ここ数年アナログレコードの人気が再燃している。一時はその座をCDに完全に奪われたアナログレコードだが、2010年を境に人気が右肩上がり。アメリカでは34年ぶりにCDの売り上げを上回るほど人気が復活している。そんな状況から、一時はアナログプレーヤー機器の製造から離れていたメーカーからも、様々な商品が新たに発売されるようになっている。
オンキヨーから『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とのコラボしたターンテーブル「OCP-01-VE」が発表された。OCP-01シリーズは初心者向けのポータブルターンテーブルで、小型ながらもレコード針とアンプ、ステレオスピーカーを内蔵しており、単体でアナログレコードを聴くことができる優れた商品だ。「OCP-01-VE」は12月24日で予約分が上限に達したため完売、2022年1月14日から2次予約販売となっており、注文したお客様には2022年6月上旬~中旬にかけて順次発送となる。
今回の『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』コラボ商品の一番の特長は、なんと言ってもこのコラボのために特別に制作されたアナログレコードが付属することだろう。こちらは日本屈指のマスタリングエンジニアである小鐵徹氏がマスタリングを行っており、オンキヨーの本企画における並々ならぬ熱意が伝わってくる。
そんな「OCP-01-VE」の本体とアナログレコードが完成したと、オンキヨーから連絡が入った。社内でもファンの多い『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のコラボ商品ということで、綿密な試聴計画を立てていたところ、今回のアナログレコードに収録されている『未来のひとへ ~Orchestra ver.~』、『みちしるべ』、『Violet Snow (Original ver.)』を歌うTRUEさん、茅原実里さん、結城アイラさん3人の歌姫が同時に来社いただけるという話になった。
そんな奇跡のようなシチュエーションの実現に、万全の体制を整え迎え入れねばと、弊社ステレオサウンド編集部にも協力を仰ぎ「OCP-01-VE」での試聴はもちろん、ステレオサウンド試聴室のリファレンスシステムを使ってのアナログレコード試聴が実現した。
3人ともアナログレコードをきちんと聴くのは生まれて初めてとのこと。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の歌姫たちにはアナログレコードの音がどのように感じられたのでしょうか?
※このインタビューは昨年2021年12月に行われたものです。
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』コラボレーションターンテーブル
【アナログレコード仕様】
型番:OCP-01-VE
回転数:33回転
サイズ :10インチ
アナログマスタリングエンジニア:小鐵徹氏
■Side A
1.『未来のひとへ~Orchestra ver.~』
作詞:唐沢美帆 作曲:川崎里美 編曲:Evan Call 歌:TRUE
2.『みちしるべ』
作詞:茅原実里 作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden) 歌:茅原実里
■Side B
1.『Theme of Violet Evergarden』
作曲:Evan Call 編曲:Evan Call
2.『One Last Message』
作曲:Evan Call 編曲:Evan Call
3.『Violet Snow (Original ver.)』
作詞:西田恵美 作曲:川崎里美 編曲:川崎里美 歌:結城アイラ
※本製品の2次予約は2022年1月14日15:00~2022年2月18日15:00まで
※商品は2022年6月上旬~中旬にかけて順次予定発送。
ステレオサウンド試聴室での試聴
本日はステレオサウンド試聴室にようこそいらっしゃいました。これまでアナログレコードを聴いたことはありますか?
茅原実里:ちゃんと聴くのは初めてです。おじいちゃんの家に、壊れたレコードプレーヤーがありましたが、壊れた針を擦りつけるようにして聴いた記憶があります(苦笑)。
TRUE:私も初めてです。今日は楽しみにして来ました。
結城アイラ:私もです。こちらの商品が発表された時、引用リツイートしたくらい気になっていました。
それではまずはターンテーブル「OCP-01-VE」で音を聴いてみましょう。本製品は本体横にスピーカーを内蔵しており、単体で音を鳴らすことができます。それではA面の『未来のひとへ ~Orchestra ver.~』と『みちしるべ』から聴いてください。
茅原実里:凄い!私アナログレコードの音好きかも。
TRUE:素敵な音ですね。
それでは続いてB面の『Violet Snow (Original ver.)』を聴いてみてください。
茅原実里:レコード盤をひっくり返すのですね!
