の向上とともに不要な振動を抑制する。