ラックスマンのヘッドフォンアンプP750u MARKⅡは、外観と基本仕様は2017年発売のP750uを踏襲。2020年末に発売後、すぐに完売した同社創業95周年限定ヴァージョンの高音質対策も盛り込んでいる。
アンプ部は半導体式の本格的なディスクリートパワーアンプであり、独自の電子制御アッテネーターLECUA(ラックスマン・エレクトリック・コントロールド・アルティメイト・アッテネーター)を搭載してバランス設定や感度設定にもこれを活用。パワーアンプ部は電流出力のゆとりと、前段を定電圧、定電流で固めた高精度志向が印象深い。独自の歪み検出/打消し方式であるODNF(オンリー・ディストーション・ネガティヴ・フィードバック)は末尾にuが加わった改良型だ。歪み検出アンプを高精度にしたとのこと。6N配線材や特注ブロックコンデンサーなど高品位部品を投入している。
一方のフォーカルは、フランスからスピーカーやヘッドフォンのブランドとして世界展開している。ラックスマン扱いのこのヘッドフォンブランドには数多くのシリーズがあり、その高級オーディオ用の主力機がCLEARシリーズとなる。その最新版CLEAR MGが登場した。
従来のCLEARと同様、オープンバック型である。イヤーパッドをより緻密にして柔軟な材料として密着性を向上させ耳周辺からの漏れを防いでいる。ただし、バックの開孔部は5種のサイズの開孔を中央から周辺にかけて配列したハチの巣状グリルを採用。開口率が高いので大振幅のピークにゆとりがあり、その上で背圧を制御しているわけだ。独自のM字ドーム振動板は従来、アルミニウム・マグネシウム素材だったのが、マグネシウム・ドームとなった。着脱式ケーブルは標準的な3.5㎜径ステレオプラグと4ピンXLR型が付属。
まずはステレオ標準ジャックにて試聴。アンバランス入力では繊細にして和声の調和を知る豊潤な響きが得られて頼もしい。フォーカルのヘッドフォンの俊敏な応答性や低域のよどみのない力強さとも相性がいい。
XLRバランス出力端子は4ピン型とL/Rが独立した3ピン型があり、前者で試聴。これはBTL駆動となり音場空間がより開け、特に奥行きが見えてくる印象。音像はゆるりと立体定位し頭内で固まる傾向ではない。といっても中域がへこんだわけではない。より緻密な描写となり微小情報が減衰音にまでしっかり付帯するからだ。ジャズ系ヴォーカルの声音の実体感や明瞭度、リズム隊の小気味いい刻み、ギターの音色美などヘッドフォン専用アンプならではのジオラマ的な世界といえる。クラシックオーケストラの精妙な音の波紋や複雑な響きの混交も、実によく描き分ける。バランス入力は接続機器との相性が生じるけれど、高い情報密度の上に成熟味が増すので使いこなし甲斐がある。ラックスマンの上級アンプのグレードを凝縮した新モデルを歓迎する。
HEADPHONE CLEAR MG|新製品リリース|ラックスマン株式会社 - LUXMAN