TRUE:A面、B面という概念があることに驚きです。昔のカセットテープみたい。
結城アイラ:レコードの盤面、特に溝の部分は触らない方がいいのですか?
はい。アナログレコードは、盤面の溝をレコード針が読み取って音を出しているので、あまり触れない方が良いですね。
結城アイラ:レコードは、再生する度に同じ音は聴けないと伺ったのですが。
そうですね、わずかですがレコードの針がレコード盤を削ってゆくので、厳密な意味では少しずつ音は変化して行きます。
TRUE:聴けば聴くほど音が変化していくのですね。
はい、なのでオーディオマニアは同じレコード盤を何枚も持っていたりしますし、それもアナログレコードの味として楽しんでいます。「OCP-01-VE」単体で試聴していかがでしたか?
TRUE:面白かったです!新たな音の世界を知った感じです。
それでは次の試聴に進ませていただきます。本製品には音声出力用RCA端子が付いていますので、こちらにアンプを内蔵したパワードスピーカーを接続することで、もっと迫力ある音で聴くことができます。それでは聴いてください。
茅原実里:すごく良い音で聴き入ってしまいました!気持ち良くなって、なんだか眠くなってきました(笑)。
TRUE:アナログレコードの音にはなんだかロマンを感じますよね。盤ごとに音が少しずつ変化するところとか、機材あるいはその人の試聴環境で、異なる音が聴ける訳ですから。そうすると自分なりのオーディオシステムを組んで、自分なりのサウンドで聴いて欲しいと楽曲製作者は思うかもしれませんね。
結城アイラ:私はデジタルの音とは別物の、アナログの音のふくよかさとか温かさを感じることができました。
それでは次はこのアナログレコードを、弊社ステレオサウンド編集部のリファレンスシステムで聴いてみてください。
<試聴機材>
・ターンテーブル:テクニクス SL1000R
・フォノカートリッジ:フェーズメーション PP2000
・フォノイコライザーアンプ:アキュフェーズ C47
・プリアンプ:アキュフェーズ C3900
・パワーアンプ:アキュフェーズ A250(ペア)
・スピーカー:B&W 800D3(ペア)
<試聴後一同しばし放心状態に…。>
茅原実里:す。凄いです!!何だか音の奥行を感じました。
TRUE:ほ〜っ、ため息が出ちゃいますね。何度も聴いたはずの楽曲なのに、奥にいる楽器たちが、こんな風に鳴っていたんだって改めて気づかされました。
結城アイラ:素晴らしいです!!
最後になりますが、CDより良い音といわれるハイレゾ音源。こちら同じ楽曲をご用意しています。こちらも同じシステムで聴いてみてください。
<ハイレゾ>
VIOLET EVERGARDEN VOCAL ALBUM Song letters
flac 96kHz/24bit
WILL
flac 96kHz/24bit
VIOLET EVERGARDEN: Automemories
flac 96kHz/24bit
結城アイラ:ハイレゾの方が一つ一つの音がクリアに、弦の音とかが一粒一粒分かるくらいはっきり聴こえました!これはこれで素晴らしいと思います。
TRUE:個人的にはアナログレコードの、温かみを感じられる音がとても好きです。ハイレゾの方は凄く音がクリアな分、全ての音の情報が耳に入ってきて疲れてしまう事があるんです。アナログの音は長時間聴ける印象を受けました。
結城アイラ:アナログの音の方が、心の琴線に触れる音という感じでしたね。
茅原実里:なんかポカポカしてきました(笑)
TRUE:そうですね。そういうポカポカしてくる所もアナログレコードのいい所かもしれません。眠くなってくる所も(笑)
茅原実里:少し古い時代を感じるような音なんですよね。不思議です。
結城アイラ:最初に「OCP-01-VE」単体で聴いた時が、一番昔の音の感じがしましたね。懐かしさも感じましたし。
TRUE:古い映画で流れてきそうな音でもありました。クラシックなんかもアナログレコードで聴いてみたいですね。
それでは最後の最後にEven Callさんの『Theme of Violet Evergarden』を聴いて終わりにしましょう。
<一同再度放心状態に。。。>
茅原実里、TRUE、結城アイラ:(声をそろえて)素敵〜!!
