オーディオテクニカは高音質オーディオケーブルを各種取り揃えている。フォノカートリッジに始まりヘッドフォンやマイクロフォンで発展してきた同社らしく、ケーブルも価格帯的にも幅広いラインナップをもつ。ここで紹介する新しいFLUAT(フリュエット)シリーズのラインケーブルと電源ケーブル、そして最高峰エクセレンス・シリーズのスピーカーケーブルは、掛け値なく注目に値する製品だ。
オーディオテクニカ
AT-IC700R/1.3
¥50,000(ペア、税別)
●型式:ラインケーブル
●端子:RCAピン
●ケーブル長:1.3m
●備考:0.7m長(¥44,000・ペア、税別)、2.0m長(¥58,000・ペア、税別)、3.0長(¥70,000・ペア、税別 受注生産)、4.0m長(¥82,000・ペア、税別 受注生産)、5.0m長(¥94,000・ペア、税別 受注生産)あり
●問合せ先:(株)オーディオテクニカ TEL.0120-773-417
AT-IC700X/1.3
¥52,000(ペア・税別)
●型式:ラインケーブル
●端子:XLR
●ケーブル長:1.3m
●備考:0.7m長(¥46,000・ペア、税別)、2.0m長(¥60,000・ペア、税別)、3.0長(¥72,000・ペア、税別 受注生産)、4.0m長(¥84,000・ペア、税別 受注生産)、5.0m長(¥96,000・ペア、税別 受注生産)あり
AT-AC700/1.3
¥50,000(税別)
●型式:AC電源ケーブル
●端子:3P
●ケーブル長:1.3m
●備考:0.7m長(¥42,000 税別)、2.0m長(¥60,000 税別)あり
フリュエットは、およそ30年もの歴史があるアートリンクに代わる新シリーズ。現代のオーディオ機器に相応しい高品質な音を実現するために線材や素材、構造はもちろんのこと、設計思想を一から見直してケーブルデザインを行なったという。フリュエットとは、淀みのない(FLUENT)の語源であるラテン語のFLU(流れ)と、オーディオテクニカのATを組み合わせた造語とのこと。
電源ケーブルを含み、最も重要な導体は3種類の高純度銅線を組み合わせたトリプルハイブリッド構成。資料によると、6NのOFCとPCUHD(高純度無酸素銅線)、そして日本国内でディップフォーミング製法(導体の金属線の内側から凝固させる製法で、酸素やガスが抜けやすく鋳造欠陥が少ない)により製造された4N無酸素銅を伸線時にアニール処理を施した軟銅線(ハイパーOFC)を組み合わせたもの。この導体や製品外観にダメージを与えることなく絶縁材やPVCシースなどの樹脂に残る残留応力だけを効果的に取り除く高温熱処理(HEAT RELIEVE)も、フリュエットの特徴に挙げられる。
AT-SC1000YY/2.5
¥270,000(ペア、税別)
●型式:スピーカーケーブル
●端子:Yラグ→Yラグ
●ケーブル長:2.5m
●備考:2.0m長(¥240,000・ペア、税別)、3.0長(¥300,000・ペア、税別 受注生産)、4.0m長(¥360,000・ペア、税別 受注生産)、5.0m長(¥420,000・ペア、税別 受注生産)あり。端子形状はバナナ→バナナ(AT-SC1000BB)、バナナ→Yラグ(AT-SC1000BY)、Yラグ→バナナ(AT-SC1000YB)もあり
最高峰エクセレンスのスピーカーケーブルの導体は、7NクラスのDUCC(ダイア・ウルトラ・クリスタライズド=結晶・カッパー)と前述のハイパーOFCによるハイブリッド。線材だけでなく素材と構造を徹底的に吟味した内容となっている。
管球王国誌リファレンス機器の環境はバランス伝送ケーブルに対応していないため、フリュエット・シリーズはRCA端子のラインケーブルと電源ケーブルのみを試聴している。
試聴室で常用しているのはステレオサウンドが開発したPCトリプルC導体(高純度銅線)のケーブルで、現在は販売されていないカスタム仕様。それとの音質比較になるわけだが、フリュエットのラインケーブルは音の描きかたが丁寧で派手さを手控えている、総じて素性の良さを感じさせるものだった。解像感の高い音であるが、とりわけ弱音領域の微細な表現を得意にしているようだ。いっぽう、電源ケーブルは鮮やかな音で力感を伴い、強弱のコントラストの高さが際立つ。ラインケーブルとは異なる性格になっている。
エクセレンスのスピーカーケーブルは音に厚みが増してエネルギッシュな音質傾向。しかし、決して野放図な音ではない。うるさくない耳当たりの良さを伴った、リアリティを真摯に追い求めた音という印象である。フリュエットのラインケーブルとは異なりこのスピーカーケーブルは硬めなので取り回しに工夫が必要だが、音質は第一級のグレードだ。