試聴ありがとうございました。それではここからは、今回のアナログレコードに収録されている、『みちしるべ』、『未来のひとへ ~Orchestra ver.~』、『Violet Snow (Original ver.)』についてそれぞれお話を聞かせてください。
『みちしるべ』(歌:茅原実里)
本作品の依頼が来た時どう思いましたか?
茅原実里:「みちしるべ」は、私にとってアニメのタイアップとして初めて作詞をさせていただいた楽曲でした。正直最初は自信がなくて、石立監督や制作スタッフの皆さんがご納得いただける詩が書けるか不安を抱えながらも、頑張って書かせていただきますという気持ちでチャレンジさせていただいた楽曲でした。
まずは小説を読んでから詩のイメージを広げていきました。私の感想として、主人公のヴァイオレットにとってギルベルト少佐が、彼女の人生にとっての大きな“道しるべ”だと感じたんです。候補はいくつかあったのですが、最終的にタイトルも「みちしるべ」になりました。そのままですね…(笑)。
また、小説の中では家族の話が沢山出てきたので、親が子を思う気持ち、子が親を思う気持ちなどを詩の中で表現したいなと思っていました。私もそうですが、皆それぞれ誰かの存在や言葉が、人生の“道しるべ”になって前に進んでいくことができるんじゃないかなって。そういう意味でも「みちしるべ」という言葉が自分の中でしっくりきました。
歌詞の中で「孤独が“ひとり”と知った」という部分が印象的です。
茅原実里:そうですね。ヴァイオレットの生き様を見ていて、少佐から離れたばかりの彼女が本当の意味で孤独というものを感じたのではと思い、その気持ちを“ひとり”という言葉で表しています。
この曲はTV版のED曲ですが『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の挿入歌としても使われています。
茅原実里:私は声優としても本作品に出演させていただいています。劇場版制作のアフレコの日に石立監督と音響監督に呼ばれて、この曲を劇中で使いたいとお話をいただきました。Evan Callさんのアレンジに合わせて歌詞も微調整しつつ、歌も歌い直しています。プレッシャーもありましたし、並々ならぬ思いで再度レコーディングに臨みました。
・インタビューの前にHiVi視聴室で『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のUltra HD Blu-rayを観ていただきましたが、TRUEさんもあのシーンで「みちしるべ」を使うのは反則ですと言っていました。
<と、ここで一緒に横でインタビューを聞いていたTRUEさんが、堪えきれずに…。>
TRUE:「みちしるべ」があそこのシーンで流れるのは反則ですよね!!あのシーンで泣かない人はいないと思っています。
TRUE:ヴァイオレットはこれまで一度も歩みを止めずに進んできました。それは進むべき“道しるべが”あったからこそ歩んでこれました。でも「愛している」を理解したヴァイオレットが、初めて歩みを止めるんですよ。ここから先の道のりは自らの意志で歩いていくんだなと。もう、なんだか「みちしるべ!」と感激してしまいました。
茅原実里:ありがとう、TRUEさん〜(笑)
TRUE:「みちしるべ」は、この作品に関わる皆にとっての“道しるべ”にもなっていたと思います。皆があの曲に支えられて、ここまで何年間もチームとしてやって来ました。この曲にはそういう強い思いがあったので、あのシーンでこの曲が流れた時には、本当にこれまでの思いが報われたなと思いました!
以上、横からすみませんでした(笑)
それではこの流れで、TRUEさんにインタビューを移らせていただきます。
TRUE:すみません。茅原さんのインタビューを遮っちゃったみたいで…。
茅原実里:大丈夫だよ(笑)。
『未来のひとへ ~Orchestra ver.~』(歌:TRUE)
TVシリーズの主題歌から『ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に長く関わってきたと思います。『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の主題歌「WILL」、グランドエンディング曲「未来のひとへ」の依頼が来た時どう思いましたか?
TRUE:やはり中途半端な気持ちでは制作できないなと思いました。主題歌である「WILL」は日本語で“意志”という意味ですが、これは私だけの意志ではいけないなと。ヴァイオレットの意志はもちろん、ヴァイオレットを取り囲むキャラクターたちの意志や、アニメーション制作スタッフや私たち音楽制作チームの意志、さらには応援してくださるファンの皆様の意志が、この曲に込められるべきだと思い楽曲制作を進めました。なので私個人の楽曲というよりも、全ての思いを込めた劇伴の延長として詞を綴り、歌った楽曲です。
「WILL」そして今回のアナログレコードに収録されている「未来のひとへ ~Orchestra ver.~」は、両方ともポジティブな楽曲ですね。
TRUE:そうですね。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズとしてはとてもハッピーな結末なので、ネガティブな言葉は使わないようにしました。
「WILL」に関しては、子供が自然に成長する過程で学ぶ、花が咲いてそれが枯れて大地に還りまた次の命を紡いでゆくような、命の巡りみたいなものを表現したいと思い歌詞を書きました。それが未来へ生きていくということであり、これからも続いていく意志だと思っています。
「未来のひとへ」はグランドエンディングの曲として意識して作った曲ではなく、もともと「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のイメージソングとして2018年に作られた曲でした。
その時にこの楽曲で描いていた思いが、偶然にも「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のテーマに沿っていて。石立監督が絵コンテを切りながら、何度もこの曲を聴いてくださっていたそうです。そういった経緯から、この曲をグランドEDに使いたいとご提案をいただきました。
時系列的には随分前に作成した楽曲にも関わらず、作品の最後となる「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」と同じ未来を見ていたんだなと思うと大変感慨深かったですし、素直に嬉しかったですね。
なので「未来のひとへ」は、ポップスとしてピアノの伴奏で歌っているオリジナルバージョンと、今回アナログレコードに収録されているオーケストラバージョンの2つのバージョンあります。オーケストラバージョンでは新たに歌も歌い直しています。
本当に未来志向で「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を締めくくるにはふさわしい曲だと感じました。
TRUE:先ほどHiVi視聴室のサラウンド環境で『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観させていただきましたが、冒頭時計の音が印象的に鳴っていたシーンがありました。その後も要所で時計の音が使われていますが、これは時の流れを作品の中で感じてもらおうと意図した演出だと思います。
ヴァイオレットの「愛している」への思いだったり、私たちの作品への思いなど、気持ちを誰かに伝えたいという思いは、時代が変われど普遍的な願いだと思うんです。
作品中でも手紙から電話へと気持ちを伝えるツールが変わってゆく様子が描かれています。今やSNSやメールなど、もっとフランクに気持ちを伝えることが出来るようになっていますが、根本的に込めている思いは変わらないと思います。作中にも「届かなくていい手紙なんてない」という台詞がありますが、あの当時でも今でも伝わらなくていい思いなどないと思っています。
そういった意味でも、皆さんが言葉や気持ちを伝えるきっかけに、私たちの作品や音楽がなれば嬉しいです。
『Violet Snow (Original ver.)』(歌:結城アイラ)
ありがとうございます。それでは結城アイラさんお願いします。本作品の依頼が来た時どう思いましたか?
結城アイラ:「Violet Snow」は第5回京都アニメーション大賞の小説部門で初めて大賞をとった、小説『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のCMソングということで最初お話をいただきました。
そのため当初30秒という短い曲だったのですが、音楽プロデューサーの斎藤滋さんから、この作品にかけるぞ!という熱い思いが伝わるメールを頂き、私もその思いに応えるために、しっかり小説を読み込み挑みました。そして、その30秒間でいかにして『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界観を表現すればいいかを必死に考えながら、この曲を歌わせていただきました。
英語の歌詞の曲ですが、難しさなどはありましたか?
結城アイラ:元々この曲は、色々な国の人にも歌ってもらいたいという事で英語の歌詞になったようです。ヴァイオレットという少女を表わすならこの曲、という皆の思いから作られた楽曲でしたし、歌詞の世界もヴァイオレットと出会う様々な人から見たヴァイオレットが表現されています。個人的にも英語の歌詞は好きでしたし、その30秒で『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界観を表す歌手として選ばれたことが大変光栄でした。世界中の人に聴いてもらえると思うと大変やりがいも感じました。
その後も、ヴァイオレット役の石川由依さんの「Answer」や「希望を捨てない人」などの作詞・作曲など、様々な形で作品に関わっていますが、結城さんにとって『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はどのような作品になりましたか?
結城アイラ:小説を読ませて頂いた時に感じたのは、主人公のヴァイオレットが「愛しているを知りたい」という事がテーマの一つとしてあるのですが、私自身もそれが凄く共感できる部分がありました。
私も“愛”についてこの作品を通して考えましたし、人生にとって大切な事は何だろうとも考えさせられました。私もそういう“愛”への思いを楽曲に落とし込んでいきましたし、本作品に関わる様々な人が、それぞれの思いをこの作品に反映していったと思っています。
私自身10代、20代のころから「愛している」という言葉に触れてきましたし、何となくその感情や意味も分かっているつもりでしたが、心のどこかで「愛している」というのは実は何なんだろう?という風に思ってもいました。そのため自分の音楽をやりながらも、愛を表現したり愛を歌うという場面になったときに、ちょっと躊躇したり照れ臭かったりする部分も以前はあったかもしれません。
でも、この「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品に出会った事で、自分の中の愛情表現も変化しましたし、「愛している」という言葉をもっと色々な人に伝えたいという気持ちが湧き上がってくるようになりました。
なので、石川由依さんが歌ってくださった「Answer」や「希望を捨てない人」などの楽曲作りを通して、より自分なりの愛を見つけていけたと思っています。
そういった意味でも私の音楽人生にとって、本当に重要な作品になりましたね。
最後になりますが、「OCP-01-VE」を購入してアナログレコードを聴く方や、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の楽曲をハイレゾ音源で聴く方は、音に対して大変こだわりのある方が多いと思います。そんな方に向けてどのような点に注力して聴いてもらえれば良いですか?
茅原実里:今日は様々なオーディオ環境で「みちしるべ」を聴かせてもらい、こんなにも機材や環境によって音が違うんだという事が分かって勉強になりました。とっても楽しかったですし、凄く贅沢な時間を過ごさせてもらったと思っています。
まだまだ色々な試聴環境があると思いますので、様々な形で「みちしるべ」を楽しんでもらえれば嬉しいです。
個人的には「OCP-01-VE」の音がお気に入りなので、みなさんにもぜひ聴いていただきたいです!
TRUE:音楽は様々な楽しみ方があるので、本当は皆さんお好きな聞き方をして楽しんでいただくのが一番だと思います。
ただ、やはり楽曲製作者の一人としては、ダイナミックスに拘って制作しているので、そのあたりが聴き取れる、より良いオーディオ環境で聴いていただけるとありがたいです。
ぜひ、息遣いや細かい部分まで、耳を済まして聴いていただきたい。今回の試聴を経て、私自身もアナログレコードの温かさを感じることが出来たので、作品柄もありますがそういった心に寄り添うような温かな音を聴いていただけると嬉しいです。
結城アイラ:実は「Violet Snow」には、小説のCMソングパターン、アナログレコードに収録されているオリジナルバージョンのパターン、私がピアノの引き語りをさせていただいた、3つのパターンがあります。実はそれぞれ少しずつ歌い方を変えています。
CMソングの時はなにも先入観を持たず、ヴァイオレットへの手紙みたいな感じで歌おうと思いましたし、石立監督からも「とにかく歌い上げないで欲しい」と言われていました。「あまり上手に歌わず、語り部として歌う感じを意識してほしい」とも言われていましたので、そのような感じを意識して歌っています。
オリジナルバージョンはアニメ作品になった時の歌です。なので最初の時とは異なり幼い少女を意識したというか、まだヴァイオレットが感情を知らないよちよち歩きのころのイメージなので、声や雰囲気を幼くしたり、英語の単語をわりとはっきりと発音しようとする意識を持って歌っています。本作はそのあたりが聴きどころですね。
私がピアノの弾き語りをしたバージョンに関しては、一発録りでもありましたしボーカルもヴァイオレットの成長に合わせて、もう少し大人っぽさを意識して歌っています。
ちなみにTV版最終話の挿入歌はオリジナルバージョンです。できれば全てのパターン聴き比べて欲しいですね。ぜひ、あなたのこだわりの視聴環境で!!
本日は皆様ありがとうございました。
HiVi試聴室での試聴
今回はステレオサウンド試聴室の他に、HiVi視聴室でも10月13日にリリースされた『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の<特別版>BDパッケージに同梱される、Ultra HD Blu-rayを視聴していただいた。
※『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』<特別版>には、Blu-ray DISCの他に、〈Dolby Vision & Dolby Atmosに対応したUltra HD Blu-ray DISCが付属する。
<視聴環境>
・Ultra HD ブルーレイプレーヤー:PANASONIC DP-UB9000 (Japan Limited)
・AVアンプ:DENON AVC-X8500H
・スピーカー フロント:Monitor Audio PL300 II
・スピーカー サラウンド:Monitor Audio PL200 II
・スピーカー サラウンドバック:Monitor Audio PL100 I
・スピーカー センター:Monitor Audio PLC350 II
・スピーカー トップ:TD508MK3BK x 6本
・サブウーファー:イクリプス TD725SWMK2
・プロジェクター:JVC DLA-V9R
視聴後TRUEさんからコメントをいただきました。
今後も言葉や気持ちを伝えるテクノロジーは変わってゆくと思います。けれど『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』という作品が伝えたい事は、10年先、100年先でも変わらない普遍的なことだと思うので、このような良い環境で何度も作品を観ていただきたいですね。
冒頭の時計の音の部分から様々な工夫が凝らされています。今回のような環境(Dolby Atmos)だと、どれだけの種類の時計の音が鳴っているかなど気づく事も多いと思います。そんな所も楽しんでみてください。
茅原実里 プロフィール
2004年声優デビュー、2006年にTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希役で広く知られるようになる。その他にTVアニメ『境界の彼方』やTVアニメ『響け!ユーフォニアム』など京都アニメーション作品に多く出演している。2004年にアーティスト活動もスタートし、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』ではED主題歌「みちしるべ」を担当、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』では主題歌の「エイミー」を担当した。2019年にデビュー15周年を迎え、2021年11月にアルバム「Re:Contact」を、12月に「Minori Chihara Live Re:Collection 〜SUMMER CHAMPION 2021 & ORCHESTRA CONCERT 2020 Graceful bouquet〜」をそれぞれリリース。
茅原実里
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オフィシャルブログ
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TRUE プロフィール
2014年に“TRUE”としてアーティストデビュー。激しく熱い楽曲から、壮大なバラードまであらゆるタイプの楽曲を歌いこなす。TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オープニング主題歌「DREAM SOLISTER」や、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』オープニング主題歌「Sincerely」など、多くのアニメ主題歌を担当。また、精力的にライブ活動を行っており、2021年11月に「TRUE Live Sound! vol.5 ~Acceleration~」を開催したほか、Animelo Summer LiveやANIMAX MUSIXなどの大規模アニソンイベントにも多数出演、海外のアニメイベントステージにも出演する等、飛躍を続けている。2022年1月にTVアニメ『リアデイルの大地にて』オープニングテーマ「Happy encount」をリリース。
TRUE(唐沢 美帆)
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結城アイラ プロフィール
2007年に結城アイラとしてアーティストデビュー。以後、圧倒的な歌唱力で数々の人気アニメ・ゲーム主題歌を担当し、数多くのイベントや海外ライブに出演するなど精力的に活動中。2015年からは作詞家としても活動し、デビュー間もないながら人気作の楽曲やキャラクターソングを次々と担当。アーティストへの作詞提供も積極的に行っている。さらに近年では、声優ユニットやアニメ作品のサウンドプロデュースも務めており、自身の音楽活動は多岐にわたる。2020年にはアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』挿入歌「Violet Snow」を弾き語りセルフカバーしたオリジナルミニアルバム「Leading role」を発売。2021年11月にTVアニメ『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』エンディング主題歌「A Promise」をリリース。
結城アイラ